発案
二学年として学院生活が再開された翌日。偶然、新入生が学院内を案内されているところを見かけた。
新入生は在学生より一日遅れで学院生活が始まるらしい。去年の私もそうだったらしいんだけど、全く知らなかったし、気付かなかった。
新入生が案内されている姿を見ていて私はふと思った。
この学院、先輩後輩の付き合いや関わり合いがほとんどない。学年ごとで、または全学院生で行う行事もない。
……思えば武術大会以外、行事無くね?これは良くないぞ!もっとイベントが欲し~い!
そう思った私は、放課後に王子殿下に相談してみようかと思ったら、その放課後に王子殿下が私を含めたいつものメンバーを招集してきた。
昨日、王子殿下とリィンとティナとホウが学院長室へ呼ばれていたけど、どうやら学院長から話があったらしく、その相談らしい。
「昨日学院長と話したのだけれど、アイラは去年の武術大会での爆弾を所持した学院生がいたのは覚えているね?」
「はい。もちろん」
「あの件はアイラのおかげで早期解決ができた。あの件をきっかけに、職員の方々から学院長に危機管理の見直しの声が上がったらしいんだよ。長期化してしまったらマズイってね。
それで、外部脅威からの対策は変えようがないから今まで通りとなったらしいんだけれど、内部脅威からの対策、つまり去年のあの件のような学院生による犯行への対策が全く決まらないらしくてね。どれだけ会議を重ねても一切誰からも意見や発案が出なかったらしいんだ。
それで僕や一緒にいる三人に意見が欲しいと相談してきたんだよ」
殿下の言う事を要略すると、学院生や職員が万が一暴走した場合の対応策が何一つ浮かばず、行き詰ったあげく王子殿下やそのお付き三人に相談してきたと。
確かに職員目線では分からない事が、学院生目線で分かる事もある。そう考えれば、王子殿下という学院生であり超権力を持った人物に相談するのも間違いではない。
私は王子殿下の話を聞いているうちに、ひとつの案が浮かんでいた。これをうまく利用すれば、行事が作れるかも。
「相談を受けても僕じゃ何も浮かばなくてね。みんな何か案がないかなって思ったんだけど…。……何かないかな?」
「俺、難しくてワカンネ~」
「私は浮かびませんでした」
「同じくですわ~」
「それで私達にも相談ですか…。と言われましても…」
「そんな簡単に浮かばないわよ。そんなの」
「難しい話だな…」
昨日相談された王子殿下とリィン、ティナとホウはお手上げ状態。
今相談されたニコル、ステラ、レイジも難しい表情をしている。
私は頭の中でサクサク計算中。
(あれを発足させればそれを主体に独自の警備体制を作れて~、それでお悩み解決。そんで新しい行事を組み立てる事も出来て~、それがうまく進めば~、あれもこれも~)
「アイラさん!ちょっとアイラさん!!」
「え?あ、ゴメン。考え事してた」
「どうしたんだい?らしくないね。何か悩み事かい?」
完全に自分の世界に入っていた私は呼ばれていることに気付かず、ホウに揺さぶられて気付いた。
王子殿下が何か悩み事かと心配してくれている。
「いえ、殿下。悩んでいるわけではなく、ちょっと案が浮かびまして、それを考えていました」
「案があるのかい!?それは一体どんな事だい?」
「私も聞きたーい!」
「「「「「「「「ナナカ先生!?」」」」」」」」
誤解を解いて案が浮かんだと言ったら、王子殿下が軽く迫ってきた。
と思ったらいつの間にかナナカ先生が一緒にいて、自分も聞くと挙手してきた。
ていうか、先生はいつからいたわけ?全員ビックリだよ。
聞きたいっていうそぶりが非常に子供っぽい。
全員が私を見る中、私は浮かんでいた案を発表した。
「えっと…。では、学院の内部危機管理対策および今後の学院生の学院生活向上のために、『学院会』の発足を進言致します」




