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異世界で最強 ~転生と神の力~  作者: 富岡大二郎
第一章 全ての始まり
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いざ、聖堂へ。そして…

 準備を済ませ、馬車へと乗り込む。

 向かう先は王都の中心、アルクザー宮殿のすぐふもとにあるメリック大聖堂。アストラント王国内で最も大きな教会だ。


 前世でいた世界には様々な信仰が存在していたけど、この世界はほとんどの国がハルク教という宗教を信仰してる。世界中に浸透していて、一部の国と地域を除いて信仰されている。


 聖堂へ向かう馬車の中、私は外の景色を眺めながらある計画を練っていた。

 それは、『友達沢山作るぞ計画』である。

 儀式とお祈りは一人ひとりで行われるけど、終われば後は帰るだけ。なのでその時を狙って声をかけて仲良くなってしまおう、という計画。


「絶対に友達作るわよ!私!」

「ご友人がいないのはご自分のせいではありませんか。あれだけお茶会やお食事会などのお誘いがありましたのに、お嬢様が全てお断りされるから。それで今回、こうやって苦労されることになるんですよ」

「やかましい。まだ苦労すると決まったわけじゃないわ。そもそもお茶会とか食事会じゃあ、いるのはみんな貴族じゃない。私は平民の子と仲良くなりたいの」


 同乗しているシャロルに痛いところを指摘される私。

 そう、これが計画を立てた理由。私にはこの世界に転生してから現在に至るまで、友人と呼べる人がいない。

 私に友達がいない理由は簡単。単に私が他の貴族と触れ合う事を拒否したから。

 私は平民と仲良くしたいと思っている。貴族のお嬢様同士だと、やりとりが色々面倒臭いと思った。


「ごきげんよう、○○嬢。今日も良いお天気ですわね」


 とか、


「○○嬢、今日は新しい紅茶の葉が入りましたのよ。いかがかしら?」


 みたいなやりとりは絶対したくない。疲れるだけ。私は貴族の生活には憧れてはいたけど、こんな関係は求めてない。まぁ、他の家の令嬢や子息に会った事ないからあくまで偏見だけど。派閥とかあったら嫌だしね。

 やっぱり気安いやりとりするなら平民相手の方が確実だし?今回は平民もいるから絶好のチャンスだし。頑張るぞー!


「まぁ、せいぜい頑張って下さいな。出来るものなら…」

「ん?シャロル、何か言った?」

「いいえ。あ、そろそろ到着ですよ」


 シャロルが何か言った気がしたんだけど……まぁ、いっか。


 聖堂へ到着して馬車から降りると、聖堂前の広場は人で賑わっていた。

 私と同様に祈願しに来たであろう人、観光目的で来た人、様々だ。そしてすぐそばには、国の中枢であり、王族が住まうアルクザー宮殿がある。

 聖堂も宮殿も前世でいう西洋風の造りで、豪華さがよく伝わってくるのだけど、なんだかすごくお金かけました感が出ていて私はあまり好きじゃない。


(威厳と装飾による迫力とシンプル感がうまいこと重なって、美しい城や聖堂ができるというもの。この宮殿も聖堂も、装飾がやたら多すぎね)


 聖堂の出入口まで来て、ふと思った。

 今回の私のように祈願しに来る人は要予約となっていて、順番も決まっている。そこまでは両親から聞いていたのだけど、何番目なのかは聞いていなかった。

 つまり……私って何番目?

 こういう時は、私の優秀なメイド、シャロルに聞いてみよー。


「ねぇ、シャロル。私って何番目なの?」

「本日は40名の方々がご予約されているそうですが、お嬢様は40番目です」

「へぇー、40番目か~。てことはラスト……」


 ここで私は気付いた。祈願きがんを終えた人はそのまま帰ってしまう。そして私は最後。


(……友達作り、無理じゃね?)


 聖堂内は原則私語厳禁の為、会話は出来ない。そして順番待ちは聖堂の中。最後まで私はしゃべれない。


「友達作り……」

「お諦め下さい。お嬢様」

「シャロル、あんた順番が最後だって分かってて、私の計画話聞いてたでしょ?」


 私が睨んだのに対し、シャロルはただ微笑むだけ。私はその場でがっくりうな垂れた。

 私の友達作り計画は実行される事なく消え去るのだった。





 愕然がくぜんとしながら私は順番を待つ。後ろにはシャロルも控えている。しばらくして、ようやく私の番がまわってきた。

 聖堂奥に置いてある水晶に手をかざし、魔力を送る。が、反応がない。


(あれ?送る魔力が弱すぎたのかしら?もうちょい強めに)


 さらに強く魔力を送ると、無色透明だった水晶がゆっくりと赤色に変わった。


(ちゃんと送れたみたいね。やっぱり赤だったか。まぁ、予想通りね。学院で友達できますように!お願いします、神様!)


 と、ほっとした瞬間だった。


 キイィィィィン……


 突如、水晶が白く光りだした。その光はどんどん強くなっていく。


(え?え!?な、何!?)


 さらに光の強さは増していき、やがて私の視界は白一色で覆われた。

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