プロローグ
昨今の外道勇者から原点回帰して、正統派勇者を目指しました。
『勇気をもって悪い事を悪いと言い、困っている人を助け、困難を立ち向かう、そんな子になって欲しい』
甘路 勇気は二分の一成人式の時に自分の名前の由来を両親に聞いた時、二人から沢山考えてそう名付けたと伝えられた。
勇気はそれ以降自分の名前を誇りに思い、己の名前に恥じない様に生活していた。
高校三年生の頃だ。勇気のクラスでとあるグループがとある生徒をいじめていた。勇気は当たり前の様に助けてから今度は勇気がいじめられる様になってしまった。だけどその事に関して彼は一度も後悔をした事はない。
ある日の事だ。
いじめがエスカレートしいたが遂に学校側も把握し始め、いじめの主犯格達が教師陣から厳しく監視始めてから学校では勇気をいじめる事は無くなった。
だが、今度は学校外でいじめる様になり、今も帰り道を襲撃されてカツアゲされていた。
「だからお金は渡さないって言っているだろ! なんでお前等の遊ぶ金の為に俺の数少ない小遣いを渡さないといけないんだよ‼」
「うっせえな‼ お前のせいでコッチは推薦取れねぇかもしれないからその慰謝料として貰ってやるんだよ‼」
「そんなのソッチの自業自得じゃないか!」
「何だと!」
いじめっ子の一人が怒りのあまり突き飛ばした。
此処が校舎の裏だったら建物にぶつかるだけですんだ。しかし此処は校外で、しかも勇気の背後は|《十段程の石段》だったせいで勇気は突き飛ばされた勢いで転がり落ちた。
いじめっ子達の慌てる声と痛む頭から流れる血をぼんやりと眺めながら彼は意識を遠のいた。
目が覚めるとそこは異世界だった。