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異世界で最強 ~転生と神の力~  作者: 富岡大二郎
第十三章 国の跡
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龍帝国到着目前

後半から視点がアイラから外れます。

 シュバルラング龍帝国へ移動中の私達。真下は陽の光でキラキラ輝く海。ホントこの海域は水質が良いわね。

 今回龍帝国へ向かう表向きの目的は、ランを中心とした新体制の政府と龍帝国全体の状態の確認と、私でないと対応できない事があった場合の対応。要は様子見。

 前回ぶっ飛ばしたコアトルとその一味があの後どうなったのか全然知らないし、何もしてないのなら私が裁かないと…。

 ……今後龍帝国の情報を逐一知るようにするためにも、誰かと念話できるようにならないとダメね…。


 龍帝国に向かう裏向きの目的は、シャロルとルルを会わせる事と、前世の頃の先輩で、竜族としてこの世界に転生している川端優先輩を探し出して会いに行く事。優先輩ミリタリー好きだったし、軍に属してるかも。


「どう?シャロル。呼吸苦しくない?」

「はい、問題ありません。通常通りの呼吸ができています」


 龍帝国へはキリカの背に乗って上空を移動する。上空は酸素が薄くなるから、シャロルがユートピア領の渓谷を視察した時みたいに酸素の薄さにやられないか心配だったんだけど、現状は大丈夫そう。


「そもそも以前シャロルさんが苦しがった時よりもおそらく低い高度で飛行していますから、身体への負担はかからないかと」


 キリカもシャロルを気にして低い高度を意識してくれてるみたい。


「まぁ、高度をそこまで上げてないとはいえ、多分シャロルが最近やった特訓も効いてるんだと思うけど」

「そうですね。だと良いのですが」


 シャロルはユートピア領の視察後から、酸素が薄い場所でも通常通り動ける方法を模索してたらしい。それを知った私は、最近空間を司る精霊のマーナにお願いして酸素が薄い空間を作ってもらい、シャロルはメイドの仕事の合間で酸素が薄い場所に身体を対応させる特訓に励んでいた。

 酸素の薄い場所に慣れてるというジーナやフィクスさんにも協力してもらって、シャロルはレキシントン親子から少ない酸素の中で動くコツを教えてもらっていた。


「ベヒモス様も積極的に協力してくださって、とても助かりました」

「いやあれは協力してたんじゃなくて無理やり参加させられてたんでしょ。なんでか知らんけど」


 シャロルは酸素が薄い空間で戦闘訓練も行っていた。最初は単に的になる物を探してただけなんだけど、それを見ていたアグナさんが何故かベヒモスを強制参加させ、ベヒモスは一方的にシャロルの攻撃の的にされていた。どうしてかシャロルもノリノリだったし…。

 なお、特訓は人がいない城の裏の森林の中で行ったため、精霊達の姿は誰にも見られていない。


 おっと、気が付けば龍帝国が見えてきた。


「久々の龍帝国が見えてきたわね。みんな元気かな~?」

「何か新たな問題が発生していないと良いのですが…」


 ウキウキ気分で龍帝国の島を眺める私に対し、問題が起きてないか心配がるキリカ。


「あれがシュバルラング龍帝国…。想像よりも大きな島ですね…」


 シャロルは興味あり気の表情で龍帝国の島を見てる。


「そういえばキリカ。前回は宮殿の裏側に降りたけど、今回は?」

「宮殿前広場に降りる予定です。龍帝陛下のお姿は宮殿関係者全員が既に知っているわけですから、わざわざ裏に回り込む必要もございません」

「あれ?でも広場って確か宮殿関係者以外もいるんじゃなかったっけ?いや宮殿関係者だとしても、突然突っ込んで行ったら大変なんじゃ…」

「問題ありませんよ。こちらが迫ってくれば自然と避けるために移動してくれるでしょう」


 そういうもんなの?誰かいたら絶対轢きそうだけど…。


 そんな会話をしつつ、私は島の中心部にある山を隔てたまだ行った事のない島の半分を眺めた。よく目を凝らしてみると、何やら大きな生物がいるような気がした。


「あっちがパンゲアか…。確かに巨獣がいそうな感じがあるけど」

「龍帝国の起源となった場所があちらにあります。いずれ龍帝陛下をご案内したいものです」

「何なら今行ったって良いわよ。別に巨獣と遭遇したところで多分返り討ちに出来るだろうし」

「陛下は大丈夫かもしれませんが、陛下以外の者達が私を含めて持ちません」

「まぁ、それもだいじょ…」

「そろそろ降下体勢に入りますのでご注意ください」

「ちょっと、なんで話止めたの?なんで言い返させなかったの?」


 何故か途中で話を遮断された。そしてシャロルも何でか呆れた顔してる。なんで?解せぬ。







*************************************






「ふぅ…!はぁっ!」


 私は武器を振り、そこに敵がいると仮定して何もない空間に攻撃を繰り出す。


(…今日はこの辺にしておくか…)


 私は汗を拭きながら、近くの石段に座る。


 私の名はアンゴラ・マラミュート。栄えあるシュバルラング龍帝国の騎士である。

 表向きはただの女竜騎士である私だけど、実は誰にも言っていない秘密がある。それは前世の記憶があるという事。

 私は前世で日本という国に住み、川端優という名前の女子高生だった。まぁ、軍隊ものとか好きだったけど。

 あの頃私は自衛官を夢見て毎日を過ごしていた。しかしある日、学校で突然爆発に巻き込まれ、そこから先は記憶がない。事を整理する限り、私はどうやらあの爆発で死亡し、この世界に記憶を持ったまま竜族として転生してきたと思われる。まるでアニメやゲームのようだと鼻で笑うような話だけど、それ以外に現在の状況は考えられない。

 ただ、だからといってこれまで何か特殊な事が起きたかと言えば、そうではない。

 この国で竜族として普通に育ち、竜化した時の訓練も受け、国軍に入隊し、騎士として行動している。他の騎士達と何ら変わりない生活だ。……最近までは。


 これはある日、私が自宅で寝ていた時の事。

 私は夢を見ていて、夢の中の世界はまるで天国のような一面花畑の世界だった。そして私の目の前には息を吞むほどの美しい女性がいて、私を見ていた。

 女性は微笑むと、私に言った。


【あなたがもし前世の頃の仲間との再会を望むなら、あなたの国の龍帝を頼りなさい。龍帝があなたを導いてくれるわ】


 そう言われた直後、私は夢から覚めた。


 夢というのは目覚めてしまえば覚えていない事がほとんど。しかし何故かこの夢だけは今も鮮明に覚えている。


(前世の仲間に会いたければ龍帝を頼れ…か…)


 龍帝といえば最近龍帝に就任したアイラ・ハミルトン龍帝陛下の事だろう。コアトルを失職させた後、自ら新政府を構築した方。あの時は混乱が酷過ぎて私も手一杯だったが。


 他の者づてに聞いた話では、龍帝陛下は戦闘において強者だったコアトルが手も足も出せなかったほどの強さを持ち、頭脳明晰で有名なキリカ龍帝補佐ですら追い付けないほどの発案力と行動力を持っていると聞いた。

 下級の兵士である私としては縁のない方だけど、そんな方を頼れとは一体どういう事なのだろうか?しかし夢である以上、鵜呑みにもできない。


「お、おい。あれキリカ殿じゃないか?」

「本当だ!ということは龍帝陛下がお帰りになられたのか!」

「大変だ…!急いで歓迎の準備を…!」

「その前にラン首相閣下にご報告だ!あとヤマタ族長にも!」


 周囲のざわめきに釣られて私も空を見上げる。空の遠くの方に竜の姿が見える。どうやら龍帝陛下とキリカ補佐が帰って来たらしい。


(私も仕事に戻るか…)


 私は今まで考えていた事を振り払い、軍の仕事へと戻った。

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