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異世界で最強 ~転生と神の力~  作者: 富岡大二郎
第三章 学院生活 二年目
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とある三人それぞれ

視点がアイラから外れます。

 アイラが乱闘を鎮圧した学院祭初日の夜。

 シャロル、ノワール、シャルロッテがそれぞれ今日の事を振り返っていた。


*************************************


 今日は私がアイラお嬢様にお仕えしてから初めての光景を見た。それはお嬢様が人を殴り飛ばす様。


 これまでもお嬢様が悪者を撃退する場面は見てきた。しかし今回は度が違う。あそこまで苛烈なお嬢様は見たことがなかった。物陰から隠れて見ていた私ですら恐怖を覚える程の光景だった。

 ここまでお嬢様が人を恐怖に落とし込むとは思いもしなかった。やられた者は間違いなく身体のみならず精神へも影響する。


 しかしあれだけの戦闘をしておきながら、お嬢様は至って冷静だった。冷静でなければ私に撤退指示など出せるはずがない。

 それだけお嬢様の心は余裕があった。本気ではなかったという事だ。

 もしこれが本気でやっていたらと思うと恐ろしい。けど同時に誇らしくも感じた。


 お嬢様は神の使いだ。ならばこの先もっと規模の大きい戦いが待っているだろう。そしてお嬢様自身もさらに力を付けるはずだ。とすれば、今回の事などまだ序章ですらない。

 もしかしたら今回の事は、お嬢様にとっては準備運動程度だったのかも。

 私もゆっくりしてられない。お嬢様のお傍にいられるよう、さらに研鑽を積まなくては。


(なにがあろうと、この先は私がお守りします。そのために強くなります。どこまでもお供致します。ですからお嬢様。どうか安心して高みに登りくださいまし)




*************************************


 アイラ様を尾行して捕縛された時、私は少しだけ『この人を本気で怒らせたら相当恐いんだろうな』なんて思っていた。だからこそシャルロッテにも忠告しかけた。

 そしてその一部を、今日見てしまった。実際のアイラ様の行動を見たわけではない。けどあの光景はまだ頭に付いたままだ。


 特殊調査部から警備部がいない報告を受け、学院会室へ戻った時は、そこまで大事には考えてはいなかった。

 しかし大怪我を負った警備部を見て、初めて大事である事に気が付いた。そしてその直後、アイラ様はお一人で走り去っていった。


 慌てて庭へ向かう際、撤退途中だった警備部員からアイラ様が一人で大勢の不良達の相手をしていると聞いた時は生きた心地がしなかった。アイラ様が危ない。そう思っていた。

 でもそんな感情はあの光景を目の当たりにした瞬間吹っ飛んだ。

 庭中が血だらけ。大量の倒れている人。そしていつものように微笑んでいるアイラ様。

 最初はわけが分からなかった。何が起こっているのか理解できなかった。

 でも時間が経つごとに、アイラ様が不良達を全滅させた事が理解出来た。同時に恐怖だった。

 友人を大切にし、こんな私ですら受け入れてくださった優しい方が、怒らせた途端ここまで残虐になるのかと。

 もはや私の想像など、遥かに超えていた。

 そして何よりも驚いた事が、あれだけ人に重傷を負わせたにも関わらず、アイラ様はとてもあっさりしているという事だ。まるでこの騒ぎが眼中にないというような…。


 もし本当にアイラ様にとって今日の事が眼中にないのであれば、アイラ様は今後さらに上を走り出すかもしれない。それこそ軍隊並みや魔物の大群を相手にするのかも。そうなってしまったら、私は足手まといでしかない。そんなのは嫌だ。


(力が欲しい…。アイラ様と並んで戦える力が。でないと置いて行かれてしまう。何か、何か自分に出来る戦闘法はないだろうか?探さなきゃ。アイラ様に認めてもらえる力を!)




*************************************


 あれだけ頼りがいのあった先輩に対して、一瞬だけ恐怖を感じた。

 誰にでも明るく接してくれたアイラ先輩。私の態度すら気にしなかった人。

 でもノワール部長が言っていた『怒らせれば』の先がずっと気になっていた。そして今日、その先を私は知った。

 アイラ先輩を怒らせた結果をこの目でしっかりと見た。もし自分が何かの拍子でアイラ先輩を怒らせていたらと思うとゾッとした。

 不良達の中で唯一意識のあった人のあの精神状態はおかしかった。まるで恐怖と言う名の刃が突き刺さっているかのような。

 それだけの事をしたのに、アイラ先輩はいつも通りだった。あまりの普段通りな感じに、恐怖が飛んで行って笑ってしまった。

 きっとアイラ先輩は何があっても優しい人に戻るんだろう。だったら私もいつも通り接するだけ。アイラ先輩のおかげで、私は毎日が楽しいのだから。


(アイラ先輩。私は先輩がどういう風になっても変わりませんから。精進のため、これからも先輩から学ばせていただきます!)



*************************************



 アイラが接する者達の中で、特にアイラへの忠誠が強い三人。

 三人はそれぞれ改めて、アイラに付いて行くことを心に決めるのだった。

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