謀反の真相
エトワール王国現国王は久方ぶりに開催される|出し物が始まるのを今か今かと逸る心を落ち着かせる為にお気に入りの高級ワインを一口飲む。
すると部屋の外が騒がしくなり始めた。まだ出し物が始まるには時間が早すぎる。
「おい何を騒いでいる!」
「だ、第一王子の兵が襲撃をっ! しかも四天王と一緒に闘って! 団長と宰相が生け捕りを……ヒッ!!」
報告をした騎士が悲鳴を上げて黙った瞬間、ドアを蹴破られた。
「ヒ~~!!!!」
国王は恐ろしさのあまり座っていた玉座の後ろに隠れたが、その玉座すらも蹴とばされてみっともなく転がった。
「あ、あ、あ、アルス! 貴様乱心したか‼」
襲撃者―――アルスと勇気達パーティーメンバー、背後にはアルス直属の兵士達はまるで能面の様に無表情だった。だけど目はそれぞれ怒り・侮蔑・汚物を見る様な目で国王を睨んでいた。
「乱心? 貴方が正常だと言うならば乱心と言われても構いませんよ」
「何!?」
「この場にいる全員が知っているのですよ。陛下が、陛下達が行った非人道的で悍ましい行いをね」
「ななな何の事だ? 言っている意味が分からないが!?」
明らかに動揺する国王。すると蹴破られた扉から兵士が飛び出してアルスの足元で跪いて報告する。
「殿下。別荘の物置小屋に村の子供達と魔族の子供達が監禁されていました。全員傷一つなく無事です。そして宰相の使用人達の証言も取れています」
「分かった。子供達を親の元へ送り届けてくれ」
「はっ!」
兵士の後姿を確認するとアルスは己の父親である国王の方へ向く。感情を押し殺して民を導く王族の一人としてこの人の顔を被った悪魔を裁く。例えそれが血の繋がった父親だったとしてもだ。
「……陛下。貴方が国王としての素質がない人だと思ってはいましたが、まさか、まさか貴方が国王以前に人としても最低な人だとは思ってもいませんでしたよ」
「ぶ、無礼な‼ ―――ヒッ!!!!」
何か言葉を言う前に勇気が剣を国王の喉元に突き刺す寸前で止めた。
「これ以上脱線したら困るからアンタは此方の許可がない限り黙れ。魂事消滅は嫌だろう?」
勇者に脅された国王はなんと惨めな事に下半身を漏らしてしまっていた。見っとも無い姿にアルスは眉を顰めるがそのまま話を続けた。
「魔王軍の四天王から話は聞きましたよ。貴方が半年前に処刑した一族は冤罪で、しかも一族の子供達を貴方と貴方が懇意にしている部下達と一緒に惨い方法で殺した事を。そしてそれを親達の目の前で行った事をね」
国王の顔を真っ青になっていて、それが何よりの肯定だと言う証拠だ。




