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異世界で最強 ~転生と神の力~  作者: 富岡大二郎
第十三章 国の跡
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開拓開始。と、停止

 緊急会議を行った翌日。私は早朝から王都を出て、自分の領地であるユートピア領へと入った。

 とは言ってもこれまでみたいに廃村に向かったわけでなければ、海岸近くの洞窟へ向かったわけでもない。今私が立っている場所は、特に何の変哲もない森林の中。ここが王都フェルゼンとユートピア領の境界線にあたり、ヘイジョウキョウ市とマリーベル市の境界線でもある。

 この場所で私はアテーナやアルテと、今日の移動ルートに関して簡単な確認を行った。シャロル、ジーナ、キリカといった普段一緒にいる面々は今は同行してない。一緒にここまで来たけど、ユートピア領が近くなった時点で精霊達や神獣達の手を借りて先行して行った。私がこれから移動する先々で待ってもらってる。ウォークラリーのチェックポイントにいる人みたいな?

 これから私が移動する場所は森や草原ばかりなので、進行位置が間違いないかという目印になってもらってるわけ。


「それじゃあ二人共。準備は良いわね?」

「いつでも」

「大丈夫です」


 私の確認にアテーナとアルテは同時に頷いた。


「よし、しゅっぱーつ」


 私達は出発と同時に、影光の高速移動よりもさらに速いスピードで移動を開始。アテーナとアルテにナビゲートしてもらいながら、森林の中を走りまくった。


 今回私がこうして走り回る理由は、ユートピア領のどこの木を伐採して、どこにどの程度の広さの道を造るかを決めるため。ただ途中で既に倒れそうになってる木を見つけた場合は、根っこごと私の異空間収納へ転移させてる。

 こうやって主要道路ルートを移動しながら制作して、速やかに道を造らないといけない。最低限ルート決めまでは今日中に終わらす予定。

 過去に別の貴族が治めていた頃の道は既に草木に覆われて無くなっているため、道造りは一からになる。一応獣道っぽい所は点々とあるんだけどね。


「アイラ様、あそこの木を手前、斜め右方向です」

「はいよー」

「草原に出ましたら、そのまま直進です」

「はいはーい」


 アテーナとアルテの優秀なナビゲートのおかげで順調に移動できてる。小精霊や野生動物へは精霊達や神獣達が説明してくれてるから、遭遇してもビックリされる事はない。現にさっき蜂の巣の傍通ったけど何もしてこなかったし、熊とも遭遇したけど、熊側がまるで私がいて当たり前のような態度とってきたから気にもならなかった。あとは魔物とかのイレギュラーさえなければらっくらく♪

 そんで先行していた面々とも順々に合流。気が付いたら領内全部見終わったてた。旅客機でも直線で数時間かかる距離を30分で移動しちゃったよ。

 予想以上にやる事が早く終わっちゃったから、そのまま道造りのための木々伐採もこの流れでやる事にした。

 ただし私が行うのは樵ではなく、倒れそうな木々に対してやっていた異空間収納への転移。

 何故樵ではないかと言うと、樵だと根本が残ってしまい、それを回収するための二度手間が起きてしまうから。

 だから木を根本から消しちゃうわけなんだけど、そうなると今度は土が崩れて陥没、最悪地形が変わりかねない。ってだいたいの人は思うんだろうけど、それに関しても既に対策済み。

 事前に土の精霊であるベヒモスと植物に詳しいヘルメールさんに相談し、集めた素材から創造魔法で土を作り出した。どこの土壌でも使える万能土をね。素材回収が早速役立ったよ。


「この速さなら領内の主要道は今日中に出来上がるんじゃないですか?」

「そうね。一応それも頭に入れてやってるわ」

「本来とても長い期間を使って大人数で行う作業を、お嬢様一人で今日中ですか…。なんだかしっくりきません…」


 アテーナの言葉に頷く私。戸惑ってるのはシャロル。


「あの…、トイレ…」

「この近辺ありませんよ?」

「我慢するしかないかと…」


 いつものようにトイレ行きたがるアルテ。なんとなくそんな気はしてたけど。

 そんなアルテに我慢を推奨してるのはキリカとジーナ。でもあまり我慢するのも良くないわよね…。携帯トイレとか開発すべきかな…。


 こんな感じで休憩を挟みつつ、どんどん道を形成させてく私。これがさっきの会話にもあったように大人数で通常のやり方で道造りした場合、樵だけ全て終わらすだけでも私の領地範囲じゃ一年以上は絶対かかる。それを私は仲間達の案内と自分の力だけでほぼ一人で終わらせようとしてるんだから、これほどスピーディーなことはない。


 私のユートピア領開拓計画。この内容は既に公で発表してある。でも実は内容を形にするための必要経費、人員、期間等は一切言ってない。あくまで「こんな感じにしようと思います」程度。

 グレイシア国内の世間も、閣僚達も、私の計画はまだ計画なだけだと思ってる。既に実行し始めてるなんて誰が思うか。現にノワールの方は全然進んでないし。

 昨日、政府から色々な要望があったのは、おそらくこれが原因。セリアとオルシズさんはこっちの行動を知ってるから、複雑だっただろうなぁ。


 結局、主要道路の基礎造りは今日中に終わった。いやぁ、動いた動いた。

 それから二日、三日と、日数を重ねて道をある程度まで整備。まだコベトを敷くまでには至らないけど、馬車が余裕ですれ違えるだけの道は出来た。

 街や施設を造る場所ももう決めてあるんだけど、それを今やってしまうと人が住みつくまでに間が空き過ぎてしまうため、街造りはまだ先。






 そうして日にちが経って半月は経過したかな?セリアがようやく神力と魔力の制御および魔法の収得をほぼ完了させた。あくまで『ほぼ』らしいんだけど。

 アンもアテーナやアルテの動きに対応できるだけの実力を身に着けつつある。もうちょっとね。


「あんたやっと自分の力制御できるようになったのね。ぶっちゃけ遅すぎ」

「えぇ~、ヒドーイ。私だって頑張ったんだよ?褒めてよ~」

「途中で逃げ出そうとしたり、小声で愚痴りながらイヤイヤ特訓してたのどこの誰よ?」

「だってオリジン様もアテーナもアルテミスもトンジットも容赦ないんだもん。逆にアイラはなんであんな過酷な内容をたったの二日で終わらせられたの?おかしいよ」

「私の場合、日課にしてた独自の鍛錬が有効に働いたらしいわ。神力の存在を知ってからはずっと制御する事を念頭に置いて鍛錬してたから、精霊達や神獣達から技を教わる時点で色々省く事が出来たみたいなのよ。そもそも魔法技とか神力使用の技とかを自分の物にできる事がもう楽しくて仕方なくって、時間を忘れてハイになって取り組んでたから、結果的に短時間で疲労を感じずに終わらせられたの」

「アイラのその考えと姿勢、たまに羨ましい…」


 とは言っても、そもそもセリアの場合は持久力と集中力が欠けやすいから、それからの話になっちゃうのよねぇ…。


「アンはだいぶ動きが良くなったみたいね。前よりも体力が持つようになったんじゃない?」

「おかげ様で基礎を底上げする事ができました。これからも精進を怠らず、皆さんに恩を返していきたいと思います」

「良い心がけだと思うわ。でも無理だけはしないでね」


 アンは修行が始まって以降、ずっと真面目に励んでいた。セリアとは正反対。

 でも修行の内容はアンにとってかなり過酷だったようで、それが原因で体調を崩してしまった時もあった。単に風邪とかなら私が治癒魔法で治せたんだけど、アンの体調不良は修行による過労と精神の不安定化が原因だったから私にはどうにもできなかった。というかアンは修行以外の時までこっそり一人で鍛えていたらしく、それも体調不良の一因となってしまっていた。

 まぁ、修行以外の鍛錬をしようとしまいと、天神界メンバーや伝説達が用意する短期特訓メニューは身体壊れてもおかしくない内容なんだけどね。ジーナだって修行がきっかけで人格変わっちゃったし…。

 アンは体調が崩れている間ずっと寝込んでいて、食べ物もロクに喉を通らず、けど嘔吐を繰り返す状況だったから、あの時はマジで心配だった。

 彼女はとても真面目だから、修行にはいつも遅れる事なく予定通りの行動で動いていた。つまり時間厳守をちゃんと守ってた。でもそういう性格だからだったのか、体調崩してる間も「遅れをとるわけには…!」とか言って無理やり身体を動かして鍛錬しようとした時もあった。あの時は私も必死に止めたし、オリジン様や爺やといった普段見守るだけの面々まで止めてた。良い子なんだけど暴走しがちなのよね…。アンって。


 アンが修行を始める前に私が言ったギルディスさんに会わせるという予定については、私が領地開拓がてらアンを廃村へ連れて行って、ギルディスさんを紹介した。

 ギルディスさんはエドノミヤの隠密者達の存在を知っていたらしく、現役の頃に一戦交えた事もあったそうな。

 キオサさんもアンの事を覚えていたらしく、「大きくなって…」と嬉しそうにアンを見つめていた。キオサさんはアンのお母さんと仲が良かったんだそう。…聞いてて思ったんだけど、キオサさんって絶対交流幅広かったよね。


 ギルディスさんがアンを見ている間、私はキオサさんと領地開拓に関しての話し合い…からの子供達との交流。子供の笑顔ってキラキラしてて癒される。こういうの見ると領主として頑張らなきゃって思う。


 それからさらに一週間経った頃。ノワールがようやく領地開拓に乗り出した。結局、要塞と壁の建設に関する問題は棚上げしたそうで、私と同様道の整備から入る事にしたらしい。判断遅い。


 んでもってノワールが少しずつ開拓を始めた頃。私はノワールとは逆に開拓の手を止めた。何か問題があったとかじゃなくて、意図的に。

 その理由は一つ。再びシュバルラング龍帝国へ向かうため。定期的に行く事になってるしね。

 ちなみに今回、龍帝国へはシャロルが同行する。私の方から一緒に来てとお願いした。向こうで専属使用人になってくれてるルルに会わせたかったから。


「じゃあ、行ってくるわね」

「お土産よろしくね~」

「島に転がってる石ころで良い?」

「お土産としてそれほど悲しい物はないよ…」


 私のお土産石ころ発言にシュンとするセリア。


「同行出来ない事が歯がゆいですね…」

「さらに精進しながらお帰りをお待ちしております。お気を付けて」


 ジーナは同行できない事が悔しいのか、若干テンション低め。別に実力とかで同行者決めてるわけじゃないんだけどな。

 そしてアンはまだ自主鍛錬する気らしい。身体壊さないか心配…。


「よし。キリカ、シュバルラング龍帝国へ出発!」

「御意。飛行を開始致します」


 竜化してるキリカは私とシャロルを乗せて飛び立ち、シュバルラング龍帝国へと飛行を開始した。

 龍帝国には一人だけ、前世からの転生者がいる。学校で先輩だった人が。上手く会えると良いんだけど…。

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