テストの時間
テストの時間が余った。
とてもたくさん余った。
私は何をするべきか。
見直しだ。
でも、もう何度も見直した。
今、何をしたいのだろう。
問題用紙に書けること。
執筆という私の趣味。
遂に書き始めてしまった。
先ほどまでの強い雨はどこへ行ったのだろうか。
雨は全く降っていないが、曇天の空をじっと見つめると、赤いクレーンが動かずにじっとしている。
周りももう解答を終えているようで、思い思いのことをしている。
そんなに簡単だったかと問うてしまうテストであるのに。
突然、そのクレーンは動き出した。
ゆっくりと何か作業をしている。
木々からは鳥たちが出てきて、昼間の、もの寂しいような、ウキウキするような複雑な思いが交錯する時間である。
一匹の鳥は、素早く飛び回り、仲間を捜しているようにも見える。
その鳥は木々に入っては出て、飛び回って、また木々に入って、別の所を飛び回り、少し可哀想でもある。
その鳥は動きを変え、その赤いクレーンの方へ飛んで行った。
赤いクレーンはせわしなく動いている。
その飛んでいる鳥は、その方向に行ったかと思うと、いきなり消えた。
正確に言うと、あっけなく落ちていった。
それでも、クレーンはそんなことも気にせず、動き続けている。
もしかすると、既に踏み潰したかもしれない。
だけれども、人間は気にしない。
なぜなのか。
人間にとっては小さなことであるからだ。
一生懸命生きている鳥と人間。
どちらも何かが犠牲になってしまう。
今回のはどっちが悪いとかでもないが、人間も気にしている場合ではない。
人間って何考えてんだろ。
テスト終了のチャイムが鳴った。
今日のテストは、これで終わりだ!
とりあえず、暗記をしようと、明日に向けて準備をした。