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ブリターニャ姫の錬金術師  作者: きくみよ
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マンドラゴラを探して

俺はブリターニャの決断に納得はしているが、時々体が震える様になってしまった、おそらくブリターニャに俺の体の一部を移植した後、ブリターニャがもう二度と話す事が出来なくなってしまうのでは、と心の奥底で恐怖を感じてしまっている様だ、表向きには隠していても俺の体が恐怖を感じてしまっているからかもしれない、俺はブリターニャに提案する。


「ねぇ、姫様!、俺が先に姫様の体の一部を俺の体に移植するという事は出来ないの?、だってさ、姫様に何かあったら、そのぅ、もしも姫様が死んでしまったら俺達はどうすればいいのか分からないんだ、だけど姫様の願いも叶えるのも、俺達が此処に存在している理由の一つでもあるから叶えてあげたい、でも正直怖いんだ、だってさ姫様が死んでしまったら俺達は生まれる必要なんてなかった事になる、姫様が死んでしまったら俺達は姫様の願いを叶えるために生まれてきたんだっていう、俺達が生まれてきた意味が無くなってしまうのが怖いんだ、だから、先に姫様の体の一部を俺に移植して欲しい、姫様、お願いします、こんなワガママはもう二度と言わないから、たった一つの、たった一度の、俺のワガママを聞いて下さる様、お願い致します!」


俺はブリターニャに、先に俺の体にブリターニャの体の一部を移植する事をお願いした、単純にブリターニャの体が心配だったからだが、しかしブリターニャは俺を説得する様に自分の願望を俺に話し出した。


「ごめんねユキヒコ!、色々と怖い思いをさせてしまって、でもこのままで生きる事は私達の幸せにはならないし、何も変わらないなら死んでしまっているのと同じ事だと、私は思っているの!、私が王族として育てられたからかもしれないけど、私は何もしないで生きるよりは、何かを成し遂げて死んでゆく事が私の幸せでもあり、私の願いでもあるの、だから私を信じて、私はまだ何も成し遂げていないのよ!、ユキヒコの体の一部を移植したくらいでは死ぬ訳にはいかないのよ!」


ブリターニャからの願いを聞いた俺は、ブリターニャに俺の体の一部を移植する事を認めて、じっとしているとブリターニャが俺にナイフを渡してきてブリターニャの体の一部を切り取れと俺にお願いしてきた、俺は戸惑ったが、自分の時を思い出してブリターニャの背中から体の一部を切り取った、そして切り取った体の一部をブリターニャ渡したらその後はじっとしている様にと言われ、今度はブリターニャが俺の背中から体の一部を切り取る、そして俺が先にブリターニャに俺の体の一部を移植する、その後はブリターニャが先ほど切り取ったブリターニャの体の一部を俺に移植する、そして二人とも具合が悪くなりドッグやタイガー、そしてラビットが俺達を見つめる姿を最後に俺は気を失った、目が覚めると隣でブリターニャが本を読んでいて俺は安堵してブリターニャに話しかける。


「姫様!、体は問題ないんですね!」

「いいえ、それが問題があったのよぉ~」

「えっ、体に異常があったんですか?」

「まず速く走れるようになったわ!、それから暗いとこでも景色がハッキリ見える様になったの、そして一番の問題は魔導書が読める様になった事が問題で今確認している所よ!」

「魔導書は元々読めていたんじゃないの?」

「私が呼んでいたのは魔導書の翻訳本、ユキヒコが呼んでいたのが本物の魔導書よ!」

「ええぇぇっ、俺が読んでいたのが本物?、それじゃ俺は読めてない訳じゃなくて、読めていたって事?」

「そう!、ユキヒコも勉強をしていて、私も勉強していたのよ!、まぁ、あまり難しく考えちゃダメよ!」


明らかに俺を利用して本物の魔導書を憶えていた筈だ、俺は少し頭に来たが、さっきまでブリターニャの心配をしていた事を思い出して怒りが収まった、そして姫様にこれからの計画を聞く。


「ねぇ、姫様!、とりあえず秘密基地はそう簡単に見つからない様に出来たけど、これからどうするの?」

「とにかく街に出られるようにならないと仕事を受ける事が出来ないから、その方法を探している所よ!、どうすれば町に住んで仕事を受けられるかをユキヒコも考えてほしいの!」

「仕事ってどんな仕事をするつもりなの?」

「私が出来るのは魔法屋くらいしかないわね、でも、この格好じゃあ、お店を借りるのも不可能だから、誰かに疑われた時に病気なんですって言って、ごまかせるくらいにならなければ駄目だと思うわ!」

「その方法かぁ、とにかくこの毛むくじゃらの顔をどうにかしたいよ、しわくちゃでもいいから人の肌っぽくならないかなぁ……」

「それならマンドラゴラを探しましょう!、そうすれば顔の部分だけでも人の肌っぽく出来るかもしれないわ!」

「マンドラゴラって何!」

「言葉で伝えるより本を読んでみなさい!、ユキヒコは今まで読めなかった本が読める様になっているかもしれないから、その事を調べたいの、そして夜まで待ちましょう、夜になったらマンドラゴラのありそうな場所に行ってみましょう!、それまでは本を読んでロンディニの街のマンドラゴラのありそうな魔法屋や博物館などを憶えておきましようか!」

「うん、分かった!」


俺は今まで読めなかったこの世界の文字が読める事が嬉しくて夢中になって読んでいくが、呼んでいる途中でお腹が空いている感覚に襲われブリターニャに何か食べ物が無いかを聞いてみる。


「ねえ、姫様!、何だかお腹が空く感覚がするんだけど、俺はおかしいのかなぁ?、この体でお腹って空かない物だと思うんだけど!」

「あら、やっとお腹が空いてきたのね、ドッグやタイガーはお腹が空いたぁって私に言って来るのに、あの子達、ユキヒコには言わないのね!、ご主人様なのにねぇ~」(ニッコリ

「なぁにぃ~あいつらぁ~!」


俺はブリターニャが言う名前の出てきた二人を問い詰める、何故俺には言わなかったんだと思ったからだ!。


「おい!、ドッグ、それにタイガー、こっちに来なさい、ちょっと聞きたい事があるんだ!」

「はぃヮン」

「はいガォ」

「ご主人様ぁ~、、こいつらを怒らないでやって欲しいウサ!」

「あぁ、ラビットは呼んでないぞ!」

「でも、こいつらはご主人様が食べないなら俺達は食べないって言ってたウサ!」

「そうだったのか……」

「そうウサ、ご主人様が食べないで我慢しているのに俺達が食べる訳にはいかないって言ってたウサ!、最初は……」

「最初は…か……」

「いや、違うウサ、最初は言ってたけど、ご主人様が食べる様になったら俺達の分が無くなるから言わないでおこうって言ってたウサ!、だから怒らないで欲しいウサ!」

「ラビット……、お前は良い奴だけど、口が軽すぎるぞ!、まぁ大体分かった!、これからはお腹が空いたら俺にも言ってくれ!」


そうして三人を下がらせてブリターニャの所に行くとブリターニャが食事を渡してきた、食事と言っても細かく切ったリンゴだったが、俺の人生の中で食べたリンゴの中では一番うまいと感じる程、そのリンゴは美味かった、俺はお腹が空いたのが収まったので本を読もうとすると、ブリターニャが手伝ってと言ってきて、リンゴを細かく切った、その細かく切ったリンゴを十二個のお皿に分けて、俺の使い魔達の所にブリターニャと一緒に持って行った、みんな嬉しそうの食事をしているのを見ながら本を読んで夜を待つ、そして夜になったので名前の付いている三人の俺の使い魔とブリターニャを連れて街の中を調べる。


「あったわ!、此処には色々な物が放置されていて何とかなりそうだわ!」


俺達はお目当てのマンドラゴラを見つける、勿論生きてはいない物だが、これでどうにか人前に出て仕事が出来そうだ!、俺達がマンドラゴラの死体を見つけたのは、ロンディニ博物館だった。

逃げる様に出て行った形跡があり、多くの素材が廃棄されていたので、それを掃除していると思えば、罪悪感もなくていい、元々博物館は何処かの国から盗んできた物もあるかもしれないし、俺達が預かっていても問題無いだろう、勿論有効に活用させてもらう、その他に魔法屋なども回ったが燃やされていたりして、心が淋しくなっただけだった。

俺達は秘密基地に帰ると、素材を錬金する日々が続いた、そうして俺の顔が人間の男の子にブリターニャの顔が人間の女の子に見える様になった。


「どうだい姫様!、その顔は?」

「えぇ、とってもカワイイ顔ね、気に入ったわ!」


俺は錬金でブリターニャの顔の覆面を幾つも作った、その内の良い物は残しておいて、失敗作や気に入らない物は俺の他の使い魔に被せていく、それから俺の使い魔に俺の体の一部を移植する事は危険なのでしばらく俺の使い魔には行わない事になった、ラビットの口の軽さが危険だという俺の判断にブリターニャが同意したので、もう少し様子を見ていこうと思う。


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