親友の幼馴染と妹がヤンデレ拗らせてる件
「麻衣ちゃんと皐月ちゃんが怖い?」
「ああ、最近ホントに怖くなってきてな…」
今私、中山蘭は高校の親友、松井匠の相談に乗ってるのですが…
「あの、間違ってなければ皐月ちゃんって匠くんの妹だよね?」
「うん、皐月は正真正銘俺の妹だ。それでその皐月が…」
―回想―
「お兄ちゃ〜ん!!」ドンッ
と、帰ってくるなり皐月は俺にタックルしてくる。
「いでぇ!皐月もういきなりタックルするのはやめろって言ってるだろ!」
俺の妹、皐月は昔からずっと重度のブラコンを授かっているのだが、中学生まで続いているのは流石におかしいと思う…兄としてでも早く自立してほしいのだが。
「だってだってお兄ちゃんにいち早く聞きたいことがあるからさ!」
「理由になってないだろそれ…それで、聞きたいことってなんだ?」
「お兄ちゃん、今日誰と帰ってきたの? 私知ってるんだから」
その時の皐月は獅子も怯えるほどの威圧があった…
「ヒッ…(怖っ)
…というか、あれは麻衣と一緒に帰る約束をしたから帰っただけだよ。お前の考えてるようなことは一切ない」
「本当?…いや、お兄ちゃんが嘘つく訳ないものね。よかったあ…私だけのお兄ちゃんでいてくれて♡」
「え、何いってんのお前…」(引)
「え?だってお兄ちゃんに他の女なんか必要ないでしょ、作る意味すらないし。お兄ちゃんは私がいるだけで十分だもんね?私もお兄ちゃんだけいればいいし」
俺はこの時まで皐月はヤンデレじゃないと信じていたがこの台詞を聞いた途端、
(ああ、皐月ヤンデレ拗らせてるわ)
と、俺のこれからの人生が妹に左右されることを察した。
――
「…失礼だけど、皐月ちゃん典型的なヤンデレだね」
「典型的なヤンデレはラノベか同人誌かバイノーラルで十分ってことが身を以て分かったよ…それで次に麻衣の話になるけど」
紹介し忘れたけど、麻衣ちゃんって子は長月麻衣。私の部活仲間で匠くんとは幼稚園からの幼馴染らしいよ。
「ちょっと待って。さっきの話から察するけど麻衣ちゃんもヤンデレなんでしょ?」
「いや、まぁヤンデレかヤンデレじゃないかと問われたらヤンデレだけど…」
「含みのある言い方するね…つまり、麻衣ちゃんは特殊なヤンデレなんだね」
「食いつき凄いのどうして?俺本気でこれからどうすべきかやばいのになんでそんなノリノリなの…」
「女の子は恋愛話が大好きだからさ!あと、私ちょっとヤンデレって属性に興味があるからね!」
(…俺、蘭に相談頼むの間違いだったかな…)
「それで、麻衣ちゃんの話聞かせて!」
「…まあ話しておきたいから話すけどさ…麻衣は…」
―またもや回想―
「たーくーみー!」ギュッ
「なんで会うたびに毎回抱き着いてくんだよ!離れろ!」
と、恋人になった記憶がないのに付き合って半年以上はしそうな距離感でいつも麻衣とは接してきてた…けど最近、
「そういえば言いたいことあったんだった。
匠、生徒会長と何を楽しそうに話してたの?」
と、声色はいつもと一緒なのに目のハイライトが消え失せる時が最近たびたび起こる…俺はそのときの目が死ぬほど怖い。
「い、いや全然楽しくない呼び出しだったからな!?
というかお前覗いていたのか!?」
「だって匠を待ってる間暇だったし〜」
(それなら一人で先に帰っとけ!!)
と思ったが、口に出したら『あんたのために待ってたんだけど!』と言われるのは目に見えてわかる。
だから敢えて言わない。
「ま、いいわ。
早く帰りましょ、今日匠の家に泊まるからね」
(こいつほんとにゼロ距離で突拍子もないこと言うよなあ…)
もしかしたら麻衣の脳内では俺と麻衣は付き合ってる設定になってそうだよな。
ちなみにいきなり泊まると言ってくるのは今回が初じゃないから安心してくれ。…いや安心はできないか。
――
「っていう風に麻衣は不思議ちゃん系ヤンデレなんだよ」
こんな惚気話を聞いて、私は疑問が一つ浮かんだ。
「…一つ質問するけど、皐月ちゃんは麻衣ちゃんが泊まるときどうなってるの?」
「ああ、いつもの倍ベタベタしてくるだけで他は何も変わりないから大丈夫」
それって少しでも麻衣ちゃんがベタベタしてきたら皐月ちゃんガチギレモードにならない?
「それで麻衣ちゃんは大丈夫なの?」
「安心しろ、麻衣は皐月が完璧に寝たときに俺の部屋に来る。それで今まで一度もバレてない」
質問の答えでとんでもない爆弾落とすのやめろください。
(そういうとこ幼馴染同士似てるなぁって感じるけど)
「……あ、そういえば相談ってそのヤンデレ自慢したかっただけなの?」
「全然自慢じゃねぇだろ、あと相談ってのは今から話すんだけどな…」
―かいそー―
「お兄ちゃ〜〜〜〜〜ん!」
「○姫!?」
「匠いつの間に○夫太郎になったのよ…」
「じゃなくてじゃなくて、これ!」
と言ってだk…じゃなくて皐月が俺と麻衣に見せてきたのは3枚のチケットだった。
「これって美術館の?」
「そーそー!でもねこの美術館、すごく広いし休憩所のカフェがすごく美味しいって評判なの!だから明日3人で行こ!」
「「…え?」」
「皐月が、麻衣を誘ってる…?」
「珍し過ぎて見返り求められそうで怖い…」
「私そこまで麻衣ちゃん嫌ってないよ!?
ただ麻衣ちゃんがお兄ちゃんとイチャつくのが見たくないだけで!」
皐月、そのせいで麻衣のこと嫌ってるようにしか見えないんだよ。
っていうツッコミは心の中にとどめておいて、3人で美術館にお出かけすることになってな…
「やっぱお目当てはパフェか!!」
「えへへ〜…だっておいしそうだったもん!」
芸術作品には目もくれず真っ先にカフェに行ってしまった…
「やっぱり花より団子っていうもんね。
にしてもチョコバナナといちごのクレープ美味しい…!」
「俺だけ何も考えてずにアイスにしたからしょぼいな…」
「それならこのクレープ一口あげるよ」
「まじ?」
麻衣めっちゃ優しいやんって思った瞬間はもう遅かった。
「オニイチャン?」
死刑宣告されるほうがマシと思うぐらい怖い声色だった…
「はい、あ~ん♡」
「ちょい待て麻衣!皐月の頭にツノ生えてるから!鬼面被ってるから!」
「お客様!?」
店員が来たことと麻衣が折れたこと(クレープ食べたかった…)お陰でこの場はなんとかなった…けど、
「匠」「お兄ちゃん」
「「私を選ぶよね?」」
今までずっと避けたかった修羅場が始まってしまった…
――
「…有り金、全部置いとくから私先にか、帰るわ。
ごめん!相談解決出来なくて!」
「え、待ってなんとかあいつら騙して相談の機会作ったんだから今蘭に逃げられたらまじで困る!!」
私を内輪ネタに巻き込まないで〜〜!
話だけでもわかるヤバいやつらだからどう考えても私死んじゃう!!まだ死にたくない!!!!
――
皐月の部屋。
そこには少女二人と、匠を監視する盗撮機があった…
「えっと、中山蘭だっけ?」「そうそう」
「じゃあまずはそいつの駆除ね、その後再戦よ」「了解」
どうも作者です。
アッ第一志望の高校受かりました(どうでもいい)。
あとそれで…
めっっちゃサボっててすみません(土下座)
単純にネタ切れと高校生活しんどの2つが俺を殺しにきてました…
まだまだ作品は作りますがカタツムリ頻度だと思います…
次の作品は幼馴染ものから少し離れる予定です。