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異世界で最強 ~転生と神の力~  作者: 富岡大二郎
第三章 学院生活 二年目
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ヘルモルト家の実態

視点がアイラに戻ります。

 シャルと出会ってから一週間が経った。

 シャルは私の補佐になる事を承諾してくれて以降、学院会に関する行動の時はずっと私の傍に付いてくれている。補佐になる事を承諾してくれた時は、嬉しくて思わず抱きついてしまった。

 でもそこから先は私もシャルも暇を持て余している状態。みんな思った以上に聞きに来ないので、アドバイスのしようがない。

 ここ数日学院会の時は、いつものメンバーとの会話がどんどん減ってきている。こういう時シャルと出会って良かったと思う。出会ってなかったら私確実に孤独だよ?



 というわけで、学院会の事放置してシャルとお話しています。



 とは言ってもサボっているわけではない。

 各部署や会長あたりがどういう行動しているか等の情報をシャルと二人で共有して、おかしいと思う点やその他改善点をシャルと話し合っていたりする。第三者委員会みたいな?二人だけだけど。


 それでも内容的に時間が余り、結局暇になってしまう。


「にしても、やる事無さすぎません?先輩」

「そうね~。これは私も予想外なのよね…」

「もう特別顧問の権限で自ら突っ込んで行ってガンガン意見だしてはどうでしょう?」

「それは何だか感じ悪いって言うか…」


 だいぶ時間も経ち、そろそろ帰ろうかと思い始めた頃、ノワールがやってきた。


「アイラ様。シャルロッテさんとお話し中すいません。少しお話したい事がありまして」

「学院会の事?」

「いえ、別件です。申し訳ないのですが、アイラ様と二人きりで」


 どうやら他の人には聞かれたくない話らしく、シャルとは今日は別れ、人がいなさそうな場所へ移動した。






「お話というのは、お姉様の事なのです」


 場所を変えてノワールが切り出した話は、ノワールのお姉さん、レイリー嬢の事らしい。監獄から出てきて病気でそんなに長くないって聞いてたけど、また何かあったのかな?


「レイリーお姉様が、アイラ様にお会いしたいと言ってきまして」

「私に?」

「はい。なので近いうちにヘルモルト邸にお招きしたいのですが、大丈夫でしょうか?」


 レイリー嬢が私に会いたいってどういう事だろう?

 多分ノワールから私の事は聞かされているとは思うけど、面会を希望する理由が分からない。でも断るのも失礼か。


「分かったわ。予定を調整しておく。行けそうな日が分かったら教えるわ」

「ありがとうございます。お姉様にも伝えておきます」






 学院の休日。私はヘルモルト邸へと向かった。

 到着するとノワールが自ら出迎えてくれた。本来、子息や令嬢が自ら出迎える事は基本的にありえない。例外として客が自分より身分が相当上の場合のみ。王族とか。

 なのでノワールが自ら、ましてや身分が下である私を出迎えるなど異例中の異例ね。


 屋敷に入り、ノワールに案内される。

 本来、客は客間か庭へ通されるのが貴族の中では一般的。しかしノワールが案内したのは、レイリー嬢の自室だった。


(まぁ、寝たきりって聞いてたし、不思議ではないか…)


「アイラ様。お姉様はアイラ様と二人きりでの会話を望まれております。私は扉の近くで待機していますので」

「え、ええ。分かったわ」


 レイリー嬢が私と二人きりで話したいのは理解出来たけど、ノワールが扉の近くで待機とか、まるでメイドか兵士じゃない。…令嬢だよね?ノワールって。

 そういえばノワールが出迎えてくれた時も使用人の一人も来なかった。ていうかさっきから使用人や兵士らしき人を見ない。どうなってんの?ここのシステム。


「失礼します」

「はい、どうぞ」


 ノックして声をかけると入室許可の声が聞こえたので部屋に入る。

 部屋にはベッドに座る女性が一人だけ。ノワールよりも少し短めの金髪の美しい女性。でも弱々しいというか、今にも消えてしまいそうな程の儚さを感じた。


「お初にお目にかかります。リースタイン子爵家令嬢、アイラ・リースタインと申します」

「ヘルモルト伯爵家令嬢で長女のレイリー・ヘルモルトと申します。このような姿でごめんなさい。それと、妹がお世話になってます」


 私は軽く返事をして、ベッドのとなりの椅子に座る。


「妹からは日頃からよく話を聞いています。妹があなたの事を付け回ったとか。大変ご迷惑をお掛けしました」

「いいえ!それがきっかけで知り合ったようなものですから。気にしていません」

「そう言っていただけると少し気が楽になります。ノワールは最近周囲の方々と少しずつ話すようになったようで、本人いわくあなたのおかげだと言っていました。あんな変わり者の事を気にかけて下さってありがとうございます。姉として感謝致します」


 さっきから謝罪されたりお礼言われたりしてばかり。やりにくい。てかレイリー嬢めっちゃ腰低いな。


「ではここからが本題なのですが、アイラ嬢はここに来た時にノワールが出迎えた事と使用人を見かけないという不自然さには気付きましたか?」

「はい。不思議には思っていましたが…」

「私とノワールの両親、そして跡継ぎである兄は自分の私腹を肥やすために、必要であるはずの部分の経費を無くして、自分の懐に入れているのです。

 そのためこの屋敷には少数の兵士と使用人しかおりません。働いている者は皆疲労困憊です」

「そ、そんな状態なのですか?」

「ええ、まさに壊滅寸前と言ったところでしょうか。そして両親も兄も私やノワールの事を放ったらかしにしています。私とノワールは今の状態に反発していて、自分で言うのも変ですが、家族仲は最悪です」


 言葉が出ない。貴族でなくてもあってはならない家族環境だ。レイリー嬢やノワールが幼い頃からこの環境ならば、完全に育児放棄にあたる。


「妹から話は聞いているとは思いますが、私は重い病にかかってしまって、もうそんなに長く生きられません。それで、アイラ様にお願いがあるのです」

「お願い、ですか?」

「今の家族環境の状態で私がいなくなれば、ノワールは孤独になってしまいます。ですから、アイラ嬢。あの子がいずれ自分自身で幸せな環境を掴みとる時まで、あの子の傍にいてあげてほしいのです。心の拠り所になり続けてほしいのです。

 常にとは言いません。でも出来る限りあの子の傍にいてあげてくださいませんか?勝手な事を言っているのは承知の上です。ですがどうか、お願いします!」


 レイリー嬢は私の手を握り締めて頭を下げてきた。表情からは必死さが窺える。

 ヘルモルト家の家族事情を聞く限り、確かにレイリー嬢がいなくなってしまえばノワールは孤立する。その状態はノワールにとってもキツイだろう。

 レイリー嬢は自分の残された命の時間よりも、妹の事を思い続けてきたんだろう。姉として立派だと思う。きっとノワールから私の話を聞き続けて、私にお願いしてきたんだろうな。

 急なお願いではあるけど、私の返答は既に決まっている。


「ノワール様は私にとって大切な友人の一人です。見放すはずがありません。

 レイリー嬢の願い、お引き受け致します。どうかお任せください!」

「ありがとうございます……ありがとう…」


 レイリー嬢は安堵の表情とともに半泣きになっていた。ノワールが孤独になる事を何よりも恐れていたんだろう。本当、妹想いね。

 それはそうと、私は一つ疑問がある。


「私から一つ、お伺いしても良いでしょうか?」

「ええ、どうぞ」

「どうして投獄されていたのですか?」

「あはは…、その事ですか…。表向きは器物破損です。本当は父が所有していた花瓶をうっかり割ってしまって、父に無理やり牢屋に入れられました」

「なっ……!」

「情けない話です。なんとも」

「それ権力の横暴じゃないですか!しかも家族に対して!それも花瓶を割っただけで何年も!おかしすぎます!理不尽にも程があります!

 何故王家や他の貴族に訴えなかったのです!ノワール様を通じてでも出来たはずです!」

「あえて何もしませんでした。私が抵抗すればノワールに危険が及ぶ可能性がありましたので」

「そんな時まで…、妹さんの事を…。ノワール様はその事はご存じなのですか?」

「今は知らないと思いますが、じきに勘付くと思います。あの子、勘が鋭いので」

「……」

「この話はここまでにしましょう。私はもうすぐ散りゆく運命。私の事などどうでも良いのです。

 でもノワールには未来があります。しかし私は一緒にいてあげられません。

 ですからどうか、あの子の事をよろしくお願い致します。ノワールを今の環境から助け出してあげてください」

「レイリー様…」

「それと、ここでの会話は他言無用でお願いします。万が一両親に知られるとマズイので」

「…解りました。お約束します。それとせめてもう少しだけ、ご自分を大切になさってください。でないと逆にノワール様が心配し過ぎてしまいますよ?」

「あはは…、痛いところを突きますね。でもそうですね。自分なりに残りの時間を楽しみたいと思います」

「ええ、そうしてください。お大事に」

「ありがとうございました。アイラ嬢、あなたに心から感謝致します」






 こうして会話を終えた私は部屋を出た。

 その後ノワールと少しだけ雑談をして、リースタイン邸へと帰った。


「お嬢様、ヘルモルト邸を出てから表情が暗いですね?何かありましたか?」

「何かあったわけじゃないんだけどね。レイリー嬢と話した内容がね…。他言無用って言われたから言えないけど…、笑えないのよね、本当に」

「そうですか…」


 私の自室でいつもの仕事をこなすシャロルは私の暗さに気付いていたみたいだけど、あまり突っ込んではこなかった。多分聞くべきではないと判断してくれたんだろう。


(でも本当に笑えない。残酷すぎる。悲しすぎる。もしいつかチャンスがあったら、姉妹の代わりに私が伯爵と夫人と兄を懲らしめてやろう。

 行いの酷さを世間に知らしめて、その後に神力全開でぶん殴ってやる!)


 私は心の中でそう決意して、闘志に燃えるのだった。

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