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過去に生きる私8  作者: 佐藤朋栄
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自伝

8th story

未来へと…



去年病院を後にしたアタシはその足でハロワへと向かう 春の陽気がそこまで来ていた

失業保険を止めていたので解除の手続きをし、アタシのやりたい職業の話を聞こうとした矢先、職業訓練校のチラシを見つけた。 その中の二次募集のが目を引いた

何種類かあったがアタシが行きたいのは一つで翌日締め切りだった。 急いで申請しその週に定員に絞るテストを受けた

後から分かったことだか結局二次募集までしてようやく定員に達したがやることはやったカンジであのテスト意味あったのかなぁ 全く関係のない内容でさっぱりできなくて落ちたと思うほど落ち込んだ


そんなんで合格したアタシは職業訓練の手続きと説明を受け慌ただしく翌週からの受講に備えた

受講初日、教室に入ると席に番号と名前が貼ってありアタシは緊張しながら自分の番号の席に座る

隣は女性で挨拶をするとにこやかに返してくれた。楽しくなりそうな予感

実はこの女性、後に心友となる人間で色々と深い話をする仲になるのだがまだ先の話。


さて、授業は座学は全て出席しなければならないというちょっとハードルが高めだったが アタシは睡眠障害が悪い方に出なければ問題ないと思った

自分からやりたいと願い受講しているので退屈にもならず 未来に想いを馳せ将来を考えながら興味津々で話を聞いていられた。


講習は1日5時限、月~金で授業の合間の一服やお昼休憩は楽しみの一つだった

タバコを吸うのは5~6人で一緒にいる時間が長い分仲良くなるのも早かった

そんな中、隣の女性が自分のコトを突然カムアウトしてきた アタシはそれを受け止め放課後自分について語った

彼女は人間観察が得意でなんとなくアタシがこうであるのを予測していたようだった アタシも人間観察はよくやる方なので周りの会話や仕草、行動など何気なく見るが彼女ほどではない

結果二人の仲は一気に縮まり放課後長い時間話すのもざらだった それは楽しいひとときだった


座学終盤、精神障害の理解という授業でDVDを観てその障害についての分析をする授業があった

アタシにはお馴染みの時間で更に突っ込んだ内容がすごく勉強になった おまけにGIDもありかなり前のめりで観ていたのは言うまでもない


座学が終わるとパソコンの授業になりアタシ達が就職する場所はパソコンを使う場面が多いそうだ

超苦手なアタシは目の前が真っ暗になりながらなんとかとなんとかの授業を受けたが ほらーやっぱり適正ゼロだー(涙) こんなんリームー

やっているように見せかけて手を抜いて、隣の女性に怒られてw

毎日燃え尽きながらなんとか最後までやりきった

それもこれも隣の女性の手助けと放課後の二人きりのトークがモチベーションだった


座学の最後にテストがあり6割以上でないと追試、受からないと資格をもらえないとあってみんな必死で勉強した なんとか一発で合格したがホッとした

最終日、無事全員資格を取得することができその授与式があった

全員で色紙を書いたのを社長に渡す アタシは知っていたが ある日睡眠障害が悪い方に出て退出して寝かせてもらった そこは応接室で眠りから覚めると壁に歴代の先達達が書いた色紙が飾られていて、アタシ達の色紙もこれから常務が飾ってくれるのだろう 常務はいとおしそうに色紙達を見ていた

実はゴールデンウィークの前日、アタシは鬱った 急に哀しくなり泣きじゃくりそのまま動けなくなった

休みだったのが幸いし座学に穴を空けずに済んだがマズイと思ったアタシは社長と専務に全てを打ち明け相談すると、二人は優しく問題ないよと言ってくれた ここに受講にくる人間のうち大体毎回一人はなにがしかの精神疾患を持っていたそうだ アタシだけではないんだとホッと胸を撫で下ろす



おかげさまで色んな人からの手助けがあって資格を取得したアタシはこれからの行動に思いを馳せる

すぐに就職したかったがやることがあり就活は少しずつやりながらメインは改名。アタシの中でトランスジェンダーとして一応のピリオドとなる

LGBTの活動も平行して充実した日々を送っていた。ある大学の学園祭のLGBTサークルに出席し友達もできた リア充w


裁判所へ行き改名の資料をもらい説明を受ける。自分で書く所はいいとして、通名を長年使っていた証拠が必要でアタシは通名を使っていた事実はあっても証拠がなく慌てて証拠作りに奔走した 手紙を送ってもらったりラインに通名が書いてある所の写真化など

精神科に通っていたしGIDの診断も受けていたので改名用の診断書は担当医に快諾してもらった

そしてすべてが揃い裁判所に提出した。今度は事情を話しに来なくてはならない。

召喚の通知が来て裁判所へ 事実があるのですらすらと言葉が出て聞いてくれる人に伝えた。 その人は分かりやすく裁判官に伝えてくれて結果は後日だけど、そんなに苦しんでいるのなら改名した方がいいですねと言っていましたよと伝えてくれた。

そうはいっても結果が来るまで不安の毎日を過ごした もしかしたら… 頭の中をぐるぐる悪い結果が巡る

アタシの同族で改名した子がいる。結果が来るまで1ヶ月かからなかったそうだ

一日千秋の思いで待ち、果たして結果は来た 恐る恐る封を切ると ! 可決! やったー!!!


改名した後の行動は既にリストアップしており、優先順位ごとに改名手続きを終わしていった

20ヵ所くらいあり大変だったが自分が生まれ変わるのだと思うと煩雑な作業も苦ではなかった

そんな中一番面倒だったのが持ち家と土地の改名で、それだけなら自分でできますよと言われたが用意するものや書かなければならない書類が難しくかなりてこずった

アタシも経験したがこの大変さは持ち家がある家の葬式の後の長男の手続きと同じくらいかな


さて、そんなこんなで死んだ名前に代わり朋栄に生まれ変わったのだがいよいよ就活に本腰を入れなくてはならない いつまでも失業保険はないのだ

艱難辛苦、うん この言葉がしっくりくる 最初障害者枠で目的の職業を探したが本職の手伝いとか施設の清掃とかフルタイムで正職に就きたいのにまずない

極め付きはある施設の上役の言葉で「障害者は利用者に対して何があるかわからないから採れません 絶対就職できないよ」と言われた

そんなコトやってみなくちゃわからないじゃない、と思ってみても始まらない よーし クローズで就職して障害者でも立派に続けられる事を証明する!と心に決めた


最初に手広く就活してしまった為選ぶ所は少なかったが諦めなかった

すると、面接をしてくれた所の中で、最後になる施設がアタシを受け入れてくれた

かなり吹いたもんな~ シングルなので土日祝日出られますとかフルタイムで夜勤もできますとか。

そして覚悟を決めてGIDである事をカムアウトする

戸籍は男性なので男性で働きますのでと。

コレは言っておかないと何かあった時の予防線 あと試用期間終わったら堂々とやれる範囲で女性になるからw

アタシの場合女性扱いでの就職は職業的に無理だったと思う

一週間後、施設から採用の電話が来た。向こうにしてもへんてこりんな奴の採用でかなり悩んだはず

面接着たくもない男性用スーツでかなり頑張ったもーんw


2月1日、まともな就職は久しぶり 仕事内容は辛いことも多いけど自分で望んで入った職業 楽しい

今の悩みは3ヶ月の試用期間 これで使える人材だと認められないと切られるかもしれないと焦る

なので自然と職場での振る舞いに力が入るけど焦ったって仕方ないのは承知でがんばるのw

就活用に泣く泣く切った髪も結構伸びてきて試用期間が終わる頃にはいい感じになってるはず

ここで一曲

がんばれーまけーんなーちっからーのかぎーりいーきてーやれー

そんなアタシの新しく始まった人生 4年後どうなっているのか想像もつかないが近年ライフスタイルの充実をみている今日この頃、面白くなってきたと驚きと希望と迷いに戸惑いは隠せない

さて、これからどんな道をたどり行き着く先には何が待っているのか それは誰にもわからない…

どうせなら最期の日まで幸せに生きていきたい、未来はアタシの手の中にある



fin

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