戦いが始まる
俺は俺の体の一部をブリターニャと俺の使い魔達に移植した、これでみんな龍の技が使える様になった筈だ、俺は龍の技が使える様にはなるが使いこなせては居ないので、これから特訓がまだまだ必要だが、俺が早く龍の技を覚えれば、俺の使い魔達も龍の技を覚えやすくなると思うので、俺は目が覚めると直ぐに特訓を始めようとした、だがブリターニャに止められる。
「ちょっとユキヒコ!、イングレスさんが呼んでいたわよ、話さなきゃならない事があるんでしょ、それからイングレスさんの給与の事をちゃんと聞いて来てよね!」
「あぁ、そうだった!、それじゃあ直ぐにイングレスさんの所に行って来るよ!」
俺は直ぐにイングレスさんの所に行こうと思ったが、俺の使い魔が気になるので少し様子を観ていく事にした。
「お疲れ様!、どうだい!、この子達の様子は?」
「おう!、UK!、お前は元気そうだな!、安心したぜ!、お前が元気ならこの子達も元気になるだろう、だがそれを伝えたくてもこの子達はまだ眠ったままだ!、一体どうなってるんだ?、本当に大丈夫なのか?」
「たぶん気を失っている状態なんだ!、体が変化しているんだと思うよ、強くなる為にね!」
「そんなに強くなる必要があるのか?」
「この子達は俺と一緒に居る事が好きなんだ!、でも今は俺が強くなってきて俺と一緒に仕事をする事が難しくなってきているんだ!」
「ガハハ、UK!、お前が強くなっているじゃと、そりゃ、本当なのか?」
「おぉう、馬鹿にしているなぁ~、だったらハロ爺!、俺がたった一人で戦闘員を全員倒した事を信じて無いんだな?」
「ふん、もう一度同じ事をしたら信じてやるわい」
「それじゃあ、もう一度同じ事をしてくるよ!、そしたらなんかご褒美を頂戴ね!」
「いいぞ!、泣きじゃくっても知らんぞ!」
「おーし、じゃあ頑張って来るよ!」
そう言って俺が立ち去ろうとすると聞きなれた声が俺を呼び留める。
「待って下さいウサ!」
「おっ、ラビット!、目を覚ましたのか?」
「はいウサ!、ラビットも一緒に連れて行って欲しいウサ!」
「おう、イングレスさんの所に一緒に行くか!」
「はいウサ!」
俺はラビットによしよしして顔を洗わせてから一緒にイングレスさんの所に向かう、俺が屋敷に行くとイングレスさんは用事があり出かけているとの事なので、俺達は屋敷のソファーに腰かけて、イングレスさん帰って来るまで少し待ってみる事にした、その間に俺はラビットと話す。
「ラビット!、調子はどうなんだ?、体がうまく動かないとかいう違和感とか、頭が痛いとか、何か気になる事があったら言ってくれよ、他の子達にも同じ状態になる可能性があるからな!」
「全然問題ないウサ!、むしろ体が軽くて空も飛べそうウサ!」
「そんな感覚がするのか?、きっとラビットは俺よりもそういった感覚に敏感なんだろうな!」
ラビットは俺の使い魔の中で最も優秀な使い魔だ、少し抜けている所もあるがきちんと理由を説明すれば言う事を理解できる、俺はそんなラビットにお願いをしてみる事にした。
「ラビットにお願いがあるんだが、俺の背中で錬金飴を作ってくれないか?、この鎧は背中に錬金術の魔法陣が刻んであるんだ、これでいつでも俺の背中で錬金術を錬金できる筈だ!」
「やってもいいけどお願いがあるウサ!」
「うん、どんな願いなんだ!」
「ラビットにもご主人様と同じ鎧が欲しいウサ!」
「おう、いいぞ!、ほらっ、これで良いか?」
「わぁぁぁ~い、ありがとうウサ!、でももう一つお願いがあるウサ!」
「うん、言ってみて!」
「先にご主人様がラビットの背中で錬金術を錬金して欲しいウサ、もしもラビットが先にご主人様の背中で錬金術を錬金した時に、ご主人様に何かあったら嫌だからウサ!」
「おぅ、一応実験は何度もしているので俺は安全だと判っているが、ラビットは初めてで怖いもんな、よし分かった!、俺が先に錬金術でラビットの好きな錬金飴を錬成してやる、どんな味の飴が欲しいんだ!」
「ニンジンウサ!」
「あぁ、ニンジン味だな!、分かった!、その時が来たら作ってあげよう!」
そんな話をして時間を潰してみたがイングレスさんは帰って来ないので、俺達は今日は一旦家に帰ろうと屋敷の坑道から森に抜ける場所に来た時に、森の方から帰ってきたイングレスさんと出会う。
「あっ、イングレスさん、実はターニャがイングレスさんの給与は誰が払うのか気になっているらしくて、俺もその辺の所は良く分からないので、イングレスさんに聞きに来たんですが……、イングレスさんがターニャの部下になった場合、イングレスさんへの給与の支払いは誰が行うんですか?」
「俺がターニャの部下になる事は大丈夫なのか?」
「はい、ターニャに聞いたら別に構わないらしいです!、でもターニャはイングレスさんへの給与の支払いが気になる様です!」
「給与の支払いはハロルドさんから俺に支払う様にしよう、一番年上だからな!」
「えっ、ハロ爺さんが?、ハロ爺さんがそんなにお金を持っているとは思えないけど……」
「ははは、大丈夫だ!、俺への給与は殆ど払う必要は無いんだ!、ただ形式上でそうした方がいいだけだからな!、それよりUK!、頼みがある!、今から模擬戦を一回だけやってみないか?、ちょうど連合軍の精鋭が集まっていてな、お前の話をしたら、みんなお前と戦ってみたいと言うんだ!、それにお前を軍た……、いや、戦争に参加させるのを嫌がっている人達が居て困っていた所なんだ!、お前が戦力になる所を見せてやればいいから、精鋭軍の一人か二人くらいをどうにか戦闘不能にしてやればいい、出来るか?」
「ちょうど俺達も色々試したい事があったので試してみたいです!、一回だけといわず何回か戦わせてください、あともしも一番になったら、一番になった証を何か貰えませんか?、ハロ爺さんが俺が本当に強いのかと疑っているんで、それを見せて本当に強いんだぞって事をハロ爺に認めて貰う為に必要なんです!」
「あぁ、いいぞ!、勲章をやろう!、それでハロルドさんも納得する筈だ!、それじゃあ俺に付いて来てくれ!」
「はい」
そして俺達が訓練場に着くと直ぐに模擬戦の準備が始まった、今回は旗を奪い合う戦いではなく個人戦の形式に使いやり方で行う事になった、俺達が二人なので精鋭軍も二人でチームを組む様だ!、俺達は配置に着くまでイングレスさんと一緒に行動する、そして俺達が指定の位置にたどり着いたのを確認するとイングレスさんは魔法道具から魔法を上空に打ち上げた、訓練場に模擬戦の開始の音が鳴り響く。
「よしっ、今回は敵を見つけ次第殲滅していくぞ!」
「はいウサ!」
俺は敵の居る所に突っ込む、前回の戦いは戦っている感じがしなかったので、敵と直接戦ってみたいと思っていたからだ、そして目の前に敵が現れると敵の攻撃を防ぎながらケリを喰らわせる、そうすると敵が吹っ飛んでいく、敵が起き上がろうとした所に後ろから首元を掴んで剣で首を切り裂いていく、この剣は殺傷能力は無く切った所には黒いインクが付く仕組みになっていて、首周りに丸くインクの跡が付いた者は戦闘不能という状態になって負けが決まる。
「おしっ、次に行くぞ!」
「はいウサ!」
俺がやった事はラビットが直ぐに覚えるので、今回二人でチームを組む模擬戦で俺達に勝てるチームは無かった、そうして一回戦が終わり、俺は次の作戦を試そうとイングレスさんに二回戦はいつ始まるのか聞いた所、イングレスさんは俺に勲章を渡して「二回戦が出来る様な状態じゃなくなったから今日は帰って良いぞ」と言うので、俺達は自分達の家に帰る事にした。
「お~し、ハロ爺!、コレを観てくれ!、一番になった証だ!、これはハロ爺にあげるよ!、それより何かご褒美をくれると言っていたけど何をくれるの?」
「そうか……、一番になったのか?、それじゃお前達に褒美をやらなきゃならんのじゃが、儂にはお前達にあげられる物は無いんじゃ……、だから……、だからぁ、お前達を儂の孫にしてやる!」
「孫?」
「そうじゃ、お前達は儂の家族として生きる事を許す、うぅ、それが儂からのお前達への褒美じゃぁぁ!」
ハロ爺はそう言って泣き出した、そのハロ爺の泣き声を聞いて、眠っていた俺の使い魔達が全員起きてきて、泣いているハロ爺に抱き付く、そうするとハロ爺は更に号泣してしまった、ハロ爺の家族の事は分からないが以前の口ぶりから孫が居た事は間違いない、だがその孫は生きては居ない事もハロ爺の話から察しがついていた、おそらくハロ爺は死んでしまった孫の事を思い出してしまったんだろう。