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異世界で最強 ~転生と神の力~  作者: 富岡大二郎
第三章 学院生活 二年目
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新たな動きの前兆

 学院祭が終わって、私は屋敷の自室で過ごしている。

 学院祭終了後は何日か休日が用意されていたんだけど、学院祭初日に発生した乱闘騒ぎの件で学院が色々と対応に追われているという事で休日が増えた。


 怪我人が多く出てしまった以上学院だけで済まされる問題ではなく、国の役人等も混ざって対応しているとの事。連中の処分は学院が再開される頃には発表されるだろう。


 それはそうと、ついさっきセリアから密書が届いた。

 初めて密書が届いた時は密書のやりとりに否定的だった私も、なんだかんだでずっと密書上でセリアとおしゃべりしている。

 セリアは自分の仕事の事とか、グレイシアの文化的な事とか、たまに秘密裏に行われたアストラントとグレイシアの極秘交渉の内容とか書いている時がある。

 おかげでアストラントとグレイシア両国の機密情報が私に筒抜けになっている。そんな極秘情報満載のセリアからの密書を私は今日も開く。


[やほ~い。そろそろ学院祭終わった頃だよね?どうだった?また放置プレイされた?されてたらウケるんですけど~。]


 私は学院祭開催が決定した辺りに、セリアに開催を伝えていた。誘ってはないけど。

 私が学院会でしょっちゅう放置されている事も言ってあった。だからこそ彼女はこんな事書いてるんだけど…。

 本来なら内容的にイラッとくるものだけど、乱闘騒ぎが起きてそれどころではなくなってしまっていたためツッコめない。


[ところでここからめっちゃ真面目な話になるんだけど、前にアイラに借金問題の事話したのは覚えてる?]


 セリアが私に教えた借金問題とは、実はアストラントの国家機密の一つ。グレイシアと仲の悪いアストラントだが、実はグレイシアに対して巨額の借金をしている。この事はアストラント政府のごく一部の者しか知らない。使用用途は不明。

 そしてグレイシアは何度も極秘会合を開き、借金返済を催促しているとの事。でもセリアがまたこの話を振ってきたという事は、何か進展があったのかな?


[未だにお金返す様子がなくてさ~、こっちもいい加減キレそうなんだよねぇ]


 止めて。キレないで。キレたら戦争になっちゃうじゃん。


[で、実は昨日また極秘会合が行われてね、私も参加したんだけど~、始まっていきなり、


『女王陛下が欲しがっていました、アイラ・リースタイン嬢を代わりにお渡し致します』


 て役人が言ったんだよね…。アイラ、これに関してなんか聞いてる?]


「………はああぁぁぁぁぁ!!??」


 思いもしなかった内容に私は驚愕した。


「いやいや!何も聞いてないんですけど~!?全くもって知らないんだけど~!?」


 一体いつからそんな事が決まっていた?しかも何故本人である私に話が無い?いくら機密でも全く話が来ないのはおかしい。


[とりあえずアイラに確認とらないと~って思って、返事は保留しといたから~]


 あぁ、返答はしてないのか。もしオッケーしてたら私倒れてたわ。








 しばらくして自室にやってきたシャロルに密書を見せる。彼女も驚いた表情を浮かべていた。


「この内容が事実であれば、国は借金隠しをしている事になります。ましてやその返済材料としてお嬢様を利用しようなど断じて許せません!国へ抗議しましょう!」

「落ち着きなさいよ。国は私とセリアが密書をしている事を知らないわ。少し国の動きを見ましょう。声を上げるのはそれからよ」

「……はい、かしこまりました…。あの、お嬢様はどうお考えですか?」

「なにが?」

「グレイシアへ行くかどうか…」

「悪い話じゃないとは思っているわ。卒業後は国を超えてセリアに会いに行くのも良いかなって思ってるくらいだし。前世でセリアと過ごせなかった分を過ごしたいしね。家族や友達との別れが寂しいけどね」

「そうですか…」


 シャロルが私に問いかける表情は、なんだか普段よりも真剣に見えた。

 もしかしたら、私がもしグレイシアへ行く事になった場合の自身の動きを考えているのかもしれない。


 セリアには学院祭での出来事と、機密情報提供の感謝、少し国の動きを見てみると手紙に書いて、密書でおなじみ密書カラスに頼んで送ってもらった。


「この借金問題、王子殿下は知ってるのかな?」

「可能性は高いですね。まだ学生と言えど次期国王なわけですから」


 ……なんか落ち着いて生活する事が出来なくなりそう。私学院始まったら王子殿下にどう接したら良いんだろう?







 そんな状況の中でも時は経って行き、衝撃の密書から二日後。私のもとにお客さんがやってきた。その客とはノワール。しかし明らかに元気がない。むしろ暗いし、顔色も悪いし、疲労が窺える。


「事前に話もなく突然の訪問、お許しください」

「別に良いよ。それよりもどうしたの?顔色悪いよ?」

「アイラ様にご報告したい事がございます」

「報告?」


 ノワールは私の心配を無視して強引に話を進めてきた。というよりまるで思考が働いてない様子。

 彼女は険しい表情で私を見る。その目には、涙が浮かんでいた。………なんか、すごく嫌な予感。











「昨晩、レイリーお姉様が……、亡くなりました」

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