一つの命
初投稿です。
未熟な文章ですが、どうかよろしく。
批判的なコメント大歓迎です。おかしな点はお教えください
目の前が真っ赤に染まっている。パトカーのサイレンの音がやけに遠くに聞こえた。
辛い現実を目の当たりにしても、脳が認識を拒む。
狭い交差点の中央で横たわっているのは、ついさっきまで話していた友達だ。全身から血が流れ、顔は識別できないほど崩れていた。暴走したトラックが、横断歩道を渡っていた彼を跳ねたのだ。
「どうして…こんな…。」
全身が小刻みに震えた。熱いものがこみ上げてきて、我慢できずに吐いた。
野次馬が集まってくる。あっという間に人の壁ができ、逃げる事すら適わなくなった。
誰かに声をかけられたが、頭に入ってこない。しばらく黙っていると、その人は諦めたように立ち去った。
ふとすると、小雨がパラパラと降ってきた。それはすぐに大雨となり、集まった人々とアスファルトに流れた血を洗い流す。
後に残ったのは、薄い鉄のにおいとパトカーの発する赤い光、そしてブルーシートに包まれた彼の遺体だった。
その後、どうにかして家に帰り、ベッドに倒れ込んだ。
次の日に警察が家にやってきて、事情聴取をしたいからと警察署に連れて行かれた。
夕方、やっと解放された時には5時をとうにすぎていた。
行く当ても無く町中を放浪していると、いつの間にか昨日の交差点に来ていた。今も警察の調査が続いている。
昨日ほどの動揺はないが、呼吸が荒くなる。いまさらになって、1つの命が尽きた事を実感した。