準備活動
私が学院祭開催を進言すると、みんなキョトンとしたまま反応しない。
「えっと、それはどんなものだい?」
ようやく反応した王子殿下が説明を求めてきた。
「学院祭とは学院生によって行われるお祭りです。学院内の各教室や外で屋台やお店を出して、学院に来られた方々をもてなすのです。
個人でもクラスでも好きな集まりでもどんな振り分けでも良いです。好きに集まってそれぞれで盛り上げるのです。また、お店ではなく劇のようなものや簡単な見世物でも良いです」
私が簡単に説明すると、みんな感心した様子で頷いていた。
「確かに全ての学院生でやれる事だし、学院に来た人を歓迎出来るね」
王子殿下は案に賛同し始める。
「それって来客者にはお店でお金って取るの?」
「方針次第にもよるけど、私は取るものと考えてるわ」
「ふむふむ。経理から言わせてもらうと、準備に費用がかかっても売り上げによってはそれが帳消しになるかも?儲けが出るのって面白そう」
ステラは客のお金を取る方法を訪ねてきて、私が返答するとどういう計算をしたか分からないけど、何故かニヤニヤしてる。……何かに目覚めたか?
「なお、準備期間が必要と思われるので、大会から少し間を開けて開催するのが良いかと」
「学院会としても武術大会からの気持ちの切り替えが必要ですからね。それには賛成ですわ」
「先生方にとっても連続で行事を行うのは酷ですからね」
武術大会と間を開けるよう追加で進言すると、ホウとティナも賛同し始めた。
会議の結果学院祭開催に反対する者はおらず、ある程度の内容を決めて王子殿下がナナカ先生とともに学院長へ報告することとなった。
出し物やお店に関しては、先生達の判断や学院生達の反応次第となるので、今回の会議では話されなかった。
後日、先生達の会議で案が容認され、学院会から学院祭の開催が発表された。
内容も同時に発表。出し物に関してはグループとその人数、やりたい内容等を明記の上、学院会へ提出してもらい、そこから審査を通過したものだけが先生達へ送られ、出し物が決定する流れとなった。
そして、学院会へ出し物希望が次々と送られてきたのだが…。
「魔法を使ってカッコイイ事がしたい、内容になってない。
学問の歴史について語りたい、誰が聞いて楽しいのよ!
三角関係の恋愛を描いたドロドロの劇をやりたい、祭りでそんなもん見せられるか!
ひたすら模擬戦したい、別の時に他でやってろ!
学院内中に巨大な迷路を作りたい、普通の移動が出来なくなるでしょうがぁ!!あああああ!!まともな希望はないのかぁ!!」
「せ、先輩落ち着いて…」
「あ、あははは…」
どいつもこいつも訳の解らない希望ばかり出してきて、私は学院会室で机を叩いてイラついていた。私を宥めているのはシャル。苦笑いはノワール。
二人は私と一緒に希望の確認をしていた。他の学院会幹部はみんな個人的に用事があるらしく、既に下校した。
「あ、こういうのなら良さそうですよ?」
ノワールが良さそうな希望を発見したようで、何枚か私に見せてきた。
「どれどれ…、教室でお洒落な喫茶店をやりたい、屋台を出して食べ歩きが出来る物を作って売りたい、喜劇をやりたい。そう!こういうのよ!こういうの!これ採用!」
こんな感じで交替しながら毎日希望を受け付け、学院会の審査を通過したものが発表された。これから先生達で会議を行い、判断をしていく。
ボツにした案を提示していた一部の学院生がクレームを言いながら学院会室へ来ていたんだけど、ティナが圧のある笑みを向けるとクレーマー達は一斉にいなくなった。ティナの学院内最強伝説…。
そのクレームとは別に、学院会に脅迫文が届いた。
案をボツにされた者の犯行と予想され、ノワール率いる特殊調査部がすぐに捜査に乗り出した。
聞き込みや挙動の怪しい人物の目撃証言等で得られた情報から推測や調査の結果、すぐに犯人が特定されてレイジ率いる警備部によって捕縛された。
犯人は一学年の男子学院生。シャルのクラスメイトだった。彼の荷物からは送られてきた物とは違う脅迫文が発見され、物的証拠も揃った。
本人は犯行は認めたものの反省する様子なし。それどころか学院会を批判し、あげくの果てに馬鹿にしてきた。目の前に王子殿下がいるのによく言えるよね。
彼の態度に誰よりも早くキレたのが私。私は彼の胸ぐらを掴み、殺気を放ちながら睨みつけると、態度を一変させて泣きながら謝罪してきた。
私が胸ぐらを掴んでから彼が泣くまで僅か10秒。早すぎでしょ。
その後彼の身柄は先生へ引き渡され、後日ナナカ先生から聞いた話によると、反省はしているが犯行に計画性が見られるということで半年程度の停学処分が決まったそうだ。
彼はもともと学院会の存在を良く思っていなかったらしい。何故かは不明とのこと。
事件も解決して少しずつ話が進んで行き、そしていよいよ武術大会開催当日を迎えた。




