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異世界で最強 ~転生と神の力~  作者: 富岡大二郎
第五章 新たなる舞台へ
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お風呂で会話

 セリアと一緒に脱衣所へ向かい、奥の浴室に入る。

 前世の頃以来、久々に一緒に入浴だ。


「ねぇ、アイラ~。身体洗わせて~」

「はぁ?なんで?」

「アイラの身体を洗って触って撫でまわして堪能したい」

「却下」

「じゃあ、髪の毛洗わせて~」

「理由は?」

「アイラの長くて質の良い髪を洗って触って堪能したい」

「どっちも理由がほぼ一緒じゃないのよ!洗わせられるか!理由が不純だわ!」


 そんなやりとりをしながらひと通り身体を洗い終えた後、一緒に湯船に浸かる。

 お湯は熱過ぎずぬるくもないちょうど良い温度。


「ねー、セリア」

「ん~?」

「どうしてこんな別館なんて造ったの?国の城としては珍しくない?」

「どうしてって、アイラが来る事を考えて造ったんだよ。アストラントでアイラと再会した直後に計画立てて、帰ってから即着工」

「私の為に造ったの!?しかも計画実行が早い!なんだか申し訳ないわ。造ってくれた大工さんに」

「そっち!?私へのありがたみは無いの!?」

「冗談。ありがたいわよ。にしても前世で見た事あるようなデザインにしたわね?」

「この世界のデザインは幅広くないし、やたら派手なのはアイラが嫌がるだろうし私も好きじゃない。でも高級感は持たせたいと思った時に思い付いたんだ。

 前世の頃にアイラと泊まったホテルを参考にして造ってみたら良いんじゃないかなって」

「なるほどね。確かに派手よりは良いわ」


 前世の頃、東京のあるお高そうなホテルにセリアと泊まった事があった。

 街のくじ引きで偶然そのホテルの宿泊券が当たり、泊まる事が出来たのだ。

 ただ当時私達は未成年だったから、私の親も付いてきたけど。

 セリアはその時に泊まったホテルの光景を思い出して、その記憶を掘り返しながらこの別館のデザインをしたらしい。

 てことは内装のデザインはセリアがプロデュース?


「あんた機械と農業以外の知識も付け始めたの?」

「いや別館に関してはたまたま思い付いただけだよ~。偶然偶然」


 別に新しい知識を付けたわけではないらしい。

 工業と農業の知識が深い時点で天才だけどね。


「どうあれ遠慮なくくつろげる空間を造ってくれたのは嬉しいわ。ありがと、セリア」

「どういたしまして。エヘヘ~」


 私が素直に感謝の気持ちを伝えると、セリアは照れくさそうにしながら頭をかいていた。


「ところでアリスやリリアちゃんやオルシズさんとはずいぶん親しいのね?前世じゃ私以外の人とは全く関われなかったのに」

「あの三人とは私がこの世界に生まれて何年かした頃からの付き合い。つまり幼馴染なんだ。

 前世の事を思い出す前から一緒だったから、特に大丈夫なんだよ」

「へぇ~、私とシャロルみたいなもんか。オルシズさんはエアハルト公爵家の当主だって聞いたけど、アリスとリリアちゃんの家はどうなってるの?二人も貴族?」

「アリスは貴族じゃないけど、ヴァ―ミリオン家は代々王家の護衛を務める騎士の名家なんだ。リリアは一般人」

「ふ~ん………、ちょっと待って。アリスは理解したけど、リリアちゃんだけ一般人ってどういうこと?」

「私は覚えてないんだけどね、私が幼かった頃にリリアのお父さんがリリアを連れて王城に来た日があったらしくて、リリアが途中ではぐれて迷子になった時に偶然私と会って一緒に遊んで仲良くなったっていうのがリリアとの出会い。

 当時の私がリリアの事を離さなかったらしくて、別れた後も私がリリアの事を気にかけてた事がきっかけで、周りの大人達がリリアを私の側近に加える事にしたんだってさ」

「そうなんだ。リリアちゃんのお父さんも偉い役人だったり?」

「城勤めの役人ではあるけど、確か今は……、会社員で言うと課長辺り?」

「低っ!リリアちゃんのお父さんの立場、低い!娘のリリアちゃんが女王様の側近なんだから、もっと高い地位じゃなきゃおかしくない!?」

「それが話はあったんだけど本人が蹴ったみたい。メンタル弱いみたいであまり昇進はしたくないらしい。ちなみに親子の給料の差はとんでもないよ」

「そりゃそうでしょうね。しかも娘の方が給料上…。まぁ、メンタル弱いなら仕方ないんだろうけどね」


 リリアちゃんだけ何とも珍しい立場だ。住まいも普通の一軒家なんだろうなぁ。


「セリアも含めて側近三人も若いけど、他のお偉いさんも若いの?」

「ベテランもいるよ。平均年齢は前より若くなったけど」

「どうしてそんなに若くなったの?今までいた人達は?」

「国の重鎮だった人も、貴族の当主だった人も、私の父さんが国王を辞める時に一緒に引退していった。オルシズの父君もその一人。今はみんな隠居しちゃってる」

「わぁ…」


 前国王が辞める時に一斉にみんな辞めていくとか、よく国に混乱が起きなかったなぁ。

 セリアも采配振るの大変だったろうに。みんな不慣れって状態だったわけだし。いくら引き継ぎされててもね…。


「ねぇ、今度はアイラの話聞かせてよ。アイラがこの世界に生まれてどんな人と会ってきたか気になるなぁ」

「私わね…」


 私は今までの事をひと通り語り明かした。

 リースタイン子爵家という家に生まれた事。

 まもなくしてシャロルと出会った事。

 その後、記憶が蘇った事。

 倒れてきた家具からシャロルを守った事。

 病気にかかったシャロルの看病を周囲の反対を押し切ってしていた事。

 貴族の催しが面倒くさくてサボっていた事。

 大聖堂にお参りに行った時、水晶から強い光が発生してそれが神様の仕業だった事。

 学院に次席で入学してリベルト王子やその側近、個性的な友人が出来た事。

 セリアと再会した後、ノワールにストーカーされた事。

 学院会設立を発案した事と、学院祭開催を発案した事。

 ノワールのお姉さんにノワールの今後を託された事。

 乱闘騒ぎを起こした連中を一人で病院送りにしてやった事。

 母親が妊娠した事

 そして国の道具にされた事の仕返しをしつつ、家族や友人達とお別れしてここへやってきた事。

 セリアはずっと私の話に相槌をしながら黙って聞いていた。


「という感じで今に至るって感じかな。一部は密書で話したところもあるけど」

「いや~、波瀾万丈だねぇ~。私の方がイベントないや」

「なんだかんだで楽しかったけどね。今頃アストラントは軽い混乱状態のはずよ」

「政府が隠し続けてきた事を情報会社に流すとか、さすがアイラだね。これで少しの間だけアストラントは放っておけるよ」

「大した事はやってないわよ。何もしないまま国の言いなりになるのが嫌だっただけ。あんたが教えてくれた事がきっかけで出来た事だけどね」

「何もしないで終わらせないところこそアイラだよ。私は確認のために聞いただけ。シャロルもすごいね。宮殿に忍び込んで資料を見事盗んでくるって中々出来ないよ?」

「私も日頃からシャロルってすごいって思ってるわ。でも何故か知らないうちに隠密行動してる時があるのよね…」

「あはは。学院でアイラと話してた時も、アリスはシャロルにかなり警戒してたみたいだよ。アイラと一緒にいた時と一人になった時の雰囲気の変わりようが普通じゃないって」

「アリスは分かってたのね。シャロルの雰囲気の切り替えは雇い主だった私の両親だって気付かなかったのに」

「シャロルってけっこう強者なの?」

「メイドとしては優秀だけど、暗殺者としてはよく分かんない」

「でもアイラの事大切に思ってるのは事実だよね。シャロルは自分の家族と別れてまでアイラに付いてきたんでしょ?すごい覚悟だよね。迷いが出るよ?普通」

「シャロルにどうして一緒に来てくれるのか聞いてみたら、私のいる場所がシャロルにとっての居場所なんですって」

「アイラ一筋なんだね。そう考えると試着時の興奮も解る気がする」

「なんで?」

「だって自分の大事な主が今まで着てなかったタイプの服を、聞かされていたとはいえまだ自分にとって理解しきれていない人に着させられるのを見たら、そりゃ慌てるよ」


 そういうもんかなぁ?よく分かんないや。

 分かっている事は、私にとってシャロルは大切な存在。それだけだ。


「ノワールとは独特な知り合い方だよね。ストーカーからの友達って」

「武術大会終わった辺りからずっとガン見されるし尾行されるし嫌だったわよ」

「でも許したんでしょ?」

「ちゃんと反省してたし、何やら色々と事情がありそうだったから。彼女のお姉さんが亡くなった時は精神が崩れないか心配だったけど」

「親が子を放ったらかしって最悪だよね。他の貴族はどう思ってるんだろ?」

「それがあれだけ劣悪な環境になっているのにどこにも露呈してないっぽいのよ。どうやって隠してるのかは知らないけど」

「ノワールはお姉さんが亡くなって事実上孤独だったんだよね?彼女はアイラに付いてきて正解だったんじゃないかな?」

「私も彼女が孤独になってしまうのが心配でね、お姉さんにもノワールの事託されちゃったし、いっそ連れて行こうと思って全てを話したの」

「ここでなら馴染むと思うよ?彼女が悪い人じゃないのは見て分かったし」

「接し方に困って、馴染めば普通に話せるようになる点はあんたとそっくりよ。多分あんたとは気が合うんじゃないかしら?」

「あはは、そうだね。今度一対一で話してみるよ」


 セリアとノワールって性格が似てる気がするのよね。話したらきっと仲良くなると思う。


「アイラもそうだけど、ノワールも家の家系を出ちゃったから新しい性を考えないとね。後でノワールにも考えとくよう言っておかないと」

「私もノワールも勝手に性を決めちゃって良いの?普通王族が考える事じゃない?それ」


 家を出て他国へ渡ってそこの国の王家から性を貰うという事が、この世界の歴史には何例かある。

 でも今セリアが言ってるのは、私もノワールも自分で性を決めて良いという事だ。これは前例がない。

 ちなみにシャロルの場合は扱いが平民で何かの有力な家柄でもないため、バレスタインのままだ。

 性を変えるのは貴族や商家や武家などの家系の人が該当する。


「二人がそれぞれ考えてもらって、それを私が決めた事にすれば良いじゃん。考えるの面倒臭いんだもん」

「あんたもうちょっと王族としての自覚持ちなさいよ…」


 思考も行動も王族じゃないよね。セリアって。

 まぁ、前世の記憶があるからこそなんだろうけど。


 それからもずっといろんな話に没頭していたのだが。


「アイラ~、私のぼせてきた~」

「私もヤバいかも。話に夢中になりすぎたわね。出ましょ」


 話過ぎて完全にのぼせた私とセリアは、若干フラフラしながら浴室を出るのだった。

 危うく二人揃って脱水症状起こすところだったよ。

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