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姫騎士(ヴァルキリー)

ガヤガヤ…。ガヤガヤ…。

クラスメイトの声が教室に響く。

しかし、視線は俺に向けられていた。

うーん。分かっちゃいたけど、疎外感。

誰も話し掛けて来ない。


ねぇ…。あの子でしょ?

中々良くなーい? えー?まあまあじゃない?

クラスメイトの声が聞こえてくる。


ま…そりゃそうか。

なんてったって、クラスはおろか学校で

ただ1人… いや、開校十数年で始めての

男子生徒だから、当たり前か。


ここは姫騎士(ヴァルキリー)を育成する学校の凜華学園(りんかがくえん)

本来なら女子しか入れない学校だ。


-姫騎士-。

この学校の創設者で理事長の堂上紫園(どのうえしおん)

が造った兵器…。といっては彼女達に失礼か。


20年前-。一科学者に過ぎなかった堂上紫園(どのうえしおん)が、

計画したプロジェクトがあった。


「女性限定の軍隊」

これが後に姫騎士という兵器…。

…じゃないな。職業と言った方が良いな。

姫騎士という職業を生み出すことになった

元である事には違い無いな。

最初、このプロジェクトが出た時は、

官僚が、国民が、世界が、笑ったらしい。


我が国のその当時の防衛大臣様は、

「屈強に鍛え上げられた男達でさえ、

銃や爆弾などの兵器で簡単に死んでしまうのに、

女性限定の軍隊?笑わせるな!」と

発言したらしい。…世の女性達の顰蹙を買った

事は言うまでも無いが。


しかし、彼女-。堂上紫園は笑みを浮かべ、

「証明しますよ」と答えた。


結果から言うと、大成功だった。

彼女と彼女が選んだ数人の女性達で、

数十年と続いた内戦のあった国へ赴き、

たった三日で終戦させてしまったのだ。


屈強な体を持った兵士達の死体の山、

真っ二つに切断された戦車などの兵器、

自分達の数万倍はいるであろう兵士達に、

剣一本で、涼しい顔をしながら立ち向かった

彼女達。

全てが、衝撃的だった。


それ以上に衝撃的だったのは、

インターネット上に投稿された一本の映像に

映されていた。

炎や氷、風といったものが、剣から発生し、

兵士や兵器を、焼き、凍らせ、斬り刻む。

人々は、人間のなせる業ではないと言い、

女神だとまで言うようになった。

しかし、帰国した彼女達はこう言った。


「我々は、所詮人間。神などではない。

ただの剣を武器とする一兵士。

姫騎士と例える方が妥当だろう」


勿論、日本政府は、すぐに開発者の彼女に

媚びへつらい、姫騎士という職業が

出来るまでに時間はかからなかった。


無論、世界が放って置く訳が無く、

日本にはミサイルの雨が降り注いだ。

だが、日本は彼女達の力で無傷で終わり、

ミサイルを撃った国々はとてつもない被害を

被った。一面焼け野原、全面氷漬け、

瓦礫と化した都市部…。

世界は日本… いや、彼女達に負けた。


そして、次世代の姫騎士を育成する為に、

ここ凜華学園が出来たのである。


その後、日本はどうなったか。

今や女が男より上という風潮が出来てしまい、

女尊男卑の社会となった。

そして、国際社会で力がかなり強くなり、

前まであった、借金やら食糧難やらは

全部無くなったらしい。

本当に住みやすくなったよ、日本は。


女に産まれれば。


まぁ、俺も住みにくいはずだったんだよな。

ここ、日本は。

俺に、姫騎士の適性が出るまでは。

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