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才人の才人による凡人のための処世術  作者: 西モコナ
第1回、異世界到達。それは森の中だった。
4/21

サバイバル術を思い出してみましょう。

 第4回目です。

 どうぞ良しなに。

 とはいえ、単なる一般人が森の中で過ごす、なんて現代のアウトドア機器を用いなければほぼ不可能だろう。

 それこそ軍職だとかアウトドアの専門家でないと火ですらつかない始末だ。

 さらに、1番の心配事はこの世界が地球と同じような生命体をもつかどうか。

 森の中にある木々でさえ異世界であることを伺わせる大きさなのだ。小鳥の声は聞けど未だ動物の姿は目にしていない。

 動物に関しては幸先に不安がある。


(まぁ、サバイバル術で凌げるほどであれば何とかなるでしょう。心配しすぎても体に悪いものです。

 私はサバイバルの専門家ではありませんが、昔、その手のことは一通りしていますし思い出しながらであればそう難しいことではないでしょう。いざというときは携帯電話もあります。

 さて、水の確保の方法は……)


 いくつかの選択肢が頭の中に浮かぶ。


(1.泥水を飲料水に変える方法

 2.朝露を集める方法

 3.雨水を集める方法

 4.雪を飲み水にする方法

 5.太陽熱蒸留法

 6.青草を利用する方法

 7.海水を蒸留する方法

 8.竹やバナナ等の植物から水を得る方法

 9.携帯浄水器を使う方法 


 ぐらいですかね)


 これらは近くに湖と川があることから、その水の安全性が確かであればほぼ必要なし。ただし、ここは異世界なのだ。

 たとえ綺麗なものであっても異世界の地であることを忘れてはならない。


 もしかしたら、地球の日本という先進国から来た私には全く抗体がない菌がいるかもしれない。

 もしかしたら、実は湖の奥底に得体のしれない危険生物がいて身を危険にさらすかもしれない。


 この2点は常に疑って行動すべきことだろう。何かあってからでは遅いのだ。

 これは、水の話だけではない。食料調達にも同じことが言える。むしろ、食料調達の方が断然危険だ。なんせ森の中を彷徨環なければならない。


 現在の時刻は、あれから少し経ってAM10:13とまだまだ日が高い。気温も高い。今のうちに食べられそうなものを集め、食べれるかどうかも確認しておきたい。

 もう一度、辺りを見渡しめぼしい植物を採集。なるべく根の部分を傷つけないように取り、地面の上に野草で小さな山がいくつかできあがるほど取る。

 小分けに積んだ野草を拠点に運び、運び追えれば植物の見た目上の種類ごとに分類を始めた。

 それが終われば今度はキノコ採集。探索時に採集していたキノコと同じものを採集。


(この木の付近に自生していた植物は、キノコがウラベニガサやキクラゲ、ハタケシメジに、野草がつくしやヨモギ、タンポポ、オオバコ、ふき、ノビル、クレソンヤブガラシ、ハコベ、セイヨウカラシナ、ナズナ、セリに見た目が似ています)


 探索の道中と拠点付近で発見したキノコと野草は、木とは違って日本の森の中や道端、川辺に自生する植物と酷似していた。

 それこそ日本と同じ効果がある植物であれば、役に立つ植物ばかり。どうか同じであってほしいものだ。

 もしかすると、拠点としているこの木だって見た目は前代未聞だが、葉の形からして広葉樹であることは確かなので私が知らないだけで日本に実在するのかもしれない。

 ついでなので、目についた綺麗めな落ち葉を布団の代用として何枚か持ち帰る。


(植物は大体採集できました。後は食べることができれば森の中も生き延びられることでしょう。……ただ、この中にある食料にはタンパク質が足りません。

 近くにはマメ科の植物は見当たらないよう。となれば、遠出をして探すか、罠を張って野生動物を捕まえるか。

 依然として湖や川の危険生物存在は確認できていません。遠出するにも湖を調べるにも危険が伴いますので、どうせですから何か対抗できる武器を制作してから調査しましょう。

 今日の昼の分はカバンの中にお弁当があります。飲料もコーヒーと水が、おっと。コーヒーには利尿作用がありましたか。コーヒーは水の安全確認が終了してからですね。

 あぁ、できることならばリラックスして心置きなく飲みたいものです)


 まだ見ぬ桃源郷に思いをはせる。桃源郷どころか日本の生活水準に戻れることすらわからないというのに。

 私は、自分で言うのもなんだが、案外根に持つタイプなのだ。元あった生活はそうやすやすと手放せるものではない。


 それこそ、私自身に何の経験もなかったとして、携帯電話から情報だけを調べたとしても知っているとできるは違うのだ。

 ただ単に実験感覚でするにはリスクが高すぎる。いや、最早異世界の地にいる時点でリスクなど計り知れない。

 せめてこの地の住人に合うことが叶えば……、会話ができる相手であれば、対処のしようもある。


 とりあえず短期目標は食料調達、中期目標は異世界人に会うこと、長期目標は生活水準の向上(町中の生活)、そしてスローガンは『生き延びる』と。

 我ながら生か死かという究極の目標に、堪え切れないため息がでた。





 優先順位で考えると、水・食料の調達は確実に1番。以下順位に住人捜索であったり、トイレの場所であったり、温水風呂であったりだ。

 優先順位を達成できるよう武器・道具の作成も同時進行で進める。


(武器の材料は、丁度異常な大きさの木が自生しているので、落ちている枝を使いましょう。山の中ではありますが、いざというときに火を付ける材料にもなります。

 暗くなれば危険性は一気に高まりますので、明るいうちにできる限り枝を集めましょう)


 そうと決まれば、早速採集に向かう。拠点付近の探索時には枝は落ちていなかったため活動範囲を少し広げてみることにした。

 足場は地面はしっかりしているが大きな葉が幾重にも重なっている場所もあり、結構凸凹していて歩きずらい。


 葉を踏みしめ歩いているとより硬いものを踏んだ気がして、踏んでいた葉から下り、葉をめくってみる。すると、


「これは……、いえ、これが(・・・)というべきですね」


 感覚的には木の根っこを踏んだときと同じだ。しっかり踏みしめても揺るがない安定感というのだろうか。


 葉をめくった下には日本にある木々でいう”丈夫な木の根っこ”が転がっていた。いや、葉の重さで埋まっていた。

 これが木の根っこではないと思えたのはごく単純な理由で、埋まっていなかった両端がどの木にも繋がっていなかったから。

 実際、この異世界風の枝がほぼ埋まっていたとしたら間違いなく根っこだと思ったまま通り過ぎていたはずだ。

 全長10mの木から想定すると、確かに私の中での木の根っこ程の大きさが”枝”と呼べるのかもしれない。

 

 枝の推定される長さはおよそ2m弱。しかも、見た感じが若い枝なので何かの拍子で折れた枝だろう。

 太さは片腕で俵のように抱え込むと丁度いいくらい。とても頑丈そうな枝だが思っていたより軽い。


(枝の大きさが根っこほどあるとは。驚きです。ですが良い方面での驚きでした。

 落ちている枝の大きさが片腕分、且つ2mもあるのであれば何か作るにしても木を伐採するのではなく枝収集で済みます。暖や明かり、調理の為に使うとするなら、1週間持たせることは可能でしょう。

 あまり多くは持ち帰れませんが、常にストックしておくのはいいかもしれません。武器としては、棒、棒から派生して棍棒、石を磨木取り付ければスピアあたりが作成可能でしょう)


 それからというもの、枝さがしから根っこ探しに焦点を当てると全く見当たらなかった枝が見つかること見つかること。

 先入観というものがいかに視野を狭くするかが分かる結果だった。

 

 根っこもとい枝の採集を終え、拠点への帰路へつく。

 枝があまりにも大きいため、今回持って帰れたのは2本。この2本で当面の暖と明かり、野生動物と戦う武器を作る。

 昼まで時間があるので、早速武器作成に取り掛かることにした。


 サバイバルをしているところを見るのは楽しいですが、したいとは思いませんね。

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