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明治維新と大化の改新の比較的検討

作者: 細川光
掲載日:2025/11/01

大化の改新と明治維新にみる「天皇中心国家」の構造的連続性

 日本史において、大化の改新(七世紀)と明治維新(十九世紀)は、いずれも大規模な国家体制の転換をもたらした出来事として位置づけられている。両者は時代的に千年以上の隔たりを有するものの、いずれも外来文明をモデルとして国家の再編を試みたという共通性を持つ。大化の改新が中華文明を手本として律令国家の確立を目指したのに対し、明治維新は西洋文明を範とし近代国家体制を構築した。いずれの改革も、外来文明の受容を通じて自国の政治秩序を刷新しようとする「模倣と創造」の営みであったといえる。

 両者を比較する際に注目すべきは、「天皇を中心とした国家形成」という理念の継続である。大化の改新では、豪族連合的な支配体制を改め、天皇を頂点とする中央集権的な律令体制の確立が図られた。その過程で、地方豪族は中央の官僚貴族として再編され、天皇の下に統合された。これにより、地方支配層は天皇権力に組み込まれる形で新しい秩序の一部となり、古代国家の形成が進展した。

 一方、明治維新においても、封建的な藩体制を廃止し、天皇を中心とする統一国家の建設が進められた。ここでも、大名や武士階級といった地方支配層は、華族や士族として新たな社会秩序に編入された。つまり、両者はいずれも「地方支配層を中央の特権的地位に組み込み、国家の統合を図る」という同型の政治的メカニズムを有していたといえる。この点で、「天皇中心の国造り」という表現は単なる象徴的理念ではなく、制度的実態を伴うものであった。

 もっとも、両者の間には天皇の政治的機能に明確な相違も見られる。大化の改新期の天皇は、神権的統治者として政治権力を直接に行使する存在であった。それに対し、明治維新後の天皇は、近代国家における正統性の象徴として位置づけられ、立憲体制のもとで国家権力を代表する役割を担うにとどまった。したがって、両者を単純に同一視することはできないが、いずれも天皇を国家統合の中心に据えた点において、歴史的連続性が認められる。

 以上のように、大化の改新と明治維新は、外来文明の導入を契機として天皇中心の中央集権国家を再編したという共通構造を有している。時代や政治理念の差異を超えて、地方支配層の再編と天皇制の強化を通じて国家統合を実現したという点で、両者は日本史における「国家再生の二つの典型」として位置づけることができよう。

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