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断罪

「そ、そもそもお前達は魔王退治に行った筈だろ!!??」

「その道中での出来事でしたし、そもそも|魔王が誕生したのは貴方達のせいなんですよ」

「はっ?」

「魔王は貴方達のせいで殺された|一族の子供達の恐怖と苦しみ、目の前で我が子を惨殺された大人達の怒りと悲しみが合わさって誕生したんですよ‼」





 無垢な子供達の魂にが恐怖と苦しみで染まり、そこに大人達の怒りと悲しみに染まった魂とそれぞれの負の感情が合わさった結果、魔王が産まれたのだ。


 四天王は何とか一族の魂達を救う事が出来たが、産まれてしまった魔王はどうする事も出来なかった。浄化しようにも|一族の負の感情の集合体《魔王》の方が強く浄化出来ず、仕方がなく仇討ちさせて魔王の気が済んだ所で再度浄化させる事にしたのだ。

 これか今回のエトワール王国が魔族に襲われた理由だ。


 そして取り出された一族の魂達はと言うと、魔族が丁重に神の元へ送り届けて今は神の御膝元で安らかに眠って傷を癒しているそうだ。



「魔族が事前に他国に話を通していたから周辺諸国は静観していたんですよ。……本当に勇気が彼等に話し合いを提案しなければ無用な死人が出る筈でした」


 アルスは後ろに控えていた側近から何か丸まった紙を受け取り、それを広げた。


「国王陛下並びに宰相と騎士団長、そして今回の件に加担した者は全員捕縛する! そして役職についている者はその役職を全て剥奪の上、全貌が分かり次第処罰を行う。……まぁ全員教皇の目の前での処刑なのは確定ですか」



 後にメディペルに勇気が質問したのだが、この世界で一番重い処罰は教皇の目の前で処刑される事だ。

 教皇は文字通り神が現世に現れる為の依り代。そして処刑される時は神が教皇に憑依している状態でいる。

 つまり教皇の目の前で処刑されると言う事は神にこの人物は極悪人だと言う事を知らせる行為なのだ。

 そして処刑された咎人は神によって重く厳しい罰を神の名の元に受ける事になる。神の目の前で処刑された咎人は其々の国で処刑された罪人と違って生まれ変わる機会すら与えず未来永劫安息を与えず、肉体的に精神的に罰を受ける事になるのだ。


 この刑を受けるのは世界に大きな悪影響を与える可能性がある、例えば独裁者や大量殺人鬼等だ。此処数百年刑を受けた話はなかったし、此処まで大量の咎人が一度に出る事は史上初だそう。



 アルスは自分の父親が死後永遠に苦しむ事を承知の上でこの刑を決めたのだ。



「な、な、な! そんな勝手な事をお前が決めるな!!!!」

「勝手に決めてません。城にいる母上達と今回の件に関わっていない大臣達、そして周辺諸国の王達と教皇と会談した上で承認されました」

「そんな馬鹿な‼ 此処から王都まで距離どれだけ離れていると!? それにあれだけ音沙汰のなかった周辺諸国とどうやって和解出来たのだ!!!!」

「私は魔術師だと言う事を忘れましたか? 王都までの転移なんて簡単でしたし周辺諸国とは魔族が仲介してくれたお陰で顔を合わせる事が出来ました。何よりも勇者様のお陰で和解出来たのです」

「別に大した事はしていないけどなぁ」

「勇気が彼等に此方の話を聞いて欲しいと頭を下げた上に『アルス達はこの事は何一つ関与していない、その事は勇者である俺が保障する』と宣言してくれたお陰で皆席に着いてくれたんです」


 席に座って冷静にお互いの主張を言い、話し合ったお陰で全ての誤解を解く事が出来た。そして国王達の処罰も満場一致で決まった。


「このまま刑場まで送ります。……最後位は王らしく立派な振る舞いで散る事を願いますよ陛下」


 兵士達に両腕を取られた国王は引き摺られながら見っとも無く命乞いをしたりアルス達を罵倒したりと見苦しい姿を最後に勇気達の目の前に消えた。


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