表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/6

能力者(ホルダー)

最初は、目を疑った。

あれは、3、4 ヶ月前に中学校の教室で、

クラスの女子が、たかが口喧嘩で、

護身用の(ソード)を起動させようとしたため、

危険なので俺は剣を奪い取った。

しかし、俺が持ってるのに

剣が起動したのだ。



剣は、姫騎士(ヴァルキリー)専用の武器だ。

普段は柄だけで、刀身は出ていない。

しかし、姫騎士適性(ヴァルキリーアプティデュート)

を持った女性が、

起動させると刀身が出てくる。

個人個人で、刀身の大きさも変わり、

炎や氷を纏う場合もある。

人に向けてもし使ったら、一発で死ぬので、

護身用の剣は姫騎士向けとは別に作られていて、

殺傷能力はかなり低く、炎や氷なども出ないし、

刀身の大きさも一定で、適性が無くても使える。

まぁ、適性無いとすぐに刀身が消えるが。

だから、値段は高いが、

普通にそこら辺で売っている。


まぁしかし、値段が高いため、

一般市民には普及率は低い。

だが、それだと適性のある若い子を、

無駄にしてしまうし、だからと言って、

一々、適性検査すんのも金が掛かる。

その為、国が適性を測るのと護身用を兼ねて、

小学校入学と同時に、無料で女子だけに

配布されるようになった。


…男子は変わらず防犯ブザーだったな。


だから普通、姫騎士向けではない、

一般市民向けの使う護身用の剣だとしても、

男は使う事は出来ない。


何故なら、「女性にしか反応しない」からだ。


それに、護身用とはいっても、

姫騎士適性を図る目的もあるのだから、

不具合などはあり得ない性能のはず。


剣を出した俺を見たクラスメイトや担任は、

「「お前女だったのか」」と言うぐらいだ。


勿論、不具合かもしれないという事で、

クラス全員の女子の(ソード)

片っ端から起動させた。

結果は見事に全部反応し、俺に適性が

ある事が分かった。


だが、たまに護身用の剣で、炎や氷を

纏った状態で、剣を出す人間がいる。


姫騎士適性の規定値を

越えてしまう人間、能力者(ホルダー)だ。


能力者は、姫騎士適性が、

1000人に1人と言われるに対して、

能力者は、1000000人に1人しかいない。


少ないだけあって、能力者は、化物だ。

かつてたった数人で、多くの都市を

氷漬けや焼け野原にしたほどなのだから。


その為、能力者の女性達は、

強制的に凜華学園(りんかがくえん)に入学が

義務付けられている。

…最も、能力者で断りを入れたのは、

今まででたった1人らしいが。


俺が起動させた剣は、全て刀身が、

通常状態の護身用の剣と違っていたため、

能力者と判定された。男なのに。


すぐに俺の通っていた中学校には、

凜華学園の関係者が

かなりの人数で来た。

…だって俺が、同じクラスの女子の剣を全部

起動させた訳だから、俺のクラスの女子全員が、

能力者だと勘違いしてしまった訳だ。


まぁ、1000000人に1人が十数人出るよりも、

姫騎士適性も無いはずの男の俺が、

能力者だっていう事の方が驚きだろ。


しかし、俺もただの姫騎士適性なら凜華学園に

入る気なんて更々無かった。

実際に、姫騎士適性がある女の子達でも、

凜華学園に入らない子ってのは、

知り合いや先輩にもいた。


…だが、能力者の場合、入らない場合…。

…といっても、入らなかったのは、

今まででたった一人らしいけど。



事実から言うと、殺された。

理由は簡単だ、どんな能力か

凜華学園に入るまで分からないからだ。


まぁだから、他にも理由はあった訳だが、

凜華学園に入る事を俺は決めた。


そして、今に至る訳だが。

…何か、俺以外皆仲良くない?


全く、入学初日だってのに、

さすが女子達、コミュ力が高いな。


ガラガラ…

教室のドアが空いた。

先生が来たらしい。

当然の如く、担任も女かぁ…。

まぁ…男はいるわけ無いとは思ってたけど、

やっぱり、俺以外皆女なのか…。


…しかし、若いな。

背は高いし、モデルみたいだな。

何より、ロングヘアーの黒髪がいいな。

足も細いし、胸は…。うん、まぁ…。


先生が教壇に立ち、委員長らしき子に、

号令の指示を出す。

教壇の前の席か、俺…。


「ホームルームを始める。委員長、号令」


「起立」

委員長であろう子が号令を掛ける。

どうやら、俺の左隣の子のようだ。


「礼」


「「おはようございます」」

クラス全員が挨拶する。


「あー、おはよう。座っていいぞ」

美しいその美貌からは、

男みたいな受け答えが返ってきた。

…まぁ、見た目で判断しちゃね…。


「着席」


クラス全員が座り、

俺も席に着き、横目で、

俺は左隣の委員長の子を見る。


おお、すげぇな、可愛い。

茶髪のショートカットで、

身長は標準ぐらいだけど、

あの胸は…。ゴクリ…。

おお、イカンイカン。

同級生をそんな目で見たら駄目だ。

…考えてる事が、バレたら

確実に追い出されるな。


しかし、レベル高いな~

可愛い子いるっては聞いてたけど、予想以上。

他にも可愛い子いるかも。うん、男だからな。

これは、しょうがない。

左隣の委員長から、目を離して、

右隣をチラッと見る。


Oh…。まぁ、全員が全員…ね…。

右隣のちょっと俺の好みじゃない子から、

目を離し、また、左隣の委員長の子を見る。


しかし、スゲェな。

委員長って事は、優秀な成績なんだろうな。

…って、オイ。

今日入学初日だよな?

何でもうクラスの委員長決まってんだよ?

それに、初日にしては、クラスの皆は仲良いし…。

段々、頭がこんがらがってきた。


「うん。今日は、全員揃ったな」

先生が訳の分からない事を言う。

え、まさか…。


「ところで、上本(うえもと)

入学式をサボるとは良い度胸だ…」

あっ…。先生の言葉で全てを察した。


入学式、昨日かよ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ