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ブリターニャ姫の錬金術師  作者: きくみよ
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冒険者ギルドから始めよう

俺達はどうにか人前に出れる様になったので、ロンディニの街の冒険者ギルドにいって仕事を貰える様にしようと考えた、ブリターニャがロンディニ城に住んでいたのでロンディニ城の姫様の従者だったという設定にする事にする、特に(こだわ)ったのはブリターニャ姫様の替え玉という設定だった、ブリターニャ姫様は既に亡くなっていると思われているので、利用価値が無いと云う理由で捨てられたという設定だ、地下室で育てられた為、姫様も従者もその存在を知っている者が居ないという設定で、どうにか冒険者ギルドに登録出来ないかと考えていたのだが、俺自身の事ははどのように設定すればいいのか分からなかったが答えの出ないまま冒険者ギルドに向かう事になった。


「う~む、やはり俺も姫様の偽物で良いよね?」

「え~、ユキヒコはこの子達のリーダーで良いでしょう、使い魔達の正体がバレた時に俺が召喚した使い魔だって言えばいいでしょ!」

「いや、使い魔の召喚の仕方なんて俺は知らないし、それは無理があると思うんだけど!」

「魔術師に言われるがまま手伝っていたら、何も知らないうちに召喚されていたって言えばいいのよ!、それにユキヒコは古代語が読めるのよ、古代語は魔導語みたいな物だから、頭の良い人ほど信用してくれるわ、そんなに心配しないで、でも古代語が読める事はあまり言っちゃダメよ!、本当に地下室で古代語の解読の為に幽閉される事になりかねないから!」

「うん、分かった、とにかく俺はあまり喋らなければいいんだね?」

「そうね、でも、何も喋らないのはダメよ!、話さなきゃならない時はちゃんと話すのよ!」

「はぁ~い」


そしてロンディニの街の冒険者ギルドに入る、其処は人々で溢れかえり俺達は固まって奥のカウンターまで歩いていく、そのカウンターでブリターニャが案内の人と話した後、俺達は別室で冒険者ギルドの人と詳しく話し合う事になった。

やはり五人を一度に相手にした方がいいという冒険者ギルド側の判断だろう、ブリターニャが俺達のリーダーのように振る舞って冒険者ギルドの人と話し合い、荷物運びの仕事と薬草集めの仕事をギルドから受けるがブリターニャはターニャという名前で登録した、そして俺の名前で困った事になった、ユキヒコに当てはまる名前の言葉が出てこないらしく、仕方なくUKで登録する事になった、ユーケーというらしい、まぁ、ユキヒコの愛称だと思えばいい、この方が名前を憶えやすいし、言い易いらしいので俺の冒険者ギルドでの登録名はUKになった。


「おぉ、お前達がギルドに入りてぇって奴かぁ、俺の名前はレオナルドだ、こんなジジイと一緒にされるのは嫌かもしれないが、お前達にある程度ギルドの仕事を教える事が出来るから、ギルドから案内役として指名されたんだ、しばらく一緒に行動する事になるからよろしくな!」


俺達に冒険者ギルドが案内役として紹介してくれたのはレオナルドという腰の曲がった爺さんだった、俺はレオ爺と呼んでもいいか尋ねてみると、「おぅ、いいぞ!」という言葉が返って来て、早速、今日連れてきた俺の使い魔達に、この人の事はレオ爺と呼びなさいと命令を出した、みんな嬉しようにレオ爺と呼び始めて、レオ爺が困惑していたので、俺は使い魔達に「用もないのに呼んではダメだ!」と説教をしていると、突然レオ爺が笑いながら「お前達は賑やかでいいねぇ!」と俺達を見て笑っている、まだレオ爺の性格は分からないが、レオ爺が俺達を見る瞳は幼子を見るようで、優しい人の様に感じられた、少なくとも俺の使い魔達とは相性が良さそうだ、早速、俺達はレオ爺のお手伝いをする。


「よ~し、お前達はこの荷物を向こうの荷車に積んでくれ!」


まずは荷物運びだ!、地味な作業だがレオ爺に認められなければ、冒険者ギルドからの信頼を得られないので、一生懸命に仕事をする、俺の使い魔達はよちよち歩きで危なっかしいが何とか荷物を運ぶ、俺は壊れそうな物は使い魔達に持たせない様にしながら仕事をこなす、ブリターニャも慣れない力仕事を黙々と行ってどうにか今日の荷物運びの仕事は終わった。

次は薬草集めの仕事でレオ爺と共に山に入り、レオ爺が、「コレを根っこごと取って集めてくれ」と紫色と白い色の組み合わさった花の咲いている薬草を一つ掘りだして、俺達に見本として渡してきた、そして数分で薬草採取の仕事が終わる、こんなに早く仕事が終わったのは、レオ爺の持ってきていた薬草を入れる為の袋が満杯になったからだ、レオ爺は俺達の薬草採取の速さにとても驚いて、明日からは薬草採取の仕事だけにする事を俺達に話して今日の仕事は終わった、帰りに冒険者ギルドでの依頼達成の報酬の受け取り方を教えてもらって、明日の八時に冒険者ギルドの薬草を依頼する場所に集まる事にして、レオ爺と別れて秘密基地に帰る。

そして次の日の八時前に薬草を依頼する場所にやって来ると、レオ爺の他に二人の爺さんが居てレオ爺が俺にその二人が居る事を説明してくる。


「おぅ、来たかターニャとUK,こいつらは俺の古い友人でありギルドの仲間だ!、どうやらお前達に興味を持っちまったみたいで、今日は一緒に仕事をする事になった、どうかよろしくな!」

「初めまして俺の名前はアルベルトだ!、アル爺とでも呼んでくれ!」

「アル爺ウサ!」

「アル爺だワン!」

「アル爺ガオ!」

「ほぉ~ほっほっほっ、どうやらレオナルドの言っていた事は本当の事だった様じゃ、(わし)の名前はハロルドじゃ、ハロ爺と呼んでくれ!」

「ハロ爺ウサ!」

「ハロ爺だワン!」

「ハロ爺ガオ!」

「ほぉ~ほっほっほっ、ほぉ~ほっほっほっ、ほぉ~ほっほっほっ、い、いかん~、笑い過ぎて死んでしまうかもしれん、(わし)!」


どうやら俺とブリターニャの事よりも俺の使い魔の話し方に興味があったらしく、俺の使い魔と話す内にレオ爺の連れてきたアル爺とハロ爺とも仲良くなった、そして薬草採取の仕事の依頼の受け方を三人から教わった後、採取の仕事をする事が許されている近くの森に向かう、その森に向かう途中で俺に金を稼いだらどうするんだと聞いてきたので俺が「勉強がしたい!」と言うと爺さん達は大爆笑して俺を撫でる。

俺は真面目に答えたのに冗談だと思われたらしい、その後俺の使い魔の名前を聞かれたので、教えるとまた大爆笑して俺の使い魔達の名前を呼んで、返事を返してくる俺の使い魔達の頭を爺さん達は撫でまわしていた、俺の使い魔達は皆嬉しそうに笑って爺さん達に抱き付いていて、爺さん達も嬉しそうだ。

そして昨日と同じ様に薬草を採取すると、直ぐに終わったので、少し休憩する事になった、そうするとハロ爺の脚のふくらはぎから血が出ている事が判った、どうやら何かに引っ掛かって切ってしまったらしい、そんな時はどうするのかを聞いても爺さん達は、此処でこんな傷を負うとは思って無かったので何も対策を用意してなかったと言うので俺は自分の荷物から包帯の服を取り出して、腕の部分だけをナイフで切って包帯代わりにしてハロ爺さんのふくらはぎに押し当てて魔力を流してくっ付ける、その作業をする時まばゆい光が出て、爺さん達は少し驚いたが直ぐに落ち着いて、今日の仕事はこれで終わらせる事になった。

冒険者ギルドに戻り依頼を達成した事の報酬を受け取って明日また八時に冒険者ギルドの薬草を依頼する場所に集合する事になって秘密基地に帰る、そして次の日の朝に薬草を依頼する場所で待って居ると爺さん達がやって来て、俺に昨日のお礼だと言いながら本を渡される、その本の名前は[初級錬金術入門の書]と書かれていた。


「えぇ、いいんですか?コレって結構高い物じゃないんですか?」

「良いんだよ、それを渡すはずだった子は、もういないから、お前が持っていた方が役に立つだろ、しっかり勉強するんじゃぞ!」


そんな話をハロ爺が泣きそうな顔で俺に話す、昨日は笑って、今は泣きそうになって、感情の起伏が激しい爺さんだなと思った、何はともあれ俺は[初級錬金術入門の書]を手に入れた。


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