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異世界で最強 ~転生と神の力~  作者: 富岡大二郎
第三章 学院生活 二年目
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二学年開始

 天神界から戻って目が覚めると、既に朝になっていた。

 一時的に過呼吸になっていたはずなのに身体は汗すらかいてないし、全くもって正常だ。なんか不思議。


 しばらくしていつものように自室へやって来たシャロルに、不思議な感覚の正体が神気というものであった事と神様との会話内容を伝える。


「まさか感じていたものが神力に関わる事とは…。これは今後、生活面に支障が出てくる可能性が…」

「そうなのよね~…。どうしたら良いものか~…」

「見惚れられる場合と恐れられる場合で、対応の仕方が変わってきますね」

「どっちにしても適当にその場の対応をするしかないかしら?」

「そうですね。今はそれが一番確かかと」


 この日も両親や使用人や兵士は気付く様子はなかった。まぁ、まだ微量だしね。ただ学院が始まったら、一部の人が感じ取りそうな予感がする。

 あ~…、学院が始まるのが不安…。







 準備休暇が終わり、学院が再開された。

 私は二学年へと進級した。教室は二学年の教室へと移動。クラスは一学年時同様、エルス。

 クラスメイトは三人だけマルスと入れ替わったけど、私と多く接していたいつものメンバーは全員二学年でも一緒。担任も一学年時同様ナナカ先生が担当する。


「みんなまた同じクラスで良かったよ。問題なく学院に来れてるし、変わった事もなかったかな?」

「ええ、殿下。今までと変わりません」

「わたくし…、ティナに貯金を没収されましたわ…」

「俺はなんともないな」

「私も特に変わった事はありませんでした」

「私は予定通り里帰りしたけど、お姉ちゃんは帰ってなかった…」

「……」


 王子殿下はまたみんなといられる事が嬉しいらしい。今までと変わらず、ニコニコ顔で王子オーラを出している。

 ティナは変わりないとは言ってるけど、なんでホウの貯金没収したの?そしてホウはまた何をやらかしたわけ?

 リィン、ニコルは今まで通り。特に何もなかったらしい。

 ステラはお姉さんが未だ帰って来ていない事が寂しいようだ。

 なお、ステラのお姉さんが行方不明である事は、私に話した後にステラ自身が周囲に話しているため、全員知っている。

 そしてレイジなのだけど、彼は黙ったままでいる。私は気になって声をかける。


「レイジ、どうかしたの?何かあった?」

「うん…。何かあったってわけじゃないんだけどさ。里帰りして知ったんだけど、よく一緒に鍛錬してた幼馴染が街から出て行ったみたいでな。俺、会う気満々だったし、模擬戦とかやるつもりでいたんだけど…。その…、いなくなってたのがちょっとショックだなって思って考えてた」

「なんでいなくなったの?家出?冒険?」

「聞いた話だと、俺や幼馴染に剣術教えてくれた師範と揉めたらしい。かなりの大喧嘩だったみたいだ。その翌日にはいなくなってて、置手紙だけが残されてたらしい」

「どうしてそんなに揉めたんだい?」

「師範が新人の門下生にきつくあたったみたいで、その指導方法に幼馴染が異議を唱えて、そこから喧嘩になったみたいなんだ。あいつが誰かに意見するなんて事、今までなかったのに…」

「その方がどこへ行かれたか、誰かご存じなのですか?」

「いや、置手紙には行先は書いてなかったそうだ。何も手がかりもないらしい。あいつ孤児で親族が誰もいないから見当もつかないし、心配なんだよな…」


 どうやら幼馴染の事を考えていたらしい。きっとレイジにとっては大きな変化なんだろう。

 ステラ、王子殿下、ティナが質問するが、レイジの返答に元気がない。


「意見してこなかった方が急に怒るのは、おそらく黙っておけない何かがありましてよ?レイジさんから見て、故郷での営みや知り合いの方々に変わった点はありませんでしたの?」

「他の人で変わった点か…。そういえば、師範がやたら怒りっぽくなったように感じたな…。会話してる時は普通だけど、門下生がちょっと出来なかっただけでやたら大げさに怒るというか…。

 師範の奥さんとも話したけど、師範は最近物忘れが激しいって言ってたな」


 ホウの質問に、レイジは思い出したように師範が変わったと話す。……まてよ。怒りっぽくなって物忘れが激しいって…。


「ねぇ、その師範って年齢いくつ?」

「年か?えっと確か…、75歳くらいだったかな。なんで?」

「いや、なんでもないの。ちょっと気になっただけ」

「?」


 レイジが私の質問に首を傾げている。私は今の質問で、予想が確信に変わった。

 おそらくレイジの師範は『認知症』の可能性が高い。

 私も医学に詳しいわけではないので確証はないけど、やたら怒る点と物忘れが激しい点、年齢も考えると不自然ではない。タイプも様々だったと思うけど、今レイジから聞いたパターンも一例であったはず。

 しかし、この世界には認知症というものは立証されてない。そもそもボケすら認知されてない。

 つまり対処のしようがない。もし私の予想通りだとしたら、今後師範はますます怒る可能性がある。

 レイジに言おうかと思ったけど、確証が無いし認知症自体知られてないので止めておいた。


 今は幼馴染がいなくなってしまったことで元気がなくなったレイジをどうするか考えようと思ったら、ステラがレイジの肩をポンポンと軽く叩いた。


「大丈夫よ。あんたの幼馴染はどこかでうまくやってるわ。勝手だけど、私はそう思う。私のお姉ちゃんだってそう。そう思って自分が頑張れば、きっと再会出来る。私はずっとそう信じて今日までやってきた。確証はないけどね。

 立ち止まったままじゃ、いざ再会した時にガッカリされるわよ。

 だからさ、あんたも前を向きなさいよ。幼馴染に格好悪い姿見せたくないでしょ?」

「ステラ……。うん、そうだな。きっと大丈夫だ。俺もそう信じる。ありがとう」


 ステラの励ましで、レイジに笑顔が戻った。ステラもお姉さんが行方不明という事もあって、他人事ではないんだろう。

 私だって、もしシャロルが突然いなくなったらと思うと、……めっちゃ恐い。私って完全にシャロル依存症だよね。


「それで、アイラは何事もなかったかい?」

「え?」

「そうですわ。アイラさんからまだ聞いていませんわよ」

「あ、うん。別に何もなかったわよ」


 王子殿下から唐突にもとの話の質問をされて、ホウからも追及された。

 完全に油断していた私は内心めっちゃ焦ったけど、どうにか焦りが表に出ることなく返答出来た。あ~、ビックリした~!


 直後、ナナカ先生がやってきた。


「はい、みんな~。時間だから座…ケキュウ!」


 ナナカ先生は教壇に立つ前に転倒した。こんな光景が一年前もあったような…。


「イテテテ…。ウウン!引き続き、私がエルスを担当しまーす!よろしくー!」


 ナナカ先生は変わらず元気そう。幼く見えるところもドジ属性なのも変わってない。


 ホームルームを終えると、王子殿下と側近三人はナナカ先生に呼び出され、学院長室へと向かって行った。学院長から何か話があるらしい。

 その直後にニコルが前方不注意で大転倒。ステラとレイジが介抱している。この光景も去年見たな…。


 私はというと、ノワールのもとにいる。


「アイラ様、お久しゅうございます」

「うん。ノワールはお休みどうだった?そういえば、お姉さんが牢獄から帰ってきたって聞いたけど」

「はい。屋敷に戻ってはきましたが…」


 彼女の姉、レイリー嬢が屋敷へと戻った事は、お父様から聞いていた。

 私はノワールは喜んでいるものと思っていたけど、彼女から喜びは伝わってこない。


「どうかしたの?再会出来たんでしょ?」

「再会は出来ましたが、喜ぶことが出来なくなりました。帰ってきたお姉様はかなり弱っておりまして、どうやら牢獄にいる間に重い病にかかったようなのです。

 現在も寝たきりで、お医者様の診断によると、もうそんなに長くはないそうです」

「そんな!」

「今は出来る限りお姉様の傍にいようと思います。今まで通り接して心配させないように気を付けながら」

「そうね。それが良いと思うわ」


 運命って本当残酷。せっかくまた一緒に暮らせると思った矢先にこんなこと…。


「あの、質問良いですか?」


 悲しい気持ちになっていると、ノワールから質問の許可を求めてきた。


「良いわよ。遠慮せずどうぞ」

「朝お見かけした時からずっとアイラ様から不思議な感覚を感じ取っているのですが、何かありましたか?」


 うわあぁぁぁぁ!!ノワールが感じ取ってたあぁぁぁ!!この子、シャロル並みに察知能力高いな!


「…別に何ともなかったけど?」

「そうですか…。私の思い過ごしでしょうか?なんだかアイラ様が今まで以上にお美しく神々しく感じる気がするのですが…。う~ん…」


 なんとか冷静に返答出来たけど、まさかノワールが神気に気付くとは…。しかもずっと私を見続けていたシャロル以外でこんなに早く…。

 誤魔化せはしたものの、ノワールはまだ疑問視している。あ~…、ホント大変だぞ…。この神気。

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