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豹変

「ここが、理事長室だよ」

雪花(せっか)の案内で、理事長室に着く。

…はぁ、怒られるの分かってて、

入るのかよ…。


「大丈夫だって、アタシも

一緒に付いて行くから」

不安そうな俺の顔を見て、雪花は

励ましてくれる。…天使や。


「ありがとな」

雪花にお礼を言い、覚悟を決め、

理事長室の扉をノックする。


「どうぞ」

理事長から応答があったので、

俺と雪花は入る。


「失礼しま… うわっ!」

理事長室に入った俺を物凄い形相で睨む

担任の姿があったので、ビビってしまった。


上本(うえもと)~、貴様は…

ん?なぜ後ろに有原(ありはら)が?」

俺を睨んでいた担任は、雪花に気付き、

ここにいる理由を聞く。


(りょう)くんが、理事長室に

行こうとして迷子になったのを

見かけたので、案内したんです。

…先生、理事長室の場所教えて無いですよね?

涼くんに?」

雪花は理由を説明しつつ、

さらっと、担任の非を突く。


ざまぁ。クソ担任…。

そんなことを思いながら

笑っていると担任に睨まれた。

俺への扱いが酷いな…。


「有原さん。入学試験を主席で通った

だけではなく、親切ですね。

上本君を連れてきてくれて

ありがとうございます」

理事長は雪花にお礼を言う。


「俺からも、ありがとな。

てか、学年トップとかスゲェな!

尊敬するよ!」

俺も雪花に礼を言い、

更に学年トップが雪花という事を知り、

誉める。

つーか、スゲェな、本当に。


「そんな事無いよ。気にしないで。

じゃあ、寮に戻るね」

雪花は理事長室から出て、寮に帰った。


「…学校には慣れたようですね」

理事長が俺を見て、

何か含みのある言い方をする。


「えぇ、まぁ。

ただ、貴女方は嫌いですけどね。

…で、何の用っすか?」

俺は雪花やクラスの子達が居るときとは

この人達への対応を変えている。

嫌、むしろこれが、俺の素だからだ。


「なんだその態度は上本!」

担任はまたキレる。

…あぁ、こいつには俺の素は見せてなかったな。


「…いいんですよ、先生。

まだ、あの日の事を

恨んでいますか?上本君?」


「当たり前だ!」

理事長に俺は、怒る。

あの日の事を恨んで無い訳が無い。


あの日、俺は大切な人を奪われたんだ。


俺には、姉が居た。

名前は上本(うえもと) 真昼(まひる)

姉貴は昔から剣術に優れており、

生まれながらにして、姫騎士適性(ヴァルキリーアプティデュート)があった。

その為、周囲の大人は、姉貴に

期待をし、俺には見向きもしなかった。

それでも俺は、姉貴が嫌いじゃなかった。


姉貴は、周りに期待されている事を

鼻に掛けず、剣術を磨き続けていたし、何より、

周囲の大人と違って、俺をちゃんと見てくれた。


両親や親戚からは、無視されていた俺を

姉貴は世話してくれたし、守ってくれた。


だから、姉貴に追い付きたい一身で、

俺は剣術を磨いた。


そんな俺を見た周囲は俺を馬鹿にし続けたが、

姉貴だけは練習相手にもなってくれた。


-姉貴さえいれば何とかなる。

そう思ってた。…あの日まで。


-5年前。

姉貴が能力者(ホルダー)であることが分かり、

姉貴には凜華学園(りんかがくえん)からの推薦が来た。


だが、姉貴は断った。


姉貴は剣で人を傷付ける事を良しとする

人間では無かったし、

何より、周囲の…。大人達の為に凜華学園に

通おうとする気は更々無かったのだろう。


だけど、俺は嬉しかった。

姉貴が遠くへいかないでよかった。

ただ、そう思ってた。


しかし、姉貴は凜華学園から

送られてきた刺客に殺された。

殺された理由は、能力不明の為。


そう、凜華学園…。

もとい堂上(どのうえ)達国の連中は、

能力者による反乱を恐れ、

姉貴を見せしめのように殺したのだ。


だから、能力者の連中は誰一人

凜華学園の推薦を断る奴なんて居ない。

…まぁ、それを知ってたから

俺もここに入ったんだけど。


あの日-。

俺の目の前で姉貴を殺した姫騎士達を殺す為に。


-そう、姫騎士殺し(ヴァルキラー)になるため。

俺はここにいる。


「堂上。俺は一応はあんたらに

従ってやるよ」

一応、従う意思は見せるが、

昔の事を思い出し、俺は、完全に

素を隠す気が無くなった。

理事長を名字で呼び捨てなんて、

こんなのクラスの子達の前では見せらんねーわ。


「それは良かった。上本君。

君はどうせ、お姉さんの復讐の為に、

姫騎士殺し(ヴァルキラー)になりたがると

思いましたから。

…ただ、特別扱いはしませんよ?

姫騎士殺しになりたいのなら、

相応の力を見せてください。

…話は以上です。それと、寮の鍵です。」

俺の意思を確認した堂上は寮の鍵を俺に渡す。


「あぁ。どうも。

じゃあ、もう俺行くわ」

俺は、鍵を受け取り寮に向かおうとする。


だが…。


「待て上本」

先生はキレていた。さっきのように

背後に炎が見える。

あぁ。まぁ、キレるよね。流石に先生も。

自分のクラスの生徒がこんな舐めた口を

利いてんだから。


(ソード)起動(オン)!」

先生は剣を起動させようとする。

だが、遅い。


「先生。遅いですよ。甘いです。」


グイッ!「ぐわぁ!」

俺は、先生の手首を剣が起動する前に掴んだ。


「上本…。何をした…。能力か?」


「違いますよ。ただ、先生が甘かったので、

抑えられるなぁと思って」


「理事長…。上本は…。」


「だから、やめた方が良いと、

朝言ったんですよ。

至近距離じゃ勝てませんから」


「そういう事です」

俺は、先生が剣を起動出来なくなった事を

確認し、手首を放す。


「先生。そういえば俺、先生の名前覚えて

無いんですよ。名前教えて下さいよ」


「担任の名前くらい覚えろ。

今江だ。今江 (いまえあかり)だ」

俺に痛い思いさせられたのに、名前を俺に

ちゃんと教えてくれる。優しいねぇ。


「今江先生。堂… 理事長…。

話はもう無いでしょ?

じゃあ、俺は失礼しますね」

そう言って俺は理事長室を出て寮に向かった。




ふふ…。やはり君は面白いね。

あ。ルームメイトが彼の部屋に居る事を

言うの忘れてましたね。


「先生。上本君のルームメイトは?」


「え?あぁ。留学生の…ですね。

上本程では無いですが、中々問題が

有るかと…。

それがどうかしましたか?理事長?」


「いえ、そうですか」

成る程。あの子ですか。

あ。寮の場所を教えるのも忘れてましたね。

また、彼に嫌われてしまいますね。




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