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クエスト受注

投稿の順番間違えました

「だぁかぁらぁ!!何度言ったらわかるんですか!!」


ギルド内に今日何度目かの怒鳴り声が響く。

発生元は最近やけに声を張るニアルだった。

ニアルのギルドメンバーからの印象は冷静ながらも社交的で書類仕事などはかなり有能な部類に入る、と言ったところだ。

そんな彼女が珍しく気を荒げている。対象はもちろん


「ノヴァさんはまだEランクなんです!!Eランクのクエストしか受けちゃダメなんですよ!!」


期待の新人と密かに噂されるノヴァである。


「これ見てください!!ノヴァさんが持ってきたクエスト用紙です!適正ランクSって書いてありますよね!?わかります!?Sランクかそれ以上の方しか受けちゃダメってことですよ!昨日説明したじゃないですか!」


「いやでもね、クエスト内容がクソしょぼかったのよ。もう片手間で終わらせられそうだったのよ」


「バーニング・オッド・ドラゴンの討伐ですよ!?」


「おん」


「おんじゃないです!!わかってるんですか!?バーニング・ドラゴンの上位種ですよ!?Sランクの冒険者が危険を冒して倒せるかどうかの敵ですよ!?いくら腕に自信があってもつい最近冒険者になった新人が手を出していい相手じゃないんです!!わからったらささっと適正ランクEのクエストもってこい!!」


かなりの剣幕のニアルに対し、ギルド内がすこしざわつく。


「ニアルちゃんの口調がまた崩れたぞ」


「ノヴァって新人が来るまであんなニアル見たことなかったな。」


「どうやらあの新人はニアルの天敵みたいだな」


自分の話題が囁かれ始めたことでニアルは冷静さを取り戻し、咳を一つしてから恥ずかしそうに座り直した。


「んん!とにかく、EランクからDランクに上がるのには苦労しないと思いますし、多分ノヴァさんならDからCも問題なく上がれると思います。だから今はコツコツEランククエスト受けてください」


「んー…」


「なんですか。まだなんかあるんですか」


「いやね、この制度決めたのはギルド長なんだよね?」


「まあ、そうですね。」


「だったらさ、ちょっと一回話さしてくんない?」


「なっ!」


何気なく発せられたノヴァのその言葉に、ニアルは絶句する。


「何言ってるんですか!ギルド長と直談できるのはこのギルドでも、いえ、この国でも限られているんですよ!ギルド長と話すにはそれほどの地位と、そうでなきゃよっぽどの理由がいるんです!」


「いやだからよっぽどの理由が」


「ないだろ!!どうせアンタの言いたいことなんてEランクだけどもっと上のクエスト受けたいとかそんなでしょ!」


「…」


「ほらやっぱり!大体100歩譲って直談がOKだったとしても、ギルド長は今いないんです!どうあがいてもノヴァさんはEランククエスト受けるしかないんですよ!」


「え、今いないの?」


「……ええ、これまた知らなかったことに驚きですが、ギルド長は今単身でミカエリ密林の調査に出向いています。いつ頃お戻りになられるかは未定です。」


「なんというタイミングの悪い」


「もう理解しましたよね?もういいですよね?」


「あいよ。まあ雑草積みもドラゴン退治も大した差はないし、いいや。」


「……色々言いたいことはありますがこれ以上言うとややこしくなりそうなのでもうそれでいいです。」


「んー」


ジト目で見つめるニアルをよそに、ノヴァは新たにクエスト用紙をもう3枚ほど持ってくる。


「んじゃあこれよろしく」


そして受付テーブルにその3枚を置く。


「なるほど。キニシナイデ草10本の採取が一件、タダノ草1本の採取が一件、ムッチャマズイ鳥三羽の狩猟が一件。はい問題ないですね。ただ、この3つをまとめて受注するのはあまりオススメしません」


「なんでや」


「キニシナイデ草とタダノ草は正真正銘Eランククエストなので全く問題ないんですが、これ見てください」


言うとニアルはムッチャマズイ鳥のクエスト用紙を指差した。


「適正ランクE〜Dと書いてありますよね。この表記はいわばEランクでも受けられるDランククエスト。まあ、基本的には限りなくDよりのEランククエストと認識されています。つまり、そのクエストは難易度だけならDランクの最下位くらいはあるというわけです」


「なんで?攻撃してくんの?」


「いえ、してきませんし、してきてもクソカスです。ただ、程々に見つけにくくて、程々に逃げ足が速いんですよ。なので最初このクエストを受けた人は大抵ヘトヘトになって帰ってきますね」


「へー。じゃあこの3件でよろしく」


「人の忠告を……。ほんとつくづくいうことを聞きませんね」


ため息混じりにニアルは手元の書類判子を押す。


「とりあえず受注は完了しました。これで本当にヘトヘトになって帰って来ても知りませんからね。」


「あいよー。」


軽く手を振りながらノヴァはギルドを後にする。


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