6.憎むべきアイツに終止符を
月曜日。
それはこの世の大抵のサラリーマンにとって、地獄の始まり。
人が気持ちよく寝ているところを叩き起こそうと必死に騒ぐ目覚まし時計。
耳障りで何度スクラップにしてやろうと思ったことか。
この時間にセットしたのは自分だというのに・・・。
そう。一介のサラリーマンである俺も、例に漏れず、月曜日を憎む一人だ。
今日の朝、この瞬間までは。
いつものようにけたたましく鳴り響く目覚ましと格闘しつつ、なんとか眠い目をこすりつつ意識を覚醒させようとすると、違和感が。
まず感じたのは、匂い。
そしてかすかに聞こえる鼻唄。
急速に意識が覚醒していく。
起き上がると、向こうもそれに気づいたのか、こちらへ向かってくる。
「おはよう、康介さん!」
そう言って微笑んだのは、先日から同居を始めた姪の瑛理。
「おう、おはよう」
「ふふ、寝ぐせついてるよ」
そう言ってはねた髪を触ってくる。
テーブルに視線を向けると、広がるのはまぎれもない朝食。
ご飯に味噌汁、鮭に目玉焼き。
「これ、瑛理が作ったのか・・・?」
「うん、そうだよ!康介さんお仕事でしょ?私も少しでも力になれたらなって思って」
「お、おう。ありがとな」
「ううん、どうぞ召し上がれ!」
朝食なんていつぶりだろうか。
いつもは面倒くさいし、用意する気力もないのでまあいっかというのが習慣になっていた。
少し薄めの味付けの味噌汁が心に染みた。
支度を整えて玄関に向かう。
後ろには当然のようについてくる瑛理。
「帰りは何時くらい?」
「んー、残業にもよるけどなぁ」
「そっか、帰る時連絡してね」
「あいよ」
「それと、はいこれ」
と渡されたのは巾着袋。
なんだこれ?と思って見ていると
「お弁当。ちゃんと食べてね!」
とはにかむ。
こ、これがあの噂のオベントウってやつか!
思わず持つ手が震えるぜ。
「それじゃ、いってらっしゃい!」
「いってきます」
嗅覚、聴覚、視覚、触覚、味覚、朝から五感全てが満たされて、満面の笑みで送り出されるなら、月曜日も悪くはないな、と思えてしまうのであった。