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第9話. 異世界の少年、地球でお出かけする。①

 時は一晩明け日曜日。



 「では、行ってくるね。シンくん、美咲のこと暫くの間よろしくね」

 「頼んだぞ、シン」


 「はい」


 千穂(ちほ)さんと修二(しゅうじ)さんに言われて、俺は優しく安心感のある返事をした。

 俺の返事を聞いた千穂さんと修二さんは柔らかい表情を浮かべ、側にあった二つのスーツケースを手に取り玄関の扉を開けた。


 「行ってらっしゃい」


 俺と美咲は二人で千穂さんと修二さんを玄関から見送った。



 カチャン……


 「行っちゃたね」

 「そうだね」

 

 美咲は少し寂しそうな表情をしていたが、直ぐに気持ちを切り替えていた。


 「今日は日曜日だし、このあと一緒にお出かけしない?シンくんの服とか色々と買いたいから。それに、日本について少しでも知ってくれたら良いかなって」

 「良いね。それと、服なら持ってるよ?」


 俺はそう言って、《異空間(マジックボックス)》から服を何着か取り出した。


 「今のは何?空気中からものが出てきたけど……」

 「今のは《異空間》と言って、所謂(いわゆる)収納ボックスみたいなものだよ」

 「何それ、すご。めっちゃ便利だね」


 美咲は《異空間》の便利さに関心していた。


 「ってそれよりも、それらの服は日本ではあまり着ない方が良いと思うよ。THE・異世界の服って感じだから」

 「分かった。教えてくれてありがと」

 「だから、今日は私がシンくんをコーデしてあげるね」

 「うん。じゃあ、よろしくね」

 「とりあえず、今日はお父さんの私服着てね」

 「うん」


 俺が取り出した服を《異空間》にしまうと、美咲は少しワクワクした様子をしていた。




 俺と美咲は今、駅前の広場にきていた。


 「すごい人の数だね」

 「休日だからね」


 俺がいた世界と全く違う光景に俺は心を惹かれていた。


 「シンくん、お腹空いてない?」

 「確かに、お腹空いてるかも」

 「それじゃあ、お昼食べよっか」

 「うん」



 時刻は12時を回っていた。


 俺は美咲のあとをついて行くと、ある一つのお店にたどり着いた。


 「ここにする?ハンバーガー屋さんなんだけど、めっちゃ美味しいんだよ」

 「ハンバーガー屋?」

 「うん。いろんな種類のハンバーガーを売ってるお店。ハンバーガーとは、バンズというパンにお肉や野菜、チーズ、トマトなどを挟んだ食べ物なんだよ」

 「なんか美味しそう。食べてみたいかも」

 「分かった。じゃあ、ここにしよ」

 「うん」


 俺と美咲は店舗に入ると、紙媒体のメニューを手に取り、一緒に何を食べるか悩んでいた。 

 色々な種類があるな。クラシックバーガーにチーズバーガー。ん?これ、美味しそうだな。えっと……テ・リ・ヤ・キ・チ・キ・ン・バーガー?

 俺は名前だけ見ても全く分からなかったので、名前の横に乗ってる写真を見ながらハンバーガーを決めていた。


 「私はアボカドバーガーにするけど、シンくんは何にするの?」

 「俺はテリヤキチキンバーガーにしよっかな。なんか美味しそうだし」

 「良いね、テリヤキチキン。じゃあ、私買ってくるから二人席探して待っていてくれる?」

 「分かった」


 

 俺は空いている二人席を見つけると椅子に腰を掛けた。

 どんな味なんだろう。

 心の中で楽しみにしながら美咲を待っていると、美咲がトレーを持って俺のところにやってきた。


 「お待たせ」

 「ありがとう」


 美咲はトレーをテーブルの上に置くと、俺の目の前に座った。


 「はい、これ、シンくんの分。飲み物聞き忘れちゃったから白ぶどうジュースにしておいたけど、平気かな?」

 「うん。ありがとう」

 

 俺は美咲からテリヤキチキンバーガーとポテトと飲み物を受け取ると、バーガー袋をめくり一口食べた。



 「うま」


 

 甘い醤油だれが包むチキンとレタス、オニオンの相性が抜群で、口一杯に甘辛い味が広がる。



 俺と美咲は少し会話をしながらハンバーガーとポテトを完食し、飲み物も全て飲み干した。


 「どう?美味しかった?」

 「うん。めっちゃ美味しかった」

 「それなら良かった。また来ようね」

 「うん」

 「それじゃあ、そろそろ行こっか」

 「そうだね」


 俺と美咲はバーガー袋などといったゴミをゴミ箱に捨て、トレーを返すと店をあとにした。




 「あれ?さきりん?」



 俺と美咲は店を出て5分ぐらい歩くと、ショッピングモールに着いた。すると、俺たちの近くから美咲の名と思われる名前を呼ぶ声が聞こえてきた。

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