第1章 2
探索を続けていると人間の死体を見つけてしまった。
体中に傷があるが、槍が頭部を貫通しているのが死因だろうか。
まだ腐敗中で、辛うじて男性だとわかる。
この死体は異常だ。死に方ではない。
赤く発光している。
そして俺の頭の上も。
「なんだこれ」
頭の上に手をやると、何かが乗っかっている。
取ってはずしてみるとそれは黄金の王冠であり、大きな宝石が埋め込まれ、
その一つが死体と同じ色で発光していた。
・・・なんかわかる気がする
俺は思いついた言葉を口に出す。
「デトネイトデッド」
その瞬間
死体がビクンと仰け反り、アバラ骨が腐肉を突き破った。
とても人間とは思えない禍々しい姿になると、赤黒い炎に包まれ爆発した。
辺りにはボッという間抜けな音が響いた。
・・・俺は恐らくネクロマンサーだ。
この赤黒い炎は見たことがある。ネクロマンサーがどういった存在かもわかる。
死体から何かを作り出したり、死体を何かに使うことに特化した存在だ。
種族はまだわからないが、少なくとも人類ではない、骨的な何かだろう。
自分が何者なのか少しだけ理解した俺は軽い安堵感に包まれ、
同時にこれから何をしたらいいのかという疑問が生まれた。
「とりあえず自分の身を守れるくらいの力があるのかは試さないとな・・・」
・・・
実験をすべく、次の死体を捜していた。
広間に着くと三体の死体を見つけた。死因は体中に突き刺さった矢によるものだろう。
例の如く、赤く発光しているので見つけやすい。
どうやら利用できる死体は発光するようだ。
俺は頭を捻り、ネクロマンサーの魔法を何か思い出せないか試していた。
死体を利用するのはさっきやった、次は死体から『何かを作り出せるか』だ。
そもそも何を作りたいかを考えた。俺には今攻撃手段がデトネイトデッドしかない。
威力については相手がいないと試せないので今は不問としたが、重大な欠点がある
これは周囲に死体がないと発動しないのである。
仮に敵対する存在が目の前に現れたら、俺は何も出来ずに破壊されるだろう。
つまり今俺に必要なのは、周囲に死体がないときの攻撃手段か、防御手段である。
俺の盾となり、剣となる存在を作り出そう。
そう思った瞬間、俺の口から魔法が零れていた。
「カオスリザレクション」
三つの死体に赤黒い霧がかかり、心臓の部分が同じ色で燃え出した。
その心臓から赤黒い液体が死体の体中に駆け巡り、血液のように循環している。
死体は静かに起き上がると、よだれを垂らしながら俺をじっと見つめた。
果たして会話は成り立つだろうかという期待を込めて俺は言った。
「おはよう、よだれ垂れてるぞ」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
まぁ、わかっていたことだ。ゾンビがハキハキ喋ったら気持ち悪いとも思う。
俺は心の中で少し強がると、彼らに命令を下した。
「俺に付き従い、敵対する存在を排除しろ」
ゾンビ達はわかったのかわかってないのか、俺の後ろを付いてきた。
俺は表情こそないが、きっとその口は笑っていただろう。
ネクロマンサーとしての力を徐々に思い出せていることに喜んでいる俺がいた。
少し楽しくなってきたな。もっとやれることがあるはずだ。