◆始まり◆
ーーーーーーーうむ。
手をかざし何もなかったはずの目の前の空間に地球が映し出される。
「まさか只の惑星がここまで変わっていくとはな」
不思議そうに地球を眺める。
綺麗な惑星だ-----この惑星も最初は只の黒い惑星だったが、酸素が生まれ、水が生まれ、生物が生まれ徐々に変わっていった。
そして、その惑星に住み着いているものもだいぶ変わった。昔は弱肉強食の世界で全ての動物が食物連鎖の中で暮らしていたが、今や地球は人間なるものが支配していると言ってもいいだろう。
まぁ人間の中でも弱肉強食の世界みたいはあるみたいだが。
映し出された地球の隣にまた手をかざし、他の惑星を次々と眺めていく。
どれも昔とはだいぶ変わっているみたいだ。1つの惑星には地球のように人間も存在しているみたいだが、ここには人間より強い存在もいるように見られる。
「まさか何となく造ったのがこんなになるとはな」
そう呟き過去を思い返す。
何もない真っ白な空間---まさに《無》と言われるに相応しい場所に突如現れた。その者は自分が何故ここにいるのか分からなかった。自分が何なのかも分からない。
そしてなにもしないまま立ち尽くし------どれくらいの時間がたったのだろうか。そもそもこの場所に時間なんてないが、その者に1つの感情が生まれる。
------つまらん。
その瞬間、真っ白だった世界が真っ黒な世界に変わった。しかしその者は何1つ驚かず、最初からやることが分かっていたみたいに次々と色々なものを造りあげていく。
最初に真っ黒な世界に一筋の光--《太陽》
そしてその他に無数の輝く星、惑星を造り、そしてそこに時間が流れ、生を宿すものが生まれその魂を浄化するため天国と地獄を造り----。
そして今に至る。
「それにしても人間って面白いなー、戦争が起きたと思えば終わり、そしてまた違う国で戦争が起きる。変な生き物だ。-----けどなんか面白いな。--よし!行こう!」
そう叫びその者は映し出された地球に頭から突っ込んでいった。
◆◆◆◆◆◆
「…はぁ…はぁ…やっと着いた…」
目の前に広がる絶景---とは言えないがまぁまぁ綺麗な景色である。
「それにしても急に運動するもんじゃないな」
今更後悔しても遅いが、なんか達成感があるので良しとするか、と心の中で思う。
彼の名前は-神谷仁-
普通すぎるくらい普通の高校生だ。
顔はまぁ平均、スポーツ普通、勉強も普通、特に突出したものは何も無い。今日はたまたま暇だったんで近くにある名も無き山に1人登山をしていた。
「1人登山もなかなかだな。思ったより景色も……うん…綺麗ではあるけどね。ってか頂上無駄に広いな。でももう二度と登らない…」
1人でぶつぶつ言い----もう帰るか。そう思ったとき空に小さく輝くものが見えた。
「ん?……星ではないよな…まだ昼だし」
不思議に思いその光を見つめていると、ある異変に気が付いた。あれ?近付いてない?-----まさかね。
隕石が落ちた事があるという話は聞いたことあるが、それがまさか自分に落ちてくるわけ無いし、あり得ない。普通に暮らしてきた俺に隕石が落ちてくるなんてビッグイベントがあるわけない。でも、やっぱり近付いてるよなアレ……。どう見てもこっちに向かってきている、そうなると……俺死ぬのか?。まぁ隕石が当たれば即死だろう。今から逃げても間に合う気はしないし、別にこの世に未練は無いしな。もともと施設で育ったから親はいないし、友達もあまり出来なかった。俺が死んでも悲しむ人はいないだろう。そう考えてる間にも光は迫ってくる--死を覚悟しそして目をつぶる。
-----あれ?
目をつぶって少なくとも数分はたったはずだ。あの早さならもう俺にぶつかっているはず。恐る恐る目を開ける。目の前には目をぶる前と同じ風景が見えた。
「おかしいな………」
「人間見っけ!」
突如後ろから声がかかり驚き振り向く。
それが仁と---の最初の出会い。