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断罪イベント365― 第7回「経理官乱入」

作者: 転々丸

勝手に企画

断罪イベント365シリーズです。



豪奢な大広間。壇上の王子が

最新型水晶拡声器を握りしめる。


「本日この場をもって――」


その瞬間、扉が勢いよく開いた。


「待ったーー!」


分厚い帳簿を抱えた経理官が乱入。

肩から下げた魔道具電卓がピカピカ光り、

カチャカチャ音を立てている。


「殿下! また断罪イベントですか!? 

今回で七回目ですよ! 会場費だけで金貨五十枚! 

照明魔道具の維持費十枚! ケータリング代二十枚! 累計、金貨三百枚!」


電卓の石盤に、どどんと赤字が浮かぶ。


「赤字幅、過去最大です!」


観衆がざわめいた。

「三百!? 税金はどこへ行った!」

「そっちを断罪しろ!」


王子は真っ赤になり、必死に叫ぶ。


「で、でも! これは必要経費だ! 

この最新型拡声器は軽量化されていて、使いやすいから

拝み倒して買ってもらったんだ! 

今日こそは成功しないと、パパに怒られるんだ!」


「もう怒ってらっしゃいます!」

 

経理官が帳簿をバンと開き、羊皮紙を叩く。

「領収書まで揃ってます! “偽手紙現像代・金貨三枚”って

、何ですかこれは!」


観衆が爆笑。


「偽手紙、経費扱い!?」

「証拠捏造まで領収書!」


黒幕令嬢は顔を引きつらせ、必死に手を振った。

「そ、それは必要な……演出でしたのよ……!」


「演出費って書いてあるぞ!」と観衆から総ツッコミ。


王子は涙目で拡声器を抱きしめる。

「だ、だって……愛のための投資だし!」


「愛で予算は組めません!」


経理官の電卓がカチカチ鳴り、会場に冷徹な数字を映し出す。

「殿下、これ以上の無駄遣いは王国財政を破綻させます!」


 婚約者は静かにため息をつき、凛とした声で告げた。

「……殿下。私を断罪する前に、

すでに経理に断罪されておりますわね」


観衆はどっと爆笑。


「経理に勝てる断罪なんてない!」

「殿下、財布まで節穴!」


その日、断罪されたのは婚約者ではなく――王子の予算だった。


王子、無駄遣いするから・・




総評:断罪イベントは無料ではありません。

   領収書は残ります。



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