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異世界で最強 ~転生と神の力~  作者: 富岡大二郎
第五章 新たなる舞台へ
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起床後

「ん……」


 私は目を開ける。天神界から意識が戻ったことで、目が覚めたのだ。

 天神界で着ていた部屋着は、脱いで裸になった状態に戻っている。どういう原理なんだろう?


「ん~?ふわぁ~…」


 セリアも目が覚めたようであくびをしている。

 とても眠たそうな表情をしているけど、それ以上に気になったのが…。


「あんた、そんな寝方でよく呼吸できたわね…」

「ん~?別に平気だよ~?」


 セリアの寝姿勢。それは仰向けになっている私の上にうつ伏せで覆いかぶさり、私の胸辺りに顔面を埋めた状態というもの。

 普通なら呼吸できなくなってもおかしくない状態なんだけど…。一体いつからこの姿勢だったのやら。


「とりあえず一旦起きましょう。今の時間の確認と天神界での会話の整理をしたいわ」

「そだね~。ふわぁ~…、寝む…」


 ベッドから見える窓の外はまだ暗く、天井のガラス張り部分からは満天の星空が見える。まだ陽が昇る時間ではない事は確かだ。

 私は身体を起こそうとするが、私の上に乗っているセリアが動こうとしない。そして私の上で何度もあくびをしている。

 そういえばこの子、寝起きが悪かったんだっけ。


「ちょっとセリア。あんたが動かないと起き上がれないんだけど。今世でも寝起き悪いわね」

「寝起きが悪いのは否定しないけど~、今は寝起きがどうとかよりもアイラの肌触りと温もりが心地良くて………、ぐぅ~…」

「再び寝ようとするな!さっさとどけ、ヘンタイ」

「むぅ~、分かったよ~」


 動かないどころか二度寝しようとしてきたセリア。

 私はセリアを叩いて強引にどかし、動かされたセリアも渋々起きた。


 現在時刻はまだ真夜中の時間帯。あと一時間もすれば徐々に明るくなってくるかな?という頃だ。

 本来なら誰もがまだ眠りについている時間だけど、私とセリアは天神界での会話を整理しなくてはいけない以上、起きざるをえない。


 別館のロビーや廊下は小さな明かりが点いてるし、ベッドも小さい明かりが灯る設備が枕のさらに上にある。

 ベッドの明かりを点けた後は私もセリアも動くのが面倒だったので、結局ベッドの上で裸のまま座ってくつろぐことにした。


「驚いたことばかりで自分が理解に至れたかすら分かんないんだけど」

「私も。なんか急展開ばっかだったね」

「そういえば天神界の部下達も精霊も神獣も神龍も、いつやってくるか聞いてなかったわね」

「そだね。ていうか、神龍の契約者は竜族がやる儀式で分かるんでしょ?何がどうアイラに向くの?」

「そうだよね。神龍自ら現れる事はないだろうし…」


 ハルク様の部下であり私やセリアの部下でもある天神界サポートメンバー。そして精霊や神獣。これらは自ら私の前に現れるだろう。

 でも神龍はシュバルラング龍帝国にいて、儀式で契約者を決める仕組みである以上、自ら私の前に現れるとは思えない。となれば私が龍帝国に赴くということになるだろうけど、いつのタイミングでどう向かえば良いか分からない。


 私がこんな風に考え込んでいると、セリアが「ねぇねぇ」と私の腕を指でつついてきた。


「私ね、アイラに役職と地位を与えるの予定より早めようと思うんだ。早めにしないと後回しが多発しそうな気がしてさ。悪いけど、新しい性決めるの急いでほしい」

「それなら大丈夫よ。新しい性ならもう浮かんでるわ」


 侯爵の地位を賜る事で必要となる、リースタインに代わる性。

 実は寝る前になんとなく浮かんでいた。


「お?もう決めたの?なんて性?」

「ハミルトン。アイラ・ハミルトン。どう?」

「ハミルトンか…。ハミルトン侯爵…。うん、良いんじゃないかな?」

「じゃあ、ハミルトンで決定」

「ちなみにどんな意味?」

「意味はない」

「やっぱりか~。アイラって前世の頃からそういったところ直感だよね~」

「こういうのは直感で良いのよ。考えたらキリないわ」


 こうして私の新しい性は『ハミルトン』で決まった。とてもアッサリ。







 私とセリアはその後少しだけ仮眠をとった。起きる頃には朝になっていた。


「今日の食事も使用人が持ってくるからね~」

「分かったわ。みんなはまだ寝てるかしらね~?」


 私とセリアは同時にあくびをした。

 仮眠後、私とセリアは部屋着を着てリビングへ移動。ソファでくつろいでいた。

 いずれ自室から出てくるであろうシャロルと、客室からここに来るであろうノワールとアリスを待っているのだ。


「アイラはもう答えは出てる?三大伝説と契約を成すかどうか」

「出てるよ。全ての契約を成そうと思う」

「そっか。契約出来たらアイラは世界最強になるね。いろんな意味で」

「そうねぇ…。いろんな意味でそうなるわねぇ…」


 セリアの言う三大伝説とは精霊、神獣、神龍の事。

 私は既に心に決めていた。私と契約しようと動き出した存在全てと契約する。

 遠い未来、私はハルク様のもとへと行く時が来るだろう。それはセリアも同じく。ここでの経験は言わば一つの修行でもある。

 でもいくら修行でもこの世界で出会った、これから出会うであろう人達との関わり合い、時にはその人達を守らなくてはいけなくなる可能性。そういったものは経験値を大きく向上させるし、絶対に失敗の許されない事だ。どれだけ特殊な立場や存在でも、人生は一度きり。

 そういった事を考えた結果、伝説との契約は必須と判断した。

 もう目立つ目立たないは言っていられない。学院にいた頃の考えとはおさらばだ。

 でも……、重圧に対するお腹の痛みとはおさらば出来てない…。







 しばらく経って、待っていた面々がやってきた。

 みんな部屋着ではないが、動きやすい服装でいる。


「おはようございます。女王陛下、アイラ殿」

「おはようございます。こちらへ向かおうとしましたら、ロビーでちょうどお二人と会いまして」

「おはようございます…。ふぁ…」


 アリスは丁寧にご挨拶。

 シャロルは自室を出た後にロビーで合流したらしい。だから一緒に来たのか。

 ノワールはまだ意識が覚醒していない感じだ。小さくあくびもしている。もしかしてセリア同様寝起き悪い?ここまで似るの?この二人。


「おは~」

「おはよう、みんな。眠れた?」


 セリアは軽いノリで挨拶を返し、私はシャロルとノワールに睡眠具合を聞く。


「おかげさまで良く眠れました。十分に睡眠はとれたかと。部屋のベッドですが、リースタイン邸にいた頃のベッドよりも快適です。おかげですぐに寝つけました」

「眠れたとは思うんですけど、私寝起きが悪くて…。眠れたんだかどうなんだか…」


 シャロルは満足に眠れたようで、部屋の設備がリースタイン邸より上で嬉しいらしい。

 ノワールはやっぱり寝起きが悪いのか。未だに覚醒しきってはいないようだ。


「そう。二人はちゃんと眠れたようで良かったわ」

「アイラ様は、眠れませんでしたか?」

「はっ!まさか、女王陛下が何かいかがわしい行為を…」

「してねーよ」


 ノワールは私に眠れなかったのかと質問してきて、シャロルはセリアが私に何かしたのではないかと怪しい目をした。

 セリアはシャロルに即ツッコんだ。


「結局、お二方は眠れましたか?」


 アリスが冷静に眠れたか聞いてきたので、私とセリアは一緒に首を横に振る。


「あまり眠れてないわ。寝るどころじゃなくなっちゃって」

「私も寝てない。いろいろ大変だし」


 私とセリアの発言に、三人は揃って首を傾げる。


「夜中に何かあったのですか?」

「事情を話す前に。アリス、リリアとオルシズが出勤するのはまだ先だよね?」

「はい。まだ朝食時間帯にもなっていませんので、二人が出勤してくるには後数時間ありますが…」


 シャロルの問いをセリアは遮り、アリスにリリアちゃんとオルシズさんの出勤時間を確認していた。

 事情をいっぺんに話せないか、模索したんだろう。


「う~ん、なら二人は後で良いか。実は夜中に私とアイラは揃って神に呼ばれていたんだ。これからの事で色々話したりしたから、良く聞いてほしい」


 セリアの真面目な態度と神という言葉に、三人はただ事ではないと感じたのか、表情を強張らせた。

 私とセリアは天神界でのやりとりを話した。

 精霊、神獣、神龍という伝説達が、私と契約を成そうと動き始めている事。

 契約に伴う神気の溢れによる私の存在感の変化。

 天神界から降りてくるサポート勢の事。

 そして、神様の正体がハルク神だった事。

 話を聞いていた三人は、驚きのあまり口を開けたまま呆然としていた。


 そのまま私が新しい性をハミルトンにすることに決めた事と、役職と地位の賜りを予定よりも早くする事をセリアが検討している事も話した。


「ま、こんなところだよ」


 セリアが話を締めた後も、三人は黙ったままだった。

 しばらくの沈黙の後、ようやくアリスが再起動した。


「この件、かなり重要とお受け致します。リリアとオルシズ宰相にも急ぎ伝えるべきでしょう。普段よりも早く城へ来るよう、伝令兵をそれぞれに向かわせます。指示のため、一旦失礼します」


 アリスはそう言うと、一礼してからバタバタとリビングから出て行った。


「お嬢様が以前話されていた精霊様や神獣様とお会いする時が、遂に来たのですね…」

「アイラ様を見ていた方があのハルク神様で、アイラ様自身も伝説の主となられようとしている……。なんと素敵で素晴らしい事なんでしょう…」


 シャロルは真剣な表情になっていた。

 ノワールはキラキラした表情で天井を見上げながら何か呟いてる。非常に怖い。







 さらにしばらく経って、朝食前にリリアちゃんとオルシズさんがやってきて、さっきと同じ説明をした。

 二人もあ然としたままフリーズしていた。


 そしてこの話からわずか半日も経たないうちに、話の中の一部が私達の前に現れるのだった。

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