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異世界で最強 ~転生と神の力~  作者: 富岡大二郎
第三章 学院生活 二年目
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小さな会議

 後日、私は先生達の前で学院会に関する説明を行った。

 先生達から反対意見等は特に出ず、その後の職員会議で学院会の設立が決定された。


 今までにない新たな試みである事。

 学院生の積極性と経験値の向上が見込まれる事。

 職員の負担軽減。

 内部危機管理の解決。

 王子殿下が賛同している。


 というのが設立決定の理由だそう。ナナカ先生が教えてくれた。こういう時、王子殿下と友達で良かったって思う。


 翌日。全学年の各クラスで先生達が学院会に関する説明を行った。

 頭パンク状態だったいつものメンバーも理解出来ていた王子殿下が説明を重ねてくれたおかげで何とか理解に至ってくれた。

 しかし、私はここで一つのミスに気が付いた。私は先生やみんなに自分が発案者である事を隠しておくよう言っておくことを忘れてしまっていたため、あっという間に私が発案者であることが広まってしまい、私は武術大会以来再び注目の的になってしまった。

 学院生の間では「才色兼備で武術最強の天才令嬢が再び動き始めた」と言われているそうな。嬉しいような…、恥ずかしいような…。


(あぁ~…、視線が再び痛い…。目立たないように過ごす事すっかり忘れてた…。

 ええ~い!こうなったらとことん目立ってやるわ!私が言いだしっぺだし、もう何でも良いや!)


 というわけでやけくそで開き直った私を中心に少人数で会議が行われた。会議メンバーは私、王子殿下、ティナ、ホウ、ナナカ先生の五人。

 私は言いだしっぺで、王子殿下は学院生の中で最も立場が上。

 ティナとホウは貴族令嬢として影響力が大きい。

 そしてこのメンバー全員の担任であるナナカ先生。学院会の原型を作る上で、これほど相応しいメンバーはいない。

 他のいつものメンバーは不参加で、先に帰宅した。

 王子殿下の護衛であるリィンは参加しても分からないからと庭で昼寝してる。ホントあいつは王子の護衛という自覚はあんのか?


 会議が始まり、まずは学院会の幹部を決めなくてはいけない。が、今回初めての試みという事で立候補制の選挙は無し。話し合いによって決められる事になった。


「それでアイラちゃん。どうやって役職決める?」

「選挙が行えない以上、誰かが誰かに頼むしかないんですが…」

「私は発案者であるアイラが決めれば良いと思いますよ」

「わたくしもですわ。アイラさんなら意見はありませんわ」

「先生方が決めるより、発案者である君が決めた方がみんなも納得すると思うよ」


 先生の問いに私は戸惑うけど、ティナとホウと王子殿下が私が決める事を提案してきた。


(え~?私が勝手に決めて良いの~?どうしよっかな~)


 ただ会長は適任がいると思ってる。


「私が決めても良いなら、まず会長は王子殿下がお願いします」

「「「「え?」」」」

「え?」


 私が王子殿下に会長をお願いすると、四人が揃って「何言ってんの?」みたいな表情をしてきた。


「えっと…、僕がかい?会長職はてっきりアイラがやるものだと思っていたのだけれど…」

「私もそう思っていました」

「発案者なのですから、当然アイラさんが会長をやるものかと…」

「私もアイラちゃんが会長になるって思ってた」


 どうやらみんな言いだしっぺである私が会長になると思っていたらしい。確かにそう思うのも不思議ではないよね。


「確かに発案者は私ですから、そう思うのも当然かと思います。ですが、私が会長になるよりは王子殿下の方が相応しいと思っています。

 王子殿下はいずれ国王となられます。この国の頂点となるのです。そんな方を抑え、私が会長の座に就くのは抵抗があります。

 それに殿下が会長職に就けば国政に関わる前の練習にもなるかと思いますし、うまくいけば殿下ご自身の実績にも繋がります」


 私は会長に王子殿下を推した理由を言って、実績に繋がるという言葉で釣る。


「なるほど。僕の将来を考えてくれていたんだね。ありがとう。これでは断る事は出来ないね。アイラの言う通り、会長の座に就かせてもらうよ」

「殿下が納得したのであれば異議はありません」

「同じくですわ」

「じゃあ学院会初代会長はリベルト王子殿下で決定だね!」


 これで会長は王子殿下になった。さて次は…。


「会長の補佐兼代行と副会長の座をティナとホウにどっちかやってほしいんだけど」

「「「「え?」」」」

「え?」


 さっきと全く同じ反応が返ってきた。なんで?


「両方とは言わなくとも、どちらかは君がやるのではないのかい?」

「私も殿下と同意見です」

「わたくしも同じ意見ですわ」

「そうだよね。さすがにここは発案者がいないと…」


 え~、ダメ~?ここはまた理由を言ってみよう~。


「ティナとホウは貴族界の中でも特に影響力が大きい家の令嬢です。さらには王子殿下の婚約者候補として殿下と親しい間柄でもあります。

 ましてや幼馴染として長いこと殿下と関わり続けているのですから、的確な連携も可能でしょう。この先どちらかが婚約しても、殿下とは関わっていくかと思います。その点を考えれば二人以上の適任はいないかと」


 私が理由を述べると、みんな納得した様子だった。


「アイラって人を見る目が良いよね」

「人の過去だけでなく将来性まで見るとは…。感服しました」

「わたくし、アイラさんを尊敬致しますわ」

「アイラちゃんって説得上手いよね」


 なんかみんな感心してるんだけど…、別に大したこと言ってないよ?ていうかみんなチョロすぎない?


 結局、会長補佐兼代行をティナ。副会長をホウが務めることになった。


「ホウ。先に言っておきますが、副会長の座を利用して不正などしないように」

「しししししませんわよ!そそそそそんなこと!」


 ティナは注意喚起をしただけなのにホウはめっちゃ取り乱してる。絶対何か不正企ててたな…。


 次に決めるのが、会議内容等を記録する『書記』を二人。

 それから、予算の見積をする『経理部』

 警備を担当する『警備部』

 活動資料を履歴として保存、管理する『資料管理部』

 学院内で問題が発生した場合に、その原因や真相を調査する『特殊調査部』

 これら各部署の部長を決めなくてはいけない。

 当初は広報の部署を作ろうとしたけど、広報は全員でやることで決まった。


 しかしここから会議が難航。結局明日以降また話し合う事になり、今回の会議は終了となった。すると直後に王子殿下が私に質問してきた。


「アイラは結局、どこの役職に就きたいんだい?」

「う~ん…、実は考えてないんですよね…」

「ねぇ、思ったんだけど、特別顧問の座を設けてそこにアイラちゃんが就いたら?」

「「「「特別顧問?」」」」


 王子殿下の質問に私が考え込むと、ナナカ先生が新たな役職を提案してきた。


「うん。自由に動いて末端から会長まで誰にでも意見出来る立場。そんなのがあっても良いかなって思ったんだけど…。

 学院会は初めての試みだし、みんな手さぐりの中でも発案したアイラちゃんなら助言出来るでしょ」


 いや先生。言わんとしてる事は解るけど、それじゃ私学院会の裏女王になっちゃうよ?


「僕は先生の案に賛成かな」

「アイラにピッタリな役職ですね」

「先生、冴えていますわね」

「えへへへ~」


 みんな賛成しちゃったよ。断れる雰囲気じゃないな、これ。

 まぁ、やりたい役職があったわけじゃないし、何もやらないのも言いだしっぺとして悪いし、別にいっか。

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