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異世界で最強 ~転生と神の力~  作者: 富岡大二郎
第五章 新たなる舞台へ
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添い寝

途中で視点がアイラから外れます。

 寝室へ向かいベッドに入る時、私は服を脱ぐ。

 前世の頃やリースタインの屋敷にいた時同様、裸で寝るためだ。


「やっぱ裸で寝るんだね。懐かし~。ま、脱がずに寝られたら困るんだけど」

「なんで?」

「なんでって、アイラ前世の頃寝ながら脱いでたじゃん」

「あんたよく覚えてるわねぇ…」

「そりゃ覚えてるよ。寝静まった中で睡眠状態のまま服脱ぎ始める春華見るの、けっこうホラーだったよ」


 私は前世の頃、服を脱がずに寝てしまうと無意識で睡眠状態のまま服を脱ぐという技を身体が勝手に身に付けていた。下着だけでも同様に脱いでいた。

 なので寝る時に服を着ていても、朝起きると全裸になっているという事が当たり前に起きていた。

 セリア、当時の神楽にしてみれば、その現象を見た時はホラーだったらしい。

 多分、今も服着たままだったら同じ事が起きると思う。


「裸で寝てた事思い出す前は服着た状態でも普通に寝れたんだけどねぇ。思い出してからは脱いでないと落ち着かないし…。

 ところであんたもやっぱり脱ぐのね」


 私が部屋着を脱いだと同時に、セリアも一緒に脱いでいた。


「そりゃね~。前世で一緒に寝た時は必ずこうだったし」

「今世でも同じね」


 私とセリアは前世の頃、よくお互いの家に泊まりに行ったりもしていた。

 そして寝る頃は必ずお互い全裸になって一緒の布団で寝ていた。

 これはセリアが私の行動に合わせた上でやっていた事。「一緒に寝るのに自分だけ服着たままは嫌だから」というのが理由。

 一緒に寝ているだけでそれ以上の事は何もしていない。

 もう一度言う。何も、していない。


「じゃあ、おやすみ。アイラ」

「うん、おやすみ。セリア」


 寝の体勢に入ったら、セリアが抱きついてきた。

 腕を私の背中にまわして、身体を強く密着させて、足を絡めてくる。

 別に驚く事ではなく、これが前世の頃からの私と一緒の布団に入った時のセリアの基本姿勢なのだ。

 別々に布団があろうとも、必ず私の布団に侵入してきてこの状態になっていた。私が離そうとしても絶対に離れなかった。


「寝方も変わってないわねぇ。あんたは」

「これが落ち着くんだよ。今までより遥かに快眠できるよ。しかもこれからは毎日……ムフフ…」

「気持ち悪い笑い方しないでよ。ヘンタイ」

「だれがヘンタイだ!アイラひどーい。抗議だ抗議~」

「分かったから寝なさい。ハイおやすみ」


 私はセリアの背中に腕をまわし、抱き締め返す姿勢になった。

 他から見れば『百合』としか思えない状態で、私は眠りに落ちるのだった。


 ……この状態をシャロルが見たら倒れるだろうな…。





*************************************





「アイラ、寝ちゃったか」


 アイラが睡眠状態になった後も、グリセリアは未だ起きていた。

 そして眠るアイラの頭を撫で続け、彼女の寝顔を堪能していた。


(アイラのアストラントでの友人の中にはリベルト王子がいた。私が訪問してあの王子と対面した時、それなりに出来る奴だとは直感的に思った。

 でもアイラは国も家族も友人も捨ててグレイシアへやってきた。政府の陰謀からアイラを守らなかったということだ。

 アイラの話を聞く限り、アイラは学院で功績を上げていたはず。それを近くで見続けてきた王子が動かなかった事が妙に気になる。アイラのような逸材、簡単に捨てるとは思えない)


 グリセリアはアストラントへ訪問した際、にこやかな表情のリベルト王子を見て警戒心を抱いていた。

 ニコニコ顔の裏に隙の無さと何故か哀しみを感じ取っていた。

 しかし立場は王子。いずれは国を背負う立場。そんな人物が功績を上げていたアイラを庇わなかった事にグリセリアは疑問を抱いていた。


(私の感じ取ったものが気のせいで、実際は中身がない男なのか。もしくは我が身可愛さにあえて引っ込んだか。またはアイラをグレイシアへ行かせる事に協力的だったか。

 どうにせよ、アストラントの企みはアイラにしっぺ返しされた状態になった。アイラの計画がうまくいっていれば、しばらくアストラントは放っておいて大丈夫だろう。

 ただ、しばらくすればアイラの両親やアイラと関わった有力な貴族の子息や令嬢がアイラをアストラントへ引き戻そうと動き出す可能性もある。それだけは絶対に防がないと…)


 グリセリアは、いずれアイラの友人だった者達がアイラを引き戻そうとしてくる事を警戒していた。

 そしてアイラがアストラントへ戻る判断をしてしまう事を危惧していた。


(アイラは確かにアストラントで生まれ育った。でもこれからのアイラの居場所はグレイシア王国だ。私がいるもとだ。そのために別館を造ったんだ。

 他の国ならともかく、いくら親がいるとはいえ借金を隠すためだけに国民を捨てた国なんかにアイラを渡すものか)


 グリセリアはアイラの顔に自らの顔を近づけた。


「アイラ。これからはずっと一緒だよ?私が守ってあげるからね…」


 グリセリアはアイラの首元に顔を埋めて、そのまま眠りについた。

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