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~2TOP~人生逆転  作者: SHIN
出会い
2/7

◆出会いと新たな始まり◆

「いやー楽しみだな」


飛んでいるというか、落下しながら《ーーー》はこれから会う人間達を間近で観察できることを楽しみにしていた。今までは自らの手で映し出した映像越しにしか見れなかった人間と、会話し触れることができることに期待で胸が膨らむ。


そんなに楽しみなら何故もっと前に地球に行かなかったのか。それは単なる気まぐれだ。昔の人間達を見たときは何も思わなかった。ただ、地球という綺麗な惑星を支配している生き物というだけで別に興味も無い。そう思っていたのだが、最近-----と言っても百年ほど前だが、なんとなく人間をよく観察してみて、興味深い生き物だと知った。

同じ人間でも肌の色が異なる者同士で争いを起こし、しかし、皆が皆争いを好んでいるわけではないらしい。

自国の国の為に闘士を燃やして進んで戦争に参加する者もいれば、争いをしたくない者も多い。そして現在は、そのような争いがあったとは思えないくらい争そった国同士が仲良くしている。なにより興味を注ぐのは、喜怒哀楽について。怒ったと思えば喜び、そして哀しむ。


「まったく意味の分からん生き物だ。だけど何か見てて楽しいな」


それから《ーーー》はもっと人間について知りたいと思い始めた。



-------落下中


「いい景色だ!!実際に見るのはやっぱ違うな。……人間はどこだ…………………いた!」


そして一人の人間の背後に《ーーー》は降り立った。



◆◆◆◆◆◆◆◆



ーーーーーー悪魔?天使?いや………神様?


隕石が俺に落ちてきたと思えば、目の前に思わず見とれてしまうような存在がいる。

黄金に輝く右目と白銀に輝く左目、その両目の少し上、こめかみの辺りからは闇のように真っ黒な角が二本、真っ白な髪はゆるやかなウェーブを描いて腰の辺りまで伸びている。

服装は真っ白の着物のような格好で、背中からは悪魔のような形だけど白銀に輝く翼が四つ生えている。


よく俺はここまで冷静に、目の前の存在の姿を詳しく説明できたもんだ。いや……身体はさっきから震えが止まらないな。………俺は死ぬのかな?いや、世界滅亡か?色々なことを考えてしまう。


「やっと会えたな人間!」


急に嬉しそうな声をあげて俺の顔を触ってきた。余りに急に触ってきたので思わず後ろに後退りしてしまう。


「!!!こ、殺さないでください!!……も、もし殺すなら痛みがないようにお、お願いします……」


隕石だと思ったときはこの世に未練は無いとか思ったが、実際に殺されるとなると怖いものだ。


「分かった!」


ーーーーーーーーえ?


突如目の前の風景が少し上に向き、そして一回転して後ろに落ちていく。俺の前にあるのは…………俺の身体?


首の無い身体が茫然と立ち尽くしている。

そして目の前が真っ黒になった。



◆◆◆◆◆◆◆


「あっ!ついつい殺してって言うからやってしまった!」


慌てて目の前の首の無い身体に手をかざす。


「ーーーーーあれ?」


さっき真っ黒になったはずの視界が、首がはねられる前の風景を映し出した。


「俺……生きてる?…いや、たしかに首の無い俺の身体をこの目で見たはず……」


信じられないと自分の身体を触ってみる。


「…ちゃんと元に戻したから大丈夫だ」


「!!!!!」


すっかり存在を忘れてた!!

というよりも今起きたことが信じられなくて頭がパニックを起こしている。


「も、元に戻したというのは……い、生き返らせたということですか?」


震えながらも目の前の存在に聞いてみる。


「それ以外にないでしょ」


「ご、ごめんなさい!!……あなたは…か、神様ですか?」


「神様?んーー分からん」


分からない?仁は少し戸惑った。

なら目の前のは一体なんなんだ?神様じゃないとすれば……悪魔?天使?宇宙人?

ーーーーー宇宙人は無いか。


「な、ならあなた様は一体……?」


「それが分からないのだよ。急に真っ白なとこに現れ、つまらないと思った瞬間急に真っ黒な空間になり、なんかやることが分かっていたみたいに、太陽、地球、その他の惑星…あー天国と地獄も造ったな……そしてそれらを今まで眺めててさ、お前達人間に興味が出てきて今会いにきたわけ!……まぁこの地球以外の惑星にも人間いたけどね」




ーーーーーこの目の前の存在は何言ってるんだろ。太陽?地球?天国?地獄!?…いやいやそれって有り得ないでしょ!?もし言ってることが本当なら…神様だな…ってか神様以上じゃない?全てを造り上げたってことだろ?

今まで普通に十七年間生きてきて特別凄いことも何も無かった俺が、全ての創造者みたいな存在の者に会えるとか。不幸なのか幸運なのか……いや、きっと幸運なんだろうな。神様以上の人…じゃなくて存在に会えたのは俺が人間初だろうな。そして俺はどうなるんだろう。



「何をそんなに考え込んでいるのだ?」


「…!いや、な、なんでも無いです!お、俺は神谷仁って言います!」


「神谷仁か……我は………名前が無いな。…………そうだ!仁よ、お前が我に名前を付けてくれ」


「…………え!!!???」


俺が名前を付ける?ど、どうしよ!?断るか?……いや、断れないでしょ……名前か…失礼な名前は付けられないよな……ゼウスとか?たしか神で一番偉かったような………いや、ダメだ!!ゼウスよりも更に上の存在だろ、ゼウスがいるかは分からないが…………………全ての始まりか……創造者………。


「…………………ゼロ」


「ん?何と言った?」


「ぜ、ゼロ!と言う名前はどうでしょうか!?……ゼロは始まりの数字でもありますし…」


「ふむ、ゼロか…………」


「お、お気に召さないですか…?」


「いいんじゃないか?ゼロ……我の名前はゼロか…」


ゼロはどうやら気に入ってくれたようだ。ホント良かった………気に入らなかったら一体俺はどうなったことか。


「仁よ!名前をくれたことを感謝するぞ!……ゼロか…名前があるとは良いことだな!」


「気に入ってくれて良かったです!」


ゼロが喜んでくれたことで安堵し、いつの間にか震えも止まっていた。


「我に名前をくれた人間、神谷仁。お前の望みを一つ聞いてやろう」


「望みですか?……そ、それは俺の願いを叶えてくれるということですか…?」


「あぁ、何でもいいぞ?」



ーーーーきた!!!!!!!

ついにきてしまった最大のビッグイベント!

願いか……大金持ち?イケメン?天才?どうしようかな。一つだけ、ホントに自分が叶えたいことか………


「そ、そういえばゼロ様、先程たしか地球以外にも人間がいると言ってましたよね?」


「たしかに地球以外にもいるぞ?」


「そこは地球と全く同じなのですか?」


「いや、違うな。地球よりも科学技術は確かに劣っているが、その惑星には地球には無い魔法が存在する」


「ま、魔法!!」


思わず息を呑む。

魔法などゲームの世界でしか有り得ないと思っていた。魔法……実際に使えたらどんなにいいことか。


「魔法だ。そしてその惑星には地球よりも種族が多いな」


「………エルフとかですか?」


「エルフもいたと思うぞ?それにドラゴンもいたな」


「ドラゴン!!!!!」


ドラゴンまでいるのか!!ということは、完全に獣人や魔物とかもいるな……超ファンタジー世界じゃん!!……………行ってみたいな…


「ドラゴンになら我もなれるぞ?」


「………はい?」


するとゼロが神々しく輝きだし、目も開けてられなくなった。


「ま、眩しい……!」


それから十秒くらいたち、輝きが収まったことを感じて目を開けると、そこにはまた信じられない者がいた。



体長は三十メートルを超えているだろうか。全身黄金のドラゴンがそこにはいた。両目は先程と同じ黄金と白銀で、頭の先からは黄金の角が四本。二本は前に突き出しており、もう二本は背中に向けて鋭く伸びている。まさに神龍とも呼べる姿に腰を抜かしてしまう。


「ど、ど、ど、ドラゴン………」


『その惑星でドラゴンを見たとき、なんか身体が熱くなってな、そして目を閉じるとこの姿になっていたのだ』


先程とは違うかなり重圧的な声で喋り、立ち上がれない。


『腰を抜かしてしまったか。それでは元に戻ろう』


ゼロはそういうとまた輝きだし、元の姿に戻った。仁はいまだ立ち上がれないでいる。


「大丈夫か?」


ゼロが差し伸べてきた手を、恐る恐る掴み立ち上がった。


「あ、ありがとうございます」


「気にすることはないさ」


ゼロが仁から手を離し、そして再び聞いた。


「望みはないのか?」


仁は考えた、どうするべきか。しかし、とてもじゃないが今答えはだせない。


「ゼロ様、一日だけ待ってはくれないですか?」


「………まぁいいだろう。なら明日またここに来い。そしてお前の望みを聞こう」


「ありがとうございます!!」


「それでは今日は家まて送ろうじゃないか、ゆっくり考えるんだな」


ーーーーーパチンっ


ゼロが指を鳴らすと、仁の視界が真っ黒になり、そしてすぐに視界が開けた。


俺の部屋だ。


そこはいつも見慣れた仁の部屋だった。仁は施設から出て今アパートで一人暮らしをしながら高校に通っている。今起きたことは夢だったのか?………いや、違うな………あれは完全に現実だった。リアリティーがありすぎる。そして考えた。何時間も考えーーーー決めた。





そして翌朝。

あの名も無き山に登るとゼロはいた。やっぱ夢じゃなかった。


「きたか」


「はい!!」


「それで、決まったのか?」


「決まりました」


「聞かせてもらおう」


「……地球ではない、昨日ゼロ様が言っていた世界に連れていってほしいです!」


「ホントにいいんだな?」


「覚悟は決めました」


真っ直ぐゼロの目を見つめる。


「よし!いいだろう」


ゼロは笑顔をみせると、両手を広げた。


「それでは仁よ、行こうじゃないか」


「お願いします!」


名も無き山の山頂の空間が歪み、そして眩い光が山頂を包み込み、光が収まったときには二人の姿は無かった。




こうして仁の普通の平凡な人生は幕を閉じ、新たな人生が始まる

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