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Prototype Of Thousand Years Chronicle~想いを紡ぐ悠久の物語~  作者: 伊勢沢舞姫
序章 始まりは出会いと共に
3/4

出会いは目覚めと共に

後半は円筒型のカプセルの中の子ども視点です。

東京都 檜原村 生藤山麓 培養研究所 中央棟 5階 502号室 精霊体培養研究室



研究室内は、パニックに陥っていた。研究室から逃げようとする者。円筒型のカプセルこと培養ポッドを守ろうとする者。研究資料をかき集める者。だが、それを襲撃者が許すことはなかった。研究室から逃げ出そうとする者がいれば気絶させ、培養ポッドを守ろうとする者がいれば研究員を気絶させてからポッドを壊し、研究資料をかき集める者がいれば研究員を気絶させてから資料を燃やした。すると、白い狐の面を被った襲撃者が、中央にある培養ポッドに向かい

「見ぃ〜つけた!」

と言った。

「おいおい、そんなことしていていいのかよ?警備員どもが来ちまうぞ?」

と、やや低めの子どもの声で長いスカーフのようなものを首に巻きつけている襲撃者が白い狐の面を被った襲撃者に向かって荒っぽい口調で言った。

「そうだ。奴らが来たら更に面倒なことになってしまう。」

と、やや高めの子どもの声で覆面のような布を顔の前に下げた襲撃者も白い狐の面を被った襲撃者に向かって雅な口調で言った。

「別に良いの〜!それに、あいつらが来るまでまだ時間は有るし、それにこれ以外のポッドに入っていた子達の供養もしたいんだから別に良いじゃ〜ん!」

と、高い声で白い狐の面を被った襲撃者は他の襲撃者に向かって幼さの残る口調で抗議した。というより、駄々をこねた。

「んだよそれ…。」

「意味が分からん。」

と、白い狐の面を被った襲撃者以外の襲撃者達は呆れてしまった。

「つーかさ、お前がそんな風にしてるから、こっちにも迷惑がかかってんのわかんねえのか?」

「顔見られているのかもしれないのだぞ。少しは考えて行動してくれ。」

「えぇ〜!?でもさでもさ、こうしないと天国にはいけないんだよ!それでもいいの?」

「「そんなこと知るか!!!」」

「えー、ケチ。」

「今何つった。」「今何と言った。」

「誠に申し訳ありませんでした。」

と、このように襲撃者達が痴話喧嘩をしている間に、警備員達は研究室の出入り口付近に着いてしまった。

「そこの侵入者、今すぐに破壊行動を収めなさい。」

と、アナウンスが鳴った。

「「あ…、やべ。」」

「一体どうするつもりだ?」

「とりあえずこいつをこれ(ポッド)から出す。」

と、中央のポッドを叩きながら言った。

「マジかって、いつものことだから別にいいけど、これ(ポッド)壊れるのか?」

「…多分。」

「自身無さげだな〜!オイ!」

と、長いスカーフのようなものを首に巻きつけている襲撃者が白い狐の面を被った襲撃者にツッコミをし入れる最中(さなか)、警備員達は襲撃者達に近づいてきています。

「おい。」

「てかどーすんだよ!壊れんのかよこれ!」

「壊れるよ。…きっと。」

「おい、お前たち。」

「お前ほぼ半信半疑だろ!本当に壊れんのかよ!」

「お前さんの怪力を使えば何とかなるっしょ!」

「その確証はどこにあるんだよ?」

「……。」

「無言やめろよオイ!」

「おい、お前たち、話を…。」

「そもそも、こいつ生きてんのか?」

「生きてると思うよ!」

「すっげぇ怪しいんだけど…。」

「さっき話しかけた時、少し反応したよ!」

「管付いてねぇーじゃん!」

「でも反応したよ!」

「お前たち!いい加減人の話を聞けーー!」

と、覆面のような布を顔の前に下げた襲撃者が切れると、

「「はぁ!今取り込み中なんだから黙れ!」」

と、覆面のような布を顔の前に下げた襲撃者に向かって振り向きながら逆ギレする襲撃者2人。

ガッシャァァァァァァン

「「「…あ。」」」

振り向きざまに拳を中央のポッドに叩きつけてしまった長いスカーフのようなものを首に巻きつけている襲撃者と白い狐の面を被った襲撃者。しかし、振り向く際、遠心力によって勢いをつけた拳が力強くポッドのガラスに叩きつけられる。ポッドのガラスには、みるみる内にひびが走っていく。

(((((((やばい!)))))))

その場にいた全員がそう思った。しかし、時すでに遅し。

ドバァッ

川の堤防が決壊したかのように、ポッドから止め処なく溢れる淡い光を放つ緑色の液体こと精霊保存溶液。それに流される人々。

「こちら、警備隊D04班。緊急事態発生。中央棟5階502精霊体培養研究室に設置されているポッドNo.T_3578が破壊。現在、精霊保存溶液により溺れている者が数名確認されています。直ちに援軍と救助隊を要請します。襲撃者達は無事な模様。ポッド内にいた生命体については、未だ確認出来ず。繰り返します。…」

と、警備員の一人が警備隊の本部に連絡する中、襲撃者達は中央のポッドの上に避難していた。

「しっかし参ったなぁ〜。まさか、ポッドのガラスが割れるなんて、思ってもいなかったぜ。」

「そうだね〜。」

「お前達。」

「ん?」

「な〜に〜?」

「何か、反省することがあるのではないのか?」

「「何が?」」

「はぁ…。ポッドのガラスを壊したことについてだ。」

「「ヘ…。」」

「え。」

驚き固まる長いスカーフのようなものを首に巻きつけている襲撃者と白い狐の面を被った襲撃者。その反応に唖然とする覆面のような布を顔の前に下げた襲撃者。

「まさか…、ポッドのガラスが壊れた原因が自分達にあると思っていなかったのか?」

「えっ、だって結局壊すんだから別に良くね?」

「そーだよ!壊すんだから別に良いじゃん!」

「いや、良くないだろ…。」

「でも、何で壊れたんだろう?」

「そりゃ、お前の拳が…」

「あんたの拳だって当たってたじゃん!」

「あのさぁ、ポッドのガラスって結構固いんだぞ。壊れるって思う訳無いだろぉ。」

「でも壊れたじゃん!」

「お前達、喧嘩している場合か!」

と、中央のポッドの上に避難していた襲撃者達は痴話喧嘩をしていた。

そんなことをしているうちに、研究室の床を満たしていた精霊保存溶液の海が引いていった。

「あっ、引いていくよ!」

「んじゃ、そろそろ降りるか。」

「ああ、そうするか。」

襲撃者達が中央のポッドの上から降り、辺りを見回していると、

「あっ、いた。」

と、白い狐の面を被った襲撃者が目的の人物を見つけたようで、その人物に駆け寄った。他の襲撃者達も白い狐の面を被った襲撃者について行った。

駆け寄ってみると、そこには床の上に倒れている子どもがいた。

「うぅっ…。」

と、その子どもが唸る。

「ケホッケホッカハッゴホッ!」

と、子どもは咳と共に何かを吐いた。どうやら、長い間精霊保存溶液の中にいたため、体内にも精霊保存溶液が侵入してしまったようだ。

「う〜ん…。」

ゆっくりと眼を開きながら上体を起こす子ども。しかし、その子どもは普通ではなかった。

透けるようなきめ細かい白い肌。身長からして12歳程だが、その割に細い体付き。身の丈の2倍ほどある、銀色に近い白銀に輝く長く美しい髪。開かれた二重瞼(ふたえまぶた)の大きな瞳は、夏の深緑を表したかのような深碧色。一糸纏っていない体に纏わり付く髪。その姿はまるで芸術品そのもの。その姿はその場にいた全員が息を飲むほどの美しさであった。

「あっ!」

と、白い狐の面を被った襲撃者が叫んだ。

「どうした?」

と、長いスカーフのようなものを首に巻きつけている襲撃者が聞くと、

「こいつ、男だ。」

と、言ってきた。

「んなこと言ってる場合かぁぁぁぁぁ!」



次の瞬間、破壊音が響いた。




◆◆◆◆◆


「おいおい、そんなことしていていいのかよ?警備員どもが来ちまうぞ?」

「そうだ。奴らが来たら更に面倒なことになってしまう。」


別の人の声が聞こえてくる


一体誰なの?


「別に良いの〜!それに、あいつらが来るまでまだ時間は有るし、それにこれ以外のポッドに入っていた子達の供養もしたいんだから別に良いじゃ〜ん!」

「んだよそれ…。」

「意味が分からん。」


一体何の話をしているんだろう?


「つーかさ、お前がそんな風にしてるから、こっちにも迷惑がかかってんのわかんねえのか?」

「顔見られているのかもしれないのだぞ。少しは考えて行動してくれ。」

「えぇ〜!?でもさでもさ、こうしないと天国にはいけないんだよ!それでもいいの?」

「「そんなこと知るか!!!」」

「えー、ケチ。」

「今何つった。」「今何と言った。」

「誠に申し訳ありませんでした。」


喧嘩でもしているのかな?


「そこ…侵入者…直ぐに…めなさい。」


どういうことだろう?


「「あ…、やべ。」」

「一体どうするつもりだ?」

「とりあえずこいつをこれ(ポッド)から出す。」


誰をどこから出すんだろう?


「マジかって、いつものことだから別にいいけど、これ(ポッド)壊れるのか?」

「…多分。」

「自身無さげだな〜!オイ!」


「おい。」

「てかどーすんだよ!壊れんのかよこれ!」

「壊れるよ。…きっと。」

「おい、お前たち。」

「お前ほぼ半信半疑だろ!本当に壊れんのかよ!」

「お前さんの怪力を使えば何とかなるっしょ!」

「その確証はどこにあるんだよ?」

「……。」

「無言やめろよオイ!」

「おい、お前たち、話を…。」

「そもそも、こいつ生きてんのか?」


生きてるよ!


失礼だな!


「生きてると思うよ!」

「すっげぇ怪しいんだけど…。」

「さっき話しかけた時、少し反応したよ!」

「管付いてねぇーじゃん!」


管って何のこと?


「でも反応したよ!」

「お前たち!いい加減人の話を聞けーー!」


あっ


誰かキレた


「「はぁ!今取り込み中なんだから黙れ!」」


逆ギレかなぁ?


ガッシャァァァァァァン


何の音?


ボコボコッ


今度は何?


ゴォォォォォ…


えっ



引っ張られる


いやっ


誰か


助けて…


溺れる


苦しい


息が


沈む


怖い


まだ


死にたくない


死にたくないよ…!


「…いた。」


誰?


誰かそばにいるの?


「うぅっ…。」


誰なの?


動いて


動いてよ僕の体!


お願い!


動いて!


うぅっ


なんだろう?


すごく気持ち悪い


「ケホッケホッカハッゴホッ!」


何か出た


うぅっ


体が痛い


頭も痛い


でも動かないと


起きないと


今そばにいる人がどこか行っちゃう


「う〜ん…。」


体が痛いけど起きないと


うっ


眩しい


(ひかり)ってこんなに眩しかったっけ?


目の前に誰かいる


3人いる


誰だろう?


顔が見えない


顔にお面を付けたり、布を下げたりしている


何で顔を見せようとしないんだろう?


しかも、全員服の色が真っ黒だし



さっきからすっごく見られているし


「あっ!」


お面の人が何か叫んでる


どうしたんだろう?


「どうした?」


長い布を首に巻いた人がお面の人に何か聞いてる


一体どんなことを聞いてるのかな?


「こいつ、男だ。」


お面の人がそう言った


一体誰のことを言ってるのかな?


「んなこと言ってる場合かぁぁぁぁぁ!」


あっ!


長い布を首に巻いた人がお面の人に向かって叫んだ!


そして、お面の人の頭を殴った!


一緒に凄く大きい破壊音が聞こえてくる


「いったあああぁぁぁぁぁい!」


お面の人が頭を抱えて泣きながら叫んだ!


今の音だと、普通死んでるよね?


なんで生きてるの?


一体何がどうなっているの?!

次回はトラブル発生の予感…!!

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