一日が終わる頃
視点がアイラに戻ります。
「ふえ~い。上がったよ~。あり?」
「どしたの?セリア」
お風呂から上がって先にリビングへ向かったセリアが、疑問の反応をしていた。
私もリビングへ向かうと、そこには誰もいなかった。
「だーれもいない」
「ノワールは部屋着を取りに行ったんじゃないの?アリスが戻ってきてさ。シャロルもいないのは…、一緒に行ったのかな?」
「多分そうじゃない?とーあえず、くつろぐか」
「そうね。何飲む?」
「水で良い~。冷たいの欲しい~」
セリアが要望した通り、キッチンで私の分も含めた水をコップに汲む。
「はい、どうぞ」
「あんがと~」
セリアはかなりの勢いで水をイッキ飲みした。
「あ~、冷たい!いや~、のぼせた」
「ちょっと入り過ぎたわね」
「そだね~。はぁ~」
セリアはため息をつくと、ソファに座る私の太ももを枕にする形で寝そべった。つまり膝枕である。
風呂上がりではあるけど、髪の毛はほぼ乾いているので問題ない。
お風呂から上がった直後に気が付いたのだけれど、驚いた事にこの世界には存在しないはずの『ドライヤー』が脱衣所に置いてあった。
聞くとセリアがお姉さんと一緒に開発していたらしい。しかも魔法で温風を発生させていて、調節範囲が前世の頃に流通していたドライヤーより細かく微調整出来て、最大温度も前世の頃よりも高く出来た。
さらにドライヤー本体から魔法を発動させて風を出せるので、コードレスで使いやすい。めっちゃ画期的。
これ商会に通して商品化したら売れるんじゃない?
そんなドライヤーのおかげであっという間に髪の毛を乾かしてしまった。
私の長い髪は普段はシャロルが乾かしてくれてるけど、今日はセリアが乾かしてくれた。結果、無駄に髪を触られたけど。
私の膝枕でゴロゴロしているセリアの相手をしていると、アリス、シャロル、ノワールの三人が戻ってきた。
「ただいま戻りました」
「お二方は既に上がって…、何をしているのですか?」
「何かありました?」
アリスは普通に挨拶して、シャロルは私の膝の上でゴロゴロしているセリアを見て何故か呆れた表情をしている。
ノワールはどうかしたのかと疑問の表情。
「ちょっとのぼせちゃって。それでくつろいでるの」
「はあ、そうですか」
なんでシャロルは微妙な反応なの?別に良いじゃん。こんな体勢でも。
「それにしても、アイラ様のその部屋着は素敵ですね」
「私は見慣れるのに時間がかかりそうです…」
ノワールが素敵と言い、シャロルが未だ見慣れてない私の現在の格好が、今日試着した露出セーター。の、胸部分が開いてないタイプの赤色バージョン。
もちろん下着は一切着用していない。
その後、シャロルからノワールの順で入浴。
シャロルが入浴している間に、ノワールに新しい性を考えておくよう、セリアが伝えた。
二人の入浴が終わった頃には、すっかり夜遅くになっていた。
「今日はそろそろお開きにしようか?もう日が落ちてからだいぶ時間経つし」
「お開きってあんた、宴会じゃないんだから」
セリアの発言に私がツッコむ。
そして使っていたコップやその他諸々を片付け、ノワールは自分の荷物をまとめた。
「では女王陛下、アイラ殿、シャロル殿、失礼致します。ノワール殿、行きましょう」
「ええ。アイラ様、女王陛下、シャロルさん、おやすみなさいませ」
「うん、おやすみ」
「お疲れ~」
「おやすみなさいませ」
アリスとノワールは客室へ向かうため、別館から出て行った。
「それでは私も部屋へ戻ります。ここへ来て一日も経っていない者が言うべき言葉ではないとは思いますが、何かございましたらお呼びくださいませ」
「うん。お疲れ様」
「だいじょーぶだよ。ゆっくり休んで」
こうしてシャロルも自室へと向かって行った。
「私達も寝る?アイラ、だいぶお疲れでしょ?」
「そうねぇ。今日起きたのが深夜だったからだいぶ眠いわ~」
私はあくびをする。神体でも寝不足にはなるようだ。
私達は就寝準備を済ませ、リビングや廊下、ロビー等の明かりを消して…。と思ったら、消したと同時に小さな明かりが天井に点いた。
おかげでロビーや廊下は薄暗いが見える状態になっている。
「セリア、これ点いたままだけど?」
「こういう仕組みにしたの。廊下やロビーはさすがに点いてないと緊急時見えないのは大変じゃん?他の建物にはないこの世界の最新技術だよ」
「さすが機械分野で天才なだけあるわね。やるじゃない」
「えへへ~」
そんな薄暗い空間を歩いて、私達は上の階にある寝室へと向かった。




