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腹話術一人漫才師転生。襲ってくるモンスターを腹話術でしゃべらせて必殺のつっこみで撃破する!

超短編投下します!

俺の名前は佐藤パルク。

芸名ではなく、本名だ。



なにしろ親が夫婦で漫才師をやっていて、将来は俺の事も漫才師にしようとしてこんな名前を付けたんだけど、別に芸名付ければいいからこんな変な名前にしなくてもいいだろ!と思う。


しかしそれ以上に俺は両親に感謝している。


だって名字が佐藤だぞ。

平凡な名前を付けられたらそれこそボブキャラじゃないか。

って、スポンジかーいっ!

それを言うならモブキャラやろっ!


こほん。


破天荒な親の影響でこうやってボケたり突っ込んだりするのがクセになってしまったのだが勘弁してほしい。



で、本当は俺のあとに弟か妹を作って、『パルク・マルク』っていう漫才コンビにしたかったらしい。


どんなセンスだよっ?!


でも俺のあとに子供は生まれず、その結果俺は漫才師にならなくてもすんだ…わけがない。


「相方が居なければ、一人で漫才すればいいじゃない」

「そうね。丁度知り合いに腹話術のエキスパートが居るから教えてもらうといいわ」


幼いころの俺に拒否権は無かった。


というか、嫌でもなかった。


だって両親の話はいつも爆笑するくらい面白くて大好きだったし、そんな両親が俺を面白い漫才師にしてくれるというのだから、その話に乗らないわけがなかったのだ。



というわけで俺は若干9歳で超一流の漫才と腹話術を仕込まれた。


そしてデビュー当日。


9歳の俺はテレビカメラの前に立ち、一人で漫才を披露した。


相方はぬいぐるみのくまさん。

名前はもちろん『マルク』だ。


「どーもー。パルクです!」

『マルクでクマ』

「ちょいちょい、クマだからって語尾に『クマ』って付けるのはアンチョビじゃないか?」

『マルクはアンチョビよりも鮭缶の方が好きなんだけど…ってそれを言うなら『安直』だクマ!』

「例えば中国人は語尾に『アルネ』って付けるだろ?」

『それは漫画とかだけクマ』

「中国人が『麻呂は中国人で中国~』なんて言わないだろ?」

『いやいやいや。そもそも中国人は自分の事を『麻呂』とは言わないクマ!』

「遣唐使で日本に来て移民してきた中国人かもしれないぞ」

『いつの時代クマ!』

「あと、広島に住んでいる中国人かもしれない」

『広島?』

「あと岡山とか鳥取とか島根とか」

『それは中国地方クマ!』

「そこに中規模な中国人の移民があったかもしれないじゃないか」

『中国地方に中規模な中国人の移民が居るとかほとんど早口言葉クマ!』

「ともかく、中国人は語尾に中国って付けないだろ?」

『確かにそうクマ』

「付けるならパンダだよな」

『クマ?』

「『拙者は中国人でござるパンダ。ニンニン』とか言うべきだよな」

『どうして中国人を忍者にしたクマ?』

「忍者の里に移住した中国人だからな」

『パンダ要素が薄まるクマ!』

「ちなみにその人は忍者に弟子入りするけど衣装が白黒パンダ柄だ」

『目立つ忍者クマ!』

「敵城には中国拳法で正面突破する体育会系の忍者だ」

『忍者ならこっそり忍び込むクマ!それに体育会系の忍者って、運動苦手な忍者とか無いクマ!』

「そして天守閣にある密書を頂戴して、ついでに殿さまのお命も頂戴する!」

『腕利き忍者クマ!』

「『覚悟するでござるでパンダニンニン!』と言って殿さまを一刀のもとに切り伏せる!」

『語尾が長すぎて混乱している間にやられたクマ!』

「さあ、マルクも語尾をクマじゃなくて『サケ』にするんだ!」

『どうして『サケ』クマ?』

「さっき鮭缶が好きと言ってたじゃないか。一番好きなものを語尾にするんだよ」

『一番好きなのは『クリームが載ったバームクーヘン』クマ!』

「じゃあそれを語尾にして話すんだ!」

『そんなの無理でクマ…そんなの無理でクリームが載ったバームクーヘンクマ!』

「『クマ』の分だけ長いから駄目だな」

『2文字しか違わないクマ!』

「ほら、ちゃんと言う!」

『2文字しか違わないクリームが載ったバームクーヘン!』

「うーん、やっぱり」

『おかしいクマ?』

「クリームが載ったバームクーヘンはくどすぎるよな」

『何を今更っ!』


クマのぬいぐるみを動かして俺の頭をぱかんと叩く。


「どうも」『ありがとうございましたクマ』




こうして俺の初舞台は終わった。

人気者の両親のおかげもあってウケたけど、漫才が自作であることで驚かれたのが一番うれしかった。



それから月日は経ち、俺は高校に入学するか、本当に芸人になるために養成所に入るか悩んだ。


悩んで歩いていたらトラックにはねられた。






そして、気が付いたらそこは異世界だった。


異世界ものの小説を愛読していた俺にとって、森で体長1mくらいの角ウサギを見かけた時点で『異世界キター!』って思ったからな!


でも、チート能力ってあるんだろうか?


とりあえず…


「ステータスオープンっ!」


森の中で誰も居ないのでもし間違っていても恥ずかしくない!



佐藤パルク

職業:漫才師

スキル:『つっこみ』『ボケ』『腹話術』『アイテムボックス』


それだけかーいっ!

パラメータとかないの?!

それにアイテムボックス以外は自前のスキルじゃないか!


でもアイテムボックスは便利だぞ。

中に石を入れて敵の頭上で落とせば攻撃にも使えるからな!


さっそく近くの岩を…入らない?


『アイテムボックス』

容量は1メートル立方。重さは10キログラムまで。


少なっ!


「役に立たないアイテムボックスやな!」

『そんなことないよ!ボクはちゃんと役に立つから!』


角ウサギは見かけたけど近くに居るわけじゃないのでとりあえず一人漫才をアイテムボックス相手に初めてみた。


というか、アイテムボックスは目に見えないので空中に向かってだ。


「アイテムボックスなら巨大な岩を入れてどすんって相手をつぶしたり、取り込んだ魔法を打ち返したりとかしてみろよ!」

『そ、そのくらいできるもん!さあ来い!魔法プリーズ!』

「お前、俺が魔法使えないの知ってて言うのか?」

『使えないの?異世界転移したのに?うわー、雑魚だわー』

「低容量の雑魚雑魚アイテムボックスに言われたくない!」

『ボクが雑魚雑魚ならパルクは雑魚雑魚雑魚雑魚雑魚雑魚じゃないか!』

「ぬううっ、それならどちらが優れているか勝負だ!」

『おう!』

「というわけで、じゃんけんポンっ!よし、手を出さなかったな?試合放棄でお前の負け俺の勝ち!」

『アイテムボックスに手が出せるかっ!』

「じゃあ何なら出せるんだよ」

『入れたものなら出せるよ』

「ちょっとしか入らないのにか?」

『頑張って押し込んでくれれば、そのうち広がるから』

「マジ?」

『そこの棒きれ入れてみて』


俺は足元に転がっている2メートルくらいの棒を手に取る。


「収納!」

『ふんっ』

「入れっ!」

『とうっ!』

「格納!」

『よし来た!』

「せいやー!」

『そこで押し込むんだ!』

「って、どこに向けて押し込めばいいかわからんわっ!」


パキーン!


「あれ?」


空中に向けてつっこみチョップしたら、なんか手ごたえがあった。


何か割れる音がしたけど…


佐藤パルク

職業:漫才師

スキル:『つっこみ』『ボケ』『腹話術』『アイテムボックス(破損)』


アイテムボックス壊れてる?!


何で?空中殴っただけなのに?

そもそもアイテムボックスって壊れるの?




『つっこみ』

ボケた相手を攻撃すると、あらゆる防御を無視してダメージを与えることが可能。

会心オチのつっこみは必ずクリティカルして相手を倒す。


何それ?!


でも、今ボケてたのって俺の腹話術のせいで、アイテムボックスがボケたわけじゃないよな?


『腹話術』

声が届く位置なら何にでも使用可能。

腹話術で話した言葉はそのものが話した言葉として認識される。


なにそれ?

じゃあ腹話術でボケさせて俺がつっこみ入れたら、何でも破壊できるってこと?



俺はそこにある大木に向けて腹話術を始めた。


「どうもー。佐藤パルクですー!」

立木たちきフトシやで』

「なぜに関西弁?」

『関西ってなんや?ここは異世界やから西方なまりやで』

「もしかして西から来た大木さん?」

『そや。鳥の糞でここにわいの種が落とされてから1000年になるかなあ』

「古っ?!1000年ならもうここの言葉になじむよね?」

『いや、周りがみんな西から来た仲間やからな。ここら辺はみな西方訛りやさかい』

「それで1000年もここに居たら面白いもの見て来たんじゃない?」

『そやな。一番面白かったのは、お前の顔や』

「たった今会ったばかりだろっ!」


ばきっ


「おおっ?!素手で殴ったのに大木に大きな傷が?!」


このまま漫才を続ければこれを折ることも可能だろう。

しかし、無意味に大木を折る必要も無い。


「ごめんな。治せる能力があればいいんだけどな」


そこまで言って俺は気づいた。


もう1つスキルが合ったじゃないか。


『ボケ』

相手の攻撃に対してボケることで、ボケた度合いによりダメージを軽減する。


何これ、テクニカルすぎない?


えっと、もしさっきの角ウサギなら…


つんつん


「さっきの角ウサギ居たーっ?!」


目が合った瞬間角ウサギが戦闘態勢に入った。


不意打ちをされなかっただけ良かったけど、恐らく大木をぶん殴ったことでちょっと俺に恐れをなしているのかもしれない。


『いくぞ!ボクのユニコーンアタックを受けてみろウサ!』


と、腹話術で角ウサギに会話をさせる。


「その貧弱な角でどこがユニコーンや!」


ぺしっ


俺はつっこみチョップで角ウサギの角をはじく。


「おお、全然痛くないし簡単に攻撃をはじけたぞ!」


すごいな『つっこみ』スキル!


『よくもやったな!スーパーユニコーンアタック!』

「さっきと特に変わってないだろっ!」


俺が勝手にボケさせてそれに対してつっこみをすることで攻撃をはじく。


なるほど、これなら戦える!


『どうやらボクの最終兵器を見せる時が来たウサ』

「最終兵器?」

『ウルトラスーパーユニコーンアタック!』

「同じだろ…うっ?!」


俺はあえて攻撃をかわす。


「さっきより速いだと?」


本当は速さなんて変わってない。


『この技はボクの速さを0.000001パーセント上昇させるんウサっ!』

「ほとんど変わってないだろ!もういいわ!」


パコーン!


そのつっこみは一撃で角ウサギを絶命させた。


「これが『会心オチのつっこみ』か!」


まさか体長1mもある角ウサギを素手で一撃とは…。



これなら俺、異世界でやっていけるのでは?


「きゃあああああっ!」


女の子の悲鳴?

これは助けて案内してもらう定番のパターン?!


「助けてーっ!」

「待てえっ!」


メイド服の女の子が森の中を走っているだけでも普通じゃないのに、追いかけているのが見るからにラスボスっぽい魔人なんだけど?


「大魔王様、お許しくださいっ!」

「ゆるさぬぞ!」

「いきなり大魔王かよっ!」


ばしいっ!


俺は全力で大魔王の後頭部に平手でつっこみを入れた。


「ふごっ?!」


大魔王はそのまま前に倒れて地面に顔を埋めてしまう。


「え?大魔王様?」

「早く!今のうちに逃げるぞ!」

「は、はいっ!」





これでも俺は体力のある方だ


72時間耐久漫才をやれるようにと両親に日々鍛えられていたからな。


というわけで、メイドを背負ったまま森を出て町の近くまで逃げて来た。


というか、たまたま町が合って良かったな。


大魔王とかいうの、追いかけてこないし。


「あ、あの…ありがとうございました」


良く見たらメイドさんの見た目は俺と同い年くらいだけど、童顔なのに胸がものすごく大きく、肌が浅黒くって耳がピンと尖っている。


「ダークエルフ?」

「は、はいっ。私は大魔王様の召使いになるようにダークエルフ一族から差し出されたんですけど、隷属の契約の時に逃げ出してしまって、大魔王様の『分身』に追いかけられていたんです」

「分身?」

「はい。大魔王様は分身魔術が得意なので」


それだから俺でも一撃で倒せたのか。


倒したって言っても顔が地面に埋まった程度だけど。


「それで、どうして逃げ出したの?」

「だって…私まだ12歳なのに『夜伽』とかできませんって言ったら、『俺の分身から逃げ延びたら許してやろう』って言われたので…」


え?その体型で12歳なの?

エッチな目で見たら駄目だよな。

俺はまだ15歳だから3歳差だけど、自制自制、辞世の句と。


「『ヒロインは 属性過多の ロリ巨乳』ってどんな辞世の句?!」


ぱこーんと思わず自分の頭につっこみを入れて気絶する俺。


「人間さん?!」


こうして、異世界で俺とダークエルフロリ巨乳メイドとの旅が始まるのだった。





≪連載版があったなら…ダイジェスト≫


「お兄ちゃん、やっと会えたね」

「お前は…マルクなのか?」

「そうだよ。そっちの世界に生まれられなかったから、こちらで生まれてお兄ちゃんを待っていたんだよ」

「マルク…」

「なあに、お兄ちゃん?」

「お前って、男?女?」

「気になるなら一緒にお風呂に入る?」

「駄目ですっ!マルク様は私とお風呂に入っているんですっ!」

「入って無いわっ!(ぱこーん)」

「はうーっ?!」

「ああっ、レネ、ごめんっ!」


(レネ=属性過多メイド)



「お前が無敵の防御力を誇るグランドタートルか」

『そうだ。俺様がグランドタートルずら』

「いわゆる亀だな」

『亀って言うなああっ!』


グランドタートルの吐き出す粘液をかわしつつ、俺は背後に回り腹話術を続ける。


「立派な甲羅があるから完全に亀だろ?」

『これは甲羅ではないずら!鎧ずら!』

「鎧?それなら脱げるよな?」

『なっ?!なんて破廉恥なことを言うずら?脱いだら全裸になるずら!』

「それが鎧なら脱いでも下着くらい履いているだろ?」

『そ、それなら脱いでやるズラ!』


その時、攻撃の当たらないグランドタートルはその性質通り・・・・・・脱皮を行う!



グランドタートルはスリムになって高速化して、凶悪な敵になるのだ!


普通ならね。


「鎧脱ぐどころか全身脱いでどうするんだっ!」


バッキーン!


相手の行動に合わせたボケを言わせてそこにつっこんだことで『コンボ』が成立する!


その威力は通常の10倍!


脱皮したグランドタートルはその速さを活かすことなく沈黙した。






現れたのはトロールキング。


大魔王の配下、四天王の1人である。


『ふっふっふ。良く来たなトロル』

「なっ?俺の口から変な言葉が出ているだと?!」


話せる相手に腹話術を使うとこんなふうになってしまう。

だからといって意味がないわけではない。


『おいらは大魔王様の配下、四天王最弱・・のトロールキング!』

「最弱と違うわっ!うごっ!どうしてダメージが?」


俺がトロールキングに腹話術を掛け、奴が自分自身につっこみを入れたためダメージを受けたのだ。


今の俺はだたの『つっこみ』だけでなく『つっこみ指南』という能力も持っており、俺が仕向けたボケに対してつっこんだらダメージを与えるのだ。


本来なら俺の仲間に使うと効果的なのだが、こういう相手にも有効だ。


『トロールキングたるおいらは、どんなダメージでもすぐに回復するっ!おなかが減るトロル』

「減らんわ!うごっ!くそっ、どうして俺様が話すとダメージを受けるんだ?」

『おなかが減らなくて無限再生するなら、おいらを牧場で飼うといいトロル。どれだけ肉を取っても再生するし、食事をさせなくても死なないトロル』

「さすがに何も食べないと飢え死にするわ!うごっ!お、おのれ、貴様のせいかああっ!」


ようやく俺の腹話術のせいと気づいたトロールキングが襲い掛かってきたが…


『やあ、俺っちはトロールキングの右腕だよ!右腕君って呼んでね!』

「そのまんまかよ!」


ばちーんと、つっこみでトロールキングの右腕を弾き飛ばす。


「なっ?!俺様の右腕がしゃべっただと?!」

『ふふふ。私はトロールキングの左腕』

『わては左足』

『ぼくは左足の小指だよ!』

「限定的すぎだろっ!」


ばきっとその小指を踏みつぶす!


「みぎゃあああああっ!」


これはトロールキングの本当の悲鳴だ。


『いだいいいいっ!タンスの角にぶつけたくらいいたいっ!』

「タンスあるんだ」

『スーツとか入れておかないといけないからね』

「腰巻半裸のトロールキングがスーツなんて着るかああああっ!」


バゴオオッ!


俺の会心のツッコミがトロールキングの脳天に炸裂する!






…カミング すーーーーーーーーーーん?


お読み下さりありがとうございます!

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