使い魔と少し話せるようになる
俺はブリターニャに勉強を教えて貰った、ブリターニャは質問をしてくるので俺は質問に答える、教科書を読ませて分からない所や読めない所があると直ぐに「どうしたの?」と俺に聞いてきて懇切丁寧に教えてくれる、最初は全く読めなかった本が読めるようになった。
しかし、どうも覚え方がいつもとは違う様な感じだ、いつもと違うというよりも前の世界で憶えていた様な感じで教科書の文字を憶えていると云う感覚じゃなくて、ぼやけていた物がハッキリ見える様な感覚に近い覚え方で最初は結構戸惑った、更にその憶え方は、ぼやけていたものが日本語に変わっていく様な感覚で、俺には意味が解らなかったが読めるから別にいいやと自分を納得させて勉強を憶えていく、気が付けば外が明るくなっており、俺はブリターニャに謝った。
「あれぇ!?、もう朝になっているの?」
「そうみたいね、随分と集中していたから時間を忘れてしまったみたいね!」
「姫さま!、すいません無理をさせてしまって、どうぞお休みください、俺は起きて見張っていますから?」
「いいわよ、ユキヒコも横になって休みなさい!、よく考えて見たら夜の方が行動しやすいし、敵に見つかりにくいので、これからは夜に行動しましょう、だから今の内に休んでおいてね!」
「そうかぁ、俺は夜目が利くし、この体だから夜の方が安全に行動出来るもんねぇ~、分かった、姫様それじゃおやすみ」(スヤァ
「……相変わらず寝るのが早いわねぇ~、羨ましいわぁ~、ホントに!」
俺は直ぐ眠りに入ったが俺を起こす声で目が覚める、しかし、まだ明るいので姫様に文句を言う。
「起きて!、ねぇ、起きてぇ~!」
「んむぅ~、んん、姫様!、まだ外は明るいですよぉ~、もう少し眠りましょうよぉ~!」
「ねぇ、ご主人様ぁ~、起きてぇ~!」
「んぐぅ、ご、ご主人様?、どうしたの姫様!?」
俺はビックリして飛び起きると姫様はスヤスヤと眠っていた、ふと周りを見ると草人間のタイガーが俺を見つめていた、俺はタイガーを見つめるとタイガーは俺に話し出す。
「やっと起きたぁ~、それより誰かが近づいて来てるよぉ~、ご主人様どうしよう、このままだと見つかっちゃうよぉ~!」
「何ぃ~、それは大変だ!、様子を見てみよう!」
俺はタイガーが何故喋っているのかとか何故話が通じているのかよりもこの秘密基地に近づいて来る奴が居る事に、頭がいっぱいになって、直ぐに様子を見に行く、しかしこの秘密基地は所々未完成で覗けば奥が見える様な小さな隙間が空いていて、俺は足音のする方向の隙間を自分の体の背中で塞いだ、そして足音が過ぎ去るのを待つ。
「ちくしょぉ~、矢は当たっている筈なんだが、逃げられちまった!」
低い声の男の声がする、俺は男が過ぎ去るのを待つが、男は何かの獲物を探しているようで、なかなか去ってくれなかった、そして俺の背中の前で立ち止まると俺の背中を靴の裏側で強く踏みつけた。
「……、おかしいと思ったが何も無いなぁ~!、此処だけ柔らかい土質なだけか!、はぁ~向こうに回ってみるか……」
ま、まずい、向こう側は隙間だらけだ!、隙間から中を覗かれたら此処が空洞だとバレてしまう、バレれば俺達に戦う術は無い、皆殺しにされてしまうぞ……、俺が恐怖のどん底に陥っている時にそんな俺を震えながら見つめるタイガーと目が合い、俺はタイガーを抱き寄せるとタイガーにお願いをする。
「タイガー、お願いがある、他の奴らに俺と同じ様に背中で隙間の穴を塞いでくれる様にお願いしてくれ!」
「はぁ~い」
タイガーは固まって震えている草人間達の所に行って何やら話すと集まっていた草人間達が動き出して、俺と同じ様に背中で隙間を塞いでいく、そして足音が立ち止まりゴソゴソと草をかき分ける音がする、似た様な事が何度か繰り返された後、やっと足音が遠ざかっていった。
俺はゆっくりと立ち上がるとブリターニャの元に向かった、ブリターニャの所に着いて、ブリターニャの様子を見てみるとブリターニャはぐっすりと眠っていた、俺は気が抜けてふらつきながらタイガーや他の草人間達を労おうと草人間達の集まっている所に着くと、其処には矢の刺さったウサギが倒れていて、その倒れているウサギを見つめる草人間達が集まっていた。
「ご主人様ぁ~、この子はどうなっちゃうのぉぉ~!」
「どれどれ、ん、これは……、悲しいけれどこの子は既に死んでいる、土に埋めてあげよう!」
「ヤダヤダ、土に埋めないでぇぇ~ヤダよぉ~!」
「こらタイガー!、わがままを言うな!」
「ご主人様ぁ~、なぁにぃ~、ワガママって!」
「あれぇ?、お前はタイガーじゃないのか?、アレぇ……」
俺はタイガーがワガママを言っているのかと思っていたが違った……、目の前で四つん這いになりながら矢の刺さって死んでいるウサギに顔をくっ付け泣いている草人間と俺の横でそれを見つめる草人間が居て、首に巻いてるスカーフの柄で俺の隣に居るのがタイガーだと分かったが、目の前で泣いている泥人間は良く分からなかった。
しかしその動きや死んでしまったウサギに対する仕草を見て、この草人間の魂はウサギでは無いかと推測する、俺は流石に緊急事態なのでブリターニャを起こす事にした、ブリターニャは直ぐ起きてその泥人間の様子を見ていたが、俺に悲しい顔で尋ねてきた。
「ねぇ、ユキヒコ、アナタは聞こえるのよね?、この子達の声が!、悔しいけど私には分からなかったわ、で、この子は何て言っているのかしら?」
「この子は土に埋めないでぇ~って言っているよ!」
「アナタこの子を土に埋めようとしたの?」
「いや!?、そんな事しないよ!、最初から話すよ!」
俺はこれまでの事を詳しく話した、ブリターニャは何かに納得した後、俺に命令を下す。
「なるほど何と無く分かったわ!、それでこの子は土に埋めないでって言っているのね?」
「うん、そうなんだぁ、でも仕方が無いよね……、このままにしておく方が可哀そうだと思うんだ」
「だったらユキヒコが取り込んであげたらいいじゃない!」
「お、俺が取り込む?、どうやって?」
「普通に土に埋める様に、ユキヒコの体の中に埋めるのよ!、でも、ユキヒコも少し具合が悪くなる可能性があるわね!」
「あれか!、蝙蝠の時か!」
「あら!、憶えているのね、あの時の事を、あの時の話を詳しく聞いておきたいわ、出来れば召喚した時の頃からの状態を聞いておきたいの、どんな風に今の状態になったのかを!」
俺は最初に召喚された時から今までの出来事をブリターニャに詳しく話した、そして今のウサギの魂の草人間を見間違えない様に新しい柄のスカーフを作る事になって、ブリターニャが俺にどんな柄が判り易いか聞いてきたので、俺は白の下地に赤い水玉模様の柄をお願いしたら、「あら、とっても可愛い柄ね!」と言ってとても喜んでその柄のスカーフを作ってくれた。
そしてブリターニャが白の下地に赤い水玉模様の柄のスカーフをウサギの魂が入っていると思われる草人間の首に巻いていく、どうやら言葉が通じなかったのが相当悔しかったらしく、スカーフを巻いた人が言葉が通じるのではと試している感じがした、そうして用意が整った為、俺は手袋を脱ごうとしたがもう体と融合しており脱ぐ事が出来なくなっていた、仕方なく俺は自分の体をナイフで切ろうとしたがブリターニャに止められて、ブリターニャの発案で俺の錬金術の机に死んでいるウサギをのせて錬金術で自分の体に取り込むことにした。
原理はまだ良く分からないが、俺が作っていた草の服で死んでいるウサギを包み込み、その草の服に触れながら錬金すると、俺と死んでいるウサギを包んだ草の服が光り輝き煙が出て何も見えなくなった、そして光が収まった後には、錬金術の机の上にあった草の服は消えていた、そして俺も具合が悪くなってきたためその場に寝転がった、そして俺を見つめて泣きじゃくる泥人間が居て俺はそいつの名前を呼ぶ。
「ラビット!、どうした泣くんじゃない、あの子は俺の中に居るから、土の中に埋めては居ないから、もう泣くんじゃない!」
「うぅ、違うのぉ~、ご主人様にぃ~、無理言ってぇ~、困らせてぇ~、こんなに苦しめちゃってぇ~、ごめんなさい、うぅ」
俺は泣きじゃくるラビットの声を聴きながら気を失っていた、目覚めて気が付くと夜になっていて、俺は直ぐに動き出した、そして俺をご主人様と呼ぶ奴がまた一人増えていたが俺は直ぐにその草人間の魂が分かった。
「ご主人様ぁ~」(ハァハァ
「お前は犬だな!、間違いなく犬だ!、とにかくみんな似た様な格好をしているから分かりずらい、だからこれから話す語尾に名前を付けて話すようにしてくれ、まず犬のお前の名前はドッグだ!、ドッグはワンと語尾に付けて話してくれ、そしてラビットはウサと語尾に付けて話してくれ、そしてタイガーはガオと語尾に付けて話してくれ、分かったか?」
「えぇー、話しづらいワン!」
「仕方ないウサ!」
「嫌だけどやるガオ!」
「お前達ノリノリじゃないか!本当に嫌なのか……」