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異世界で最強 ~転生と神の力~  作者: 富岡大二郎
第十三章 国の跡
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パンゲア宮殿と竜神殿の内部

視点がアイラに戻ります。

 翌日。出発準備が整った時点ですぐにキャンプを出発。まっすぐにパンゲア宮殿を目指した。そんで宮殿前で停止。


「いよいよパンゲア宮殿の中へ入る。内部がどうなっているのかは分からないが、万が一に魔物のような連中と戦闘になる可能性もある。全員いつでも戦闘態勢に移行できるよう構えておけ!」

<<<はっ!>>>


 宮殿の前でキリカが兵士達へ下知を送る。ホント内部はどうなってるか分かんないから、警戒はしておかないとね。私の内心はワクワクだけどね!


 宮殿の建物へ入る扉を開ける役目はダーナとオリガが務める。さっきまで誰が扉を開けるのか揉めてたんだけど、私がくじを用意して強制的に全員にくじ引きさせた。その結果ダーナとオリガになった。


「あれ?」

「んん?」


 二人は同時に左右の扉を開けようとしたけど、扉が開く様子はない。鍵でもかかってる?


「あれぇ~?開かないよ~?」

「何故だ?ぐぬぬ…」


 ダーナとオリガは力を入れて再度扉を開けようとするけど、やっぱり扉は開かない。そんな苦戦する二人を見ていて私は思った。


(二人ともずっと扉を引いてるけど、これって押す方が正解なんじゃ…)


 と思った私は二人の傍に移動し、扉を押した。そしたら簡単に扉は開いた。


「これ、引き扉じゃなくて押し扉よ。開いたし」

「……二人とも?」


 私が押し扉だった事を言うと、何故かキリカがダーナとオリガをジト目で見た。


「な、なんだよ!開け方を間違えただけだろ!」

「そ、そうだよ!別に変な事してないじゃん!」


 オリガとダーナはジト目キリカに反論。でも顔と耳が真っ赤。恥ずかしいのね。


「まあまあ、誰にでもある間違いですから」


 アンゴラさんは恥ずかしがる二人の肩をポンポンと軽く叩きながらフォローした。

 シャロルとルルと他の兵士達はみんな苦笑い。おかげで場が一気に和んだ。


 そんな和んだ空気で宮殿内へ入る。すると…。


「…え?」


 私は目の前に映る光景に呆然としてしまう。何故かというと宮殿の中はあちこちが崩壊していて、床も天井も抜け放題。宮殿だった頃の面影はほとんどない。扉を開けて入った直後である一歩目時点で既に奥には進めない。


「うわぁ…、ボロボロ…」

「これは…、酷い有様だな…」


 ダーナとオリガも目の前の状況に戸惑ってる。


「外観はあんなきれいに残ってるのに…」

「これだと簡易調査すら無理か…」


 ルルは宮殿の外観と内部を比較して酷過ぎる内部状況にテンションを下げて、アンゴラさんは腕を組みながら内部全体を見渡しつつ諦めモード。


「龍帝陛下。今回のパンゲア宮殿内部調査は中止を推奨致します。これでは強引に何らかの方法で進んだところでどこの床が抜けるのか、落ちた先に何があるのか、どこから天井や物が降って来るか分かったものではありません。危険過ぎます」

「そうね。これじゃあちょっとね…」


 キリカは宮殿の調査中止を求めてきた。私もキリカの意見に賛成。さすがにこれは無理に踏み込めない。


「……」


 みんなが諦めムードで引き返し始める中、シャロルだけ立ち止まったまま変に静か。


「シャロル?どうかしたの?」

「いえ…。先程ルルさんも言っていましたが、外観の状態と内部の状態の差に違和感を感じまして…」

「というと?」

「パンゲア宮殿の外観はそれなりに保たれています。しかし現状の外観を保ったまま内部だけが自然にここまで荒れるでしょうか?本来なら宮殿そのものが完全崩壊していてもおかしくありません。

 建物そのものが保たれる状態ということは基礎や柱はまだ大丈夫という事です。自然な流れで、そこまで基礎や柱を残して内部だけ崩落はしないと思います。それこそ意図的に何者かが壊さなければ」

「つまりこの宮殿の中には何かいる…、と?」

「はい」


 私の解釈にシャロルは頷く。そしてシャロルのこの発言によって視察団全員の表情が強張る。

 そう言われちゃうと気味悪いわよね。ただ今言える事は、魔物や何らかの生物の気配も私は何も感じていないということ。


「どちらにせよ調査は不可能。何がいようといまいと危険よ。宮殿から離れましょう」


 結局、宮殿内部には一歩程度しか入る事が出来ず、後方にいた兵士達に限っては入る事すらできなかった。宮殿前滞在時間も五分も経たず。今後この宮殿を調べるのなら、宮殿だけを調べる調査隊を編成しないと無理そうね。





 パンゲア宮殿を後にして次に向かうは竜神殿。宮殿からまっすぐ竜神殿へ移動し、何事もなくダーナが開けた外門の前まで到着した。


「……」


 竜神殿を真剣な表情で眺めるダーナ。ここに来ると普段ムードメーカーで明るいダーナが途端に静かになる。まだ竜の巫女としての不安や重圧と戦ってるのね…。

 私はダーナの隣に立つと、そっとダーナの手をとって、そのまま手を繋いだ。


「陛下?」

「この先はあなたが先導しないと進めないわ。でもあなたはまだ不安や怖さでいっぱいでしょう?だから私が一緒に並んで歩くわ。誰かと触れてる感覚があった方が、少しは気持ちが楽になるでしょう?」


 私はダーナにウィンクする。……ドヤってる私だけど、ダーナをこの状態にさせちゃったのも私だし、その辺責任を持つ意味で手を繋いだ意図もある。ダーナが精神的に病む事だけはなんとしても避けないと…。


「…ありがとうございます。少しだけ…、私に勇気をください」

「少しなんて言わずにいくらでも。じゃあ行きましょう」

「はい」


 私とダーナが歩き始めると、他のみんなも後ろから付いて来る。ダーナが好奇心いっぱいに先行せず、一緒に静かに歩くのは何だか新鮮。

 外門から中へ入った私達は竜神殿そのものの門の前に。見た目の限りは分厚そうでかなり頑丈そう。でもダーナが触れると扉自体が光って、ゴゴゴゴ…という音とともに自動で開門した。


 扉が開ききった事を確認して中へ入る。入ってまず目に映ったのは広い空間。ちょっとロビーっぽい。

 まずはこの空間を見渡そうと思った、その時…。


(…ん?)


 何か固い物が当たったような気がした。


(気のせい…?)


 と思ったらまた当たった。気になって上を見上げたら…。






 パラパラパラ…





 小石程度のサイズの何かが無数に降って来た。明らかに天井から降って来てる。






 メリメリ…





(…!)


 何かが降る音と、降って来る何かに戸惑う視察団のザワザワに紛れて、僅かに何かが崩落しかける音が聞こえた。私は直感的に嫌な予感を感じた。


「全員退避!今すぐ引き返して外に出なさい!」


 私はみんなに大声で叫び、みんなを引き返させた。でも何かが降って来てるせいもあるのかみんな浮足立っていて行動が遅い。


「…!」


 再び天井を見上げたら、天井のあちこちにヒビが走り始めていた。これは本気でマズイ。

 この天井はもうすぐ崩落する。でももう全員避難は間に合わない。私は咄嗟に思い付いた方法を実行することにした。


 私はダーナの手を離し、視察団員全員の足元に魔法陣を展開。展開直後に風魔法を起こし、全員を門から外に吹き飛ばした。咄嗟だったから全員うまく外に飛ばせるか不安だったけど、うまく飛ばせた。

 その事に安堵した直後…。





 ドオオオオオオ!!





 竜神殿の天井は大きく崩落。大量の瓦礫が私に降り落ちて、私は生埋めになったのだった。

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