序章 -サービス終了-
今、一つのネットゲームがサービス終了を迎えようとしていた。
「カオスオンライン」
プレイヤーは人類、亜人類、魔物の3つの勢力のどれかに属し、
他種族への侵攻や戦争によって領土の拡大を目的とするVRMMOだ。
サービス終了間際の今、復帰者を含む多くのプレイヤーが最後の戦争を繰り広げていた。
恐らく皆の目的は一緒だろう、最後の思い出作りという。
真っ赤に染まる空の下、人類の青年と亜人類の少女がそこにはいた。
遥か前方に聳え立つ魔物達の本拠地、通称「魔王城」を目の前にして。
周りでは多くのプレイヤーが戦闘を行っていて、各所で断末魔や爆発音が轟いていた
「アレ使うか、アレ」
「まだ使ってなかったの?サービス終了日まで使い所なかったなんて可哀想ね」
「うるせーな、こういうのは取っておくことに意味があんだよ」
「・・・どんな意味があるのかしらね」
青年はポケットから色取り取りの宝石を取り出し、ぼーっと眺めていた。
「これコンプするのに何万使ったんだっけな・・・」
「まさか今さらもったいないとか言うんじゃないでしょうね」
呆れ顔の少女はカバンに手を入れると、青年と同じような宝石を取り出した。
「あたしはウリエルが残っていたわ」
「俺は5大天使が全部・・・」
「全部一気に使ったら間違いなくあの城は吹き飛ぶわね」
「魔王軍の奴ら怒るだろうなぁ」
「もっと早く使っておけばこのゲームで英雄になれたのにね」
「別に英雄になりたかったわけじゃないからいいさ」
「・・・そう」
サービス終了まで後10秒程しかない
「じゃあ、使うわよ?」
「おう!せーのでやるぞ」
「はい、せーの!」
「え、ちょっ早!!!」
二人が宝石を空高く放り投げると、不気味な程真っ赤だった空が一面真っ白になった。
SS級の召還範囲魔法、一つでも周囲20kmを焼け野原にできる程の強力なアイテムだ。
なんで最後に魔王城を吹き飛ばさなくてはいけないのか、本人達もよくわからないが、
「まぁ、最後だからいっか」の精神で魔王城は粉々に砕け散っていった
「案外脆いわね」
「これで最後なんだなぁ・・・あぁ・・・楽しかったなぁ・・・」
「次のゲームがあるじゃない」
「それもそうだな」
-接続が切れました-