学院会発足
学院会創設メンバーの決定から五日後。学院で使用されていなかった部屋を学院会室にする事が決まった。
そして同じ日。講堂には学院会創設メンバーが集まっている。さらには私達と同級生である、二学年の学院生20人程が講堂へと集まっていた。
書記となったイルマとエルマのように、先生から話を聞いて興味を持ってくれた者達が学院会に入ってくれた。
新しい役員達を各部署に振って、三度目の会議が開始された。
「僕は学院会会長のリベルト・アストラントだ。どうぞよろしく」
「副会長のホウ・テミナガと申しますわ」
初めに王子殿下とホウが名乗る。この二人は学院会初代会長と副会長としてその名を学院の歴史に刻むこととなる。それは他の創設メンバーもそうだけど。
私はおそらく立場的に刻まれないだろう。特別顧問とか特例すぎるし、いずれ私が言いだしっぺだなんて忘れ去られるだろうし。
こうして会議をしている今も幹部役員は前に立ち、他の役員は前の方の座席に座っている中、私は出入口近くの座席で一人みんなの事を眺めている。私が前に出ちゃったら今までの会議みたいにまた私が決める事になりそうで、目立たないようにしている。
(私は特別顧問なんだから、聞かれた時だけ答えれば良いだけ。それ以外は口出しするつもりはない。ぶっちゃけ楽じゃん。私)
なんて考えているうちに会議が終わっていた。今回の会議で決まった事は、なんと『一学年も引き込んださらなる役員の増加』という事だけだった。お~い、存在意義ハッキリさせないと人集まんないぞー?
それから三日後。講堂には全学年の学院生が集まっていた。
檀上の中心には王子殿下が、傍には護衛のリィンとティナとホウが立っている。他の学院会幹部も然り。
今日は学院会の発足宣言と役員の募集、具体的な活動内容の発表が行われる。
前回の会議終了後、解散直前にみんなを呼び止めて、存在意義の説明と活動内容の発表をするよう進言しておいた。『学院会発足します。役員募集します』だけじゃみんなポカーンってしちゃうじゃん。
ちなみに私は今、壇上の脇にいる。つまり他の学院生からは私は見えない。いつものメンバーから王子殿下の近くにと言われたけど、断固拒否した。この期に及んで目立つ事を嫌がる私。
やけくそで開き直ったとは言っても、やっぱりこういう時の視線は嫌。
「今この時を以って、ここに集いし仲間とともに、サブエル学院学院会の発足を宣言する」
会長である王子殿下から発足宣言がされた。
次に副会長であるホウから学院会の必要性、活動の説明、さらなる役員の募集が発表された。
ちなみにホウが読んでいる原稿はティナが用意したもの。本当はホウが用意していたのだけれど、それは二時間前…。
「ホウ?なんですか、この内容は」
「いや、こうした方が皆さんに解りやすいかと思いまして。我ながら傑作ですわ~」
「これのどこが傑作ですか?ど~こ~が~!こんな内容言わせるわけにいきません!今すぐ書き直してください!」
「良いではありませんか~?あ、なるほど。暴力的で脳筋なティナさんにはこの文章の素晴らしさが分からないのですわね~。オホホホぎゃあぁぁぁぁぁ!!」
というわけでティナがホウをフルボッコにした後、ティナがホウに無理やり書かせたのが今の原稿。
一体ホウがどんな事を書いたのか気になったけど、それを見ようとしたらティナに圧のある笑顔で止められたので止めておいた。
その後、ティナの指示でホウが書いた原稿はニコルの魔法で焼却処分された。ホント、ホウは何を書いたんだろう?




