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勇者の考え

「……終わったか」


 転移魔法で現れたのは四天王のリーダー、元は前魔王だった。


 そもそもアルス達の目の前に現れたのは偶然で、何と騎士団長達とは別の者達が偶々その場に遊びに来ていた魔族の子供達を攫いその救出の為にいた。


 大勢の兵士達とエトワール王国の第一王子と魔族側が警戒している要注意人物が全員いたものだから、子供達を攫った関係者と勘違いをしていた。

 もし、エトワール王国側の誰かが攻撃をしていたら。間違いなく大勢の人々の命が失われた。だからこそ初手で勇気が話し合いを持ち込んだ事は双方にとっての幸運な選択だった。



「知らなかったとはいえ、我が国の王と側近の仕出かした事は許されない事だ。それに気付かなかった我々王族も同罪。どんな罰を受ける覚悟はあるが、どうか何の罪もない民達にはどうか慈悲を」

「いや。貴殿の人柄は事前には聞いていた。その話を無視して王侯貴族の人間は皆殺しと決めたのは此方側の落ち度だ。キチンとした場所で取り組みを決めるべきだが……」

「―――魔王、の問題があると」


 彼は神妙な面持ちで頷く。



「あの方は一族分の負の感情から産まれたお方だ。魂達が救われても産まれた魔王様はどうにも出来ない。あの方は言わば一族全員の復讐心の塊。幾ら此方が説得しても、エトワール王国側がどんなに謝罪してもどうにもならない。だから今回の侵略を開始したのだ」

「どうにかならないの?」

「……止められるとしたら勇者の剣を魔王様の心臓にさして消滅させるしかない。…………我等はその選択を取りたくないのだ」



 その場にいる誰もが痛みに耐える様な表情で俯く中、勇気だけは何故か覚悟を決めた様な顔をして前を向いている。


「俺を魔王がいる所まで案内してくれ」

「……言っとくが先程の我等の様に話し合いで解決出来る人ではないぞ?」

「一つ考えがある。今は話せないけど、俺の事を信用して魔王と二人っきりにしてくれ」


 四天王は互いの眼を見合わせ、一つ頷いた。


「魔王様がいる部屋の扉の前まで転移してやる。だが、危険と思ったら直ぐに助けを呼んでくれ」

「分かった」










 魔王がいる玉座の前まで転移した勇者は一呼吸して重い扉を開き一人で入った。


















 勇者から荷物を預かった賢者は、ふと、見た事がない古びた本を見つけた。

 本来ならば勝手に見てはいけないのだろうが、どうしてかその本が気になってペラペラと捲るとあるページに気が付いた。


 そのページを読み進めると賢者の顔が真っ青になったのと同時に、魔王が勇者の制止する怒鳴り声が此方側にも聞こえた。


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