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異世界で最強 ~転生と神の力~  作者: 富岡大二郎
第六章 伝説との契約
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魔物と初対決

 人々が一日の行動を終え、夜行性の動物の鳴き声だけが聞こえる静かな夜。

 前世の頃の大都会とは違い、この世界では発展しているような所でも深夜帯になるとみんな寝静まっていく。


 私は今、静かになった王都フェルゼンの街のある方角の出入口付近にいる。隣にはシャロルと私の護衛二人。

 夜の間周辺を照らしている街灯があるこの場所で、オリジン様と待ち合わせをしている。

 ちなみに城を出る際、セリアも付いて行こうとした。けど、女王とあろう者が深夜に夜道をウロウロするのはいかがなものか、という話になり、ごねるセリアを力ずくで説得した。

 結局セリアは私に脅されるかたちで同行を諦めた。


「朝以来ですね。アイラさん」


 周囲から声が聞こえたと思ったら、目の前にオリジン様が現れた。


「オリジン様、お待たせ致しました」

「お久しぶりです。オリジン様」

「ご無沙汰しています」

「……」


 私は普通に頭を下げる。アテーナとアルテは久々の再会だったらしい。私と一緒に頭を下げている。

 シャロルだけが何も言わないと思ったら、オリジン様を見たままポカーンとしていた。多分神聖的な雰囲気にやられてる。

 シャロル~?私もいずれこうなるんだよ~?


 そんなシャロルの事を解っているのか、オリジン様は何も言う事なくシャロルに向かって優しく微笑んでいる。


「シャロル~?いつまでボーっとしてんの?」

「…はっ!つ、ついうっかり、動きを止めてしまいました。見惚れてしまっていて…。失礼いたしました」


 私がシャロルを揺さぶると、シャロルはようやくフリーズ状態から戻った。

 さすがのシャロルもオリジン様の雰囲気に勝てなかったようだ。そりゃそうか。


「ではアイラさん、行きましょうか」

「はい、オリジン様。みんな、行ってくるわ」

「我々は城へ戻ります。行ってらっしゃいませ」

「オリジン様がいることですし、安心ですね」

「お嬢様、どうかお気を付けて」


 オリジン様が手を差し伸べてきたので、私はそれに応じる。

 アテーナとアルテは笑顔で送り出し、シャロルは少し心配そうな表情を浮かべていた。

 精霊の女王と一緒なんだから大丈夫だって。








 私とオリジン様は暗い夜道を歩く。

 当然辺りを照らす物はない。オリジン様と繋いでいる手の感覚だけが頼りだ。

 もちろん周りはほとんど見えない。星空の明かりはあるものの、視界を照らしてくれる光ではない。


 と、少し進んだところで無数の光の玉が現れた。これは一体?


「この光は小精霊という子達です。浮遊するだけで何もしませんが、私達の足元を照らすよう、私の方で指示をしていました」


 精霊の一種、下級精霊とでも言うのかな?

 小精霊達は私とオリジン様に近づくと、そのままくっ付くように一緒に動き始めた。

 視界がクリアになる程の明かりではないが、最低限の光で照らしてくれている。おかげで足元は見えるようになった。


 しばらく歩くうちに道からは完全に外れ、私とオリジン様は森の奥深くへと入って行く。

 まだ足元が不安定じゃないから良いかな~、なんて思ってたら急にオリジン様が足を止めた。小精霊も一緒に止まる。


「アイラさん。あなたは魔物と遭遇した事はありますか?」

「魔物ですか?いいえ、ありません」


 急にどうしてそんな質問をしてきたんだろう?

 理由も分からないまま私は答える。


「そうですか。あなたは今、自分が持っている神力を全開に出来ますか?」

「全開にした事はありませんが、出来ると思います」

「分かりました。では、神力全開で初めての魔物と戦ってもらいましょう」

「…え?」


 突然何を言い出したかと思えば、オリジン様が指差した方には見た事のない禍々しい何かがいた。

 大きさは大型犬くらい。四本足なのは分かるが、身体は何やら黒い瘴気のようなものに覆われていてよく見えない。

 その瘴気の中からは、目と思われる赤い不気味な光が二つ見える。あの辺が顔であるというのが、なんとなく分かった。

 そいつは気味の悪い鳴き方でこっちに吠えている。威嚇するかのようだ。


「あれが魔物…」

「精霊達と会う前にあなたの実力を確かめさせていただきます。突然かもしれませんが、戦いとはそういうものです」

「…分かりました。ところで私、打撃しか出来ませんけど?あいつに打撃は通じるんですか?」

「通じますよ。さあ」


 オリジン様に促され、私は魔物に一歩近づく。

 気を集中させて、今自分が持っている神力を一気に解放させた。

 今まで制限をかけた中途半端な解放しかしてこなかったから、全開だとなんだか気分が良い。


 魔物は私に向かってきた。そのスピードは常人では対処出来ないだろう。

 が、私も魔物が動いたと同時に行動を開始。魔物よりも遥かに早いスピードで魔物に詰め寄った。

 私の早さが予想外だったのか、魔物はわずかに怯んだ動きを見せた。

 私はその隙を見逃さず突撃。高速で魔物をぶん殴った。

 魔物は私の攻撃をまともに受け、吹っ飛んで木に激突した。

 倒れた魔物はそのまま動く事なく、赤い粒子となって消えていった。

 決着はついたようだけど、なんかあっけない。


「お見事です。アイラさん。日頃から鍛えていたとハルクから聞いていましたが、それが良く分かります。ちゃんと鍛錬されていますね」

「いえ、そんなことは…。鍛錬って言っても簡単なものですし、最近はしてませんから。

 それにしてもあの魔物、弱すぎませんか?あまりにあっけないと言うか…」

「そんなことないですよ。あの魔物を並の人間で倒そうとするならば、10人はいないと倒せません。一人や二人だったら死は確定でしょうね」

「そ、そうなんですか!?」

「そうなんです。では、行きましょうか」


 オリジン様と私は再び歩き出す。

 本来10人がかりでやっと倒せる魔物を私は一人で倒してしまった…。

 改めて自分が普通じゃないと実感した。そう思うと、学院祭の頃のケンカはやっぱやり過ぎた?


 そんなことを考えながら、オリジン様の案内で小精霊達とともに、森のさらに奥深くへと入って行くのだった。

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