7.花も恥じらう
瑛理が来てから1週間が経過した。
彼女は俺が寝ている間に朝食を作り、会社に行っている間に家事を全てこなしていた。
俺も手伝うから全部やる必要はないぞ、と言っても、私がやりたくてやってるから大丈夫!と言って聞かない。
こちらとしても助かるのだが、やはり申し訳ない気持ちもある。
なんか買ってきてやるか・・・。こいつ甘いものとか好きかな。
暦は変わり、3月から4月へ。
今日は新入社員が来るって話だったな。どんなやつだろうか。まあちゃんと仕事してくれればなんでもいいが。
そんなことを考えつつ朝の支度をしていたが、今日の瑛理がどこか変だ。
妙にソワソワしているというか。
しかしその疑問はすぐに解消された。
朝食後、瑛理は部屋に篭ったかと思うと、勢いよく扉が開かれた。
おい、一応ここ俺んちだからな。壊すなよ。
「康介さん、見て!」
そう言って現れた瑛理は、高校の制服に身を包んでいた。
ああ、そうか。今日は入学式か。
「おお」
なんて返していいか分からず、短く返事をする。
「どう!?似合う!?」
どう、と聞かれてもな。制服が似合わない高校生なんてそういないだろうに。
「はいはい、似合ってるよ」
「むぅ。なんかテキトーだなぁ」
「そんなことねえよ」
まぁ、正直なところ、幼さの残るかわいらしい顔立ちに、綺麗な黒髪の彼女に制服というのはとても似合っていた。
それを口にする気はないけれど。
「俺、もう行くぞ」
「あ!待って待って!」
彼女は慌てて台所へ駆けていく。
「はい、お弁当!今日も頑張ってねっ」
「おう、いつもありがとな。瑛理も学校気をつけて行けよ」
「ん!いってらっしゃい!」
瑛理に見送られて家を出、駅に向かい電車に乗る。
いつもどおりの出勤だが、普段となにかが違うと感じるのは、その中に新入社員であろう者たちや、瑛理のように新入生の子だちがいて、ソワソワしているからだろう。
見ているぶんには微笑ましい。
さて、今日も一日頑張りますかっ。