希望のお仕事
天神界メンバーの自己紹介がひと通り終わったところで、みんな改めてソファに座る。
「さて、一部の人からは聞いたけど、改めて何が出来るか、何がしたいか、教えてほしいな」
「それに関してですが、実は我々全員希望の仕事を決めていまして。一応ご報告致します」
セリアが話の進行を始め、改めて天神界メンバーのお仕事希望を聞いた。
それにヘルメールが答える。…いや、見た目的にヘルメールさん、かな?
いくら私の方が立場が上でも、年上な感じの容姿の人にはタメ口はしたくない。
そんでもって、全員仕事に希望があるらしい。天神界からこの世界を見つつ考えてたんだろうな。
「まず私ですが、農業、畜産、漁業等の生産系、できれば国全体の範囲で見てまわって、それらに関わる方々と接してみたいのですが…。そういった仕事は大丈夫でしょうか?」
ヘルメールさんはやっぱりそういった事に関わりたいようだ。
柔らかな物腰で優しい表情の人だから、農家や漁師の人とも馴染めるだろう。
ちなみに今ヘルメールさんが言った事を、オルシズさんがひたすらメモ書きしている。
「あたしは、城で散髪とか出来ない?兵士さんとか使用人の人も忙しいでしょ?あたしが常駐すればいちいち散髪屋に行かなくても良くなるはずだよ」
スンテノさんはどうしても城で美容院をやりたいようだ。難しいと思うけど。
ちなみに『散髪屋』とは、『床屋』『美容院』のこと。この世界では散髪屋と言われている。
「私とメリッサは、一緒に警備をやらせてもらえませんか?ほら、別館の出入口前とか」
エウリアはメリッサちゃんと一緒に警備兵として働きたいらしい。
メリッサちゃんも無言で頷いてる。
「商業取引とか極秘取引とかの交渉の役職があれば良いな。得意分野だから」
へーメスさんは交渉系希望。自信たっぷりみたいだし、相当実力があるんだろう。
「…鍛冶なら出来る」
一言で終わらせたへーパトスさん。
でも鍛冶職人で武器防具を製作出来るなら、そういった分野の即戦力になるだろう。
ていうか、みんなの希望が私とセリアのサポートから離れてない?
「私はアイラ様とグリセリア様のお化粧の専属になりたいです」
やっとサポートらしい希望が出た。
アプテさんは私とセリアのメイク担当になりたいらしい。
自分でメイクする必要がなくなると思うとありがたい。
「私はアイラ様の専属護衛および近距離戦闘の指導をさせていただきたく思っています」
「私もアテーナと同様、アイラ様の専属護衛および遠距離戦闘の指導をさせていただきたく思います」
アテーナとアルテの二人は私の護衛と特訓の指導をしたいらしい。
護衛してくれるだけでもありがたいのに、特訓の指導まで。嬉しい限り。
これでひと通り希望は聞いた。後は国の判断になる。
「う~ん、アテーナとアルテミスの希望はアイラが決めて良いよ」
「良いの?だったら私はぜひお願いしたいわ」
「「ありがとうございます!」」
セリアがアテーナとアルテの希望を私が決めて良いと言ってきたので、私はすぐにオッケーを出した。
アテーナとアルテは嬉しそうに同時にお礼を言ってきた。
そんなに名誉な事じゃないと思うけど、なんか嬉しそうだからいっか。
「それじゃあ、みんな一旦解散で良いかな?正式に身分や職が決まるまでは客室にいてもらうよ?
今使用人達が部屋を準備してるはずだから、もうちょいここで待機してて。
オルシズとアリスも一緒に待機。客室の準備が整い次第、全員が客室に入るまで一緒にいて。それが終わったらオルシズは通常の仕事に戻って。アリスは一旦別館に来て。
そんじゃアイラ。別館に戻ろ~」
セリアは一体いつ客室準備を指示したのかしら?いつの間に…。
そして天神界メンバーとオルシズさんとアリスに指示を出して、私とセリアは別館へ戻った。




