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異世界で最強 ~転生と神の力~  作者: 富岡大二郎
第十二章 舞台の下準備
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翌日の休日

 セリアの部屋へと移動した私とセリア。セリアは机の棚から転生者リストを取り出して私に渡した。

 リストを受け取った私は、端から端まで何度も確認しまくった。


「どう?アイラ。夢の中に現れた人はリストに載ってる?」

「……載ってるどころじゃないわよ…」

「ふえ?」

「全員…」

「全員?」

「夢の中に出てきた人全員が、この転生者リストに載ってるの…」


 私は夢を見た後に予感していた。もしかして夢に出てきた人はみんな亡くなった人なんじゃないかと。そしていざ転生者リストを見てみたらその通りだった。

 心の隅で僅かに私の気のせいであってほしいと願っていたんだけど、予想が当たっちゃったわね…。これは運命的でもショックだわ…。


「ん~…、私はほとんどの奴らと関わってこなかったから何とも言いようがないけど、良くも悪くも運命を感じるね」

「そうね…。前世の日本で私達と同じように事故にあって亡くなってしまった。でも記憶を持ったままこの世界に転生しているというのなら、すごく運命を感じるわ」


 逢えるかな?この世界で。前世の頃と同じように…。


「あ、そーいえば、アイラの匂いまだ続いてる。ホントなんだろうねコレ。ていうか昨日より強くなってる?」

「あぁ、この匂いの事、あんたが昨日寝付いた後にハルク様に聞いてみたら正体が分かったわよ」

「聞いてたんだ。そんでなんなの?この匂い」


 私はセリアに鎮静香のことを説明した。


「じゃあ天神界で匂ってたのは花の匂いじゃなくてハルク様の体臭!?うえぇぇぇ…」

「気持ち悪がるな。可哀想だし失礼でしょうが」


 セリアは天神界で感じ取っていた匂いがハルク様の匂いだと知った途端に気持ち悪がりだした。


「とにかく私はこれでまたハルク様に一歩近づいたってわけ。あんたも頑張りなさいよ」

「神力アップでそんな事起きるんだねぇ。嬉しいような、嬉しくないような…。いくらハルク神様の眷属だって言っても、体臭まで同じとか嫌なんだけど」

「体臭って言うとなんか臭いみたいになるからやめなさい。それにハルク様絶対今のセリフ聞いてるわよ?あんた絶対怒られるからね?」


 別に嫌な匂いじゃないわけだし、問題ないと思うんだけどなぁ。


「とにかく確認は済んだわ。リビングに行きましょう」

「そだね。お腹空いた~」


 私とセリアはリビングに移動し、いつも通りに朝の顔合わせをした。でも今までと違ってジーナやカラス丸、ファルコやエスモスがいるからちょっと新鮮。


「おはようございます。お嬢様、女王陛下。………お嬢様?」

「ん?なに?」

「お嬢様からなにか香ってくるのですが…。香水でもお付けになられましたか?」

「あら、早速気付いたわね。他のみんなにも説明したいから、その質問の返答は後でね」

「は、はぁ…」


 というわけで朝食後、私は鎮静香の事と夢の事を別館メンバーに話した。


「なるほど…。香りは神力が関係しているわけですか。お嬢様が少しづつハルク神に近づいている証拠という事ですね」

「そーいうこと」


 シャロルは鎮静香に関して戸惑う事なく納得していた。


「龍帝陛下。後程で良いので、改めて龍帝国にいる転生者に関してお教えいただければと」

「あぁ、そうね。後で話すわ」


 キリカは龍帝国にいる転生者の事を気にしてる。後で思い出した事話さなきゃね。ちなみに竜族にいる転生者は、リスト上で確認すると、自衛官を志してた川端優先輩。


 なお、鎮静香と夢に関しては後々セリアの側近三人組とノワールにも話しておいた。ノワールはまた表情が以下略。





 昨日視察から帰って来たばかりの私は、視察後の身体休めとして今日は特別休暇となっている。

 けど正直私は休む気が全然なくて、給料とかいらないから早くやりたい事がたくさんあった。

 しかし周囲の目がある以上、休暇をもらわないといけない。仕事っぽい事をするのもマズイし、どうしようかと考えながら別館をウロウロしてたら、スンテノさんがやって来た。


「アイラ様~、お願いがあるんだけど」

「はい、なんですか?」

「髪の毛一部頂戴」

「…はい?」

「ちょっと使いたいのよ。良いでしょ?」

「まぁ、別に構いませんが…」


 何に使うとは言わないスンテノさん。突然何に必要なのやら。

 そんで一部とか言っておきながら、けっこうな量と長さを切られた。でも切られた直後に私の髪はもとの長さに戻った。さすが私の身体。今更だけど何でもアリね。……アリ過ぎる…。


「じゃあ貰っていくわね~。ありがと~」


 結局スンテノさんは目的を言わずに別館から去って行った。なんだったのか。





 それから少し経ったら、イヤイヤ仕事に行っていたはずのセリアがアリスと一緒に別館へ戻って来た。そんでセリアだけ自分の部屋へ直行して行った。


「セリアはどうしたの?突然」

「私も詳しくは…。今回は別館へ向かう希望を出してきましたので、何か正当な理由があるものと思われますが。あ、私は陛下がまた仕事から逃げ出さないよう、念のため同行しました」

「サボりってわけじゃないのね。てか、アリスもご苦労様ね…」


 そもそもよく考えてみると、セリアがサボってここに来るとは思えない。ただ推測立てる以上に、アリスが護衛ではなく逃げないようにする見張り役として同行しているのがなんか悲しい…。


 ちょっと経つと、セリアが部屋から出てきた。


「いや~、今朝仕事行く前に渡しておこうと思ってて忘れちゃってさ。時間が経ったらまた忘れそうな気がしたから今渡しておこうと思って。はいこれ」

「…?ナニコレ?」

「今アイラが着てる服の腕部分の装飾みたいなもんかな。その服って露出が多いのが売りだけど、逆に殺風景でもあるじゃん?だから作ったの。身に着け方はただ腕に通すだけだよ。当然素材は服と同じだから、神力通しも忘れずに。これ以上留まるとリリアがうるさいから政務室に戻るね。じゃ」

「う、うん…」


 セリアは言うだけ言って去って行った。


「あそこまで急ぐ感じじゃあ、リリアちゃん相当急かしてるのね…」

「そのようですね。とりあえず身に着けてみてはいかがでしょうか?」


 あっという間の状態に呆然とする私に、ジーナはセリアがくれた物の装着を勧めてきた。私は言われるがままそれを着ける。

 セリアがくれた物は私が着てる露出服の柄に合わせた柄になっていて、ホントにただのアームカバーのような物だった。アームカバーに面積の大きいヒラヒラの布が付いてる。


「マジで特殊要素は何も無さそうね…。セリアはまたいつの間にこれを作ってたんだか」

「しかしながらそのおかげで肌の露出が僅かに少なくなりました。私個人としましてはその方が良いです」


 シャロル目線だと、このヒラヒラアームカバーを身に着けた方が露出が若干少なくなって良いらしい。というかシャロルは私の肌高露出に耐えられないからでしょ…。


「でもこうなると脚とのバランスがねぇ…。あ、そうだ」


 私は全身を見て何も身に着けてない脚にアンバランスさを感じた。閃いた策として、膝周りからツタを生やして纏わせ、ツタの色を服の色に合わせた。


「これでどう?バランスとれたかしら?」

「良いと思います」

「アイラ様って、身体からツタまで生やせるんですね…」


 シャロルは特に反対意見を出さず、ジーナはまだ私の能力に慣れきってないようで少し戸惑っていた。






 それから10分程経過した頃、別館の警備をしてるはずのエウリアとメリッサがリビングにやって来た。


「アイラ様、すいません。今お時間大丈夫でしょうか?」

「平気よ。どうしたの?」

「妹から少々お話が…」

「メリッサから?なにかしら?」


 エウリアが言うには、メリッサから話があるらしい。私がメリッサに視線を向けると、メリッサは相変わらずの無表情で私を見てきた。


「前に…、魔法教えた…。その続き…」

「え?」


 メリッサの声量は小さく聞き取りづらい。魔法がなんだって?


「ごめんなさい。私から説明しますね。以前メリッサが眼色常時改変魔法をアイラ様にお教えしました事は覚えておられますか?」

「ええ、覚えてるわよ」


 代わりに話してくれたエウリアは、以前メリッサが教えてくれた魔法の事を聞いてきた。あの魔法、教えてもらって以降ほとんど使ってない。


「以前お教えした際、瞳の色を変える以外に能力があるとメリッサが説明したことは覚えてらっしゃいますか?」

「もちろん覚えてるわ。セリアのせいで止まっちゃったけどね」


 以前メリッサが魔法を教えてくれた時、他にも能力がこの魔法にはあると説明されていた。けどセリアがメリッサの給料を半減させたせいでメリッサが落ち込んでしまい、結局謎のままになっていた。


「もしかして教えてくれるの?」

「ん…」


 メリッサは頷いた。どうやら瞳の色を変える以外の能力とやらを教えてくれる気になったらしい。


「アイラ様…」


 メリッサはおもむろに片手を私に向けてきた。


「一瞬だけ眩しくなる…。けど、我慢して…」


 どうやらメリッサは私の心の準備に構わず何かする気らしい。納得はできないけど私は言われた通りに大人しくすることにした。

 そしてホントに一瞬だけ目の前が見えなくなる強い光が目を覆った。その後は特に何も起こらず、前回みたいに目が痛くなることもない。


「完了…。これで能力追加された…」

「ちょっと待ちなさい、メリッサ。何の説明もないのは私困るんだけど」


 特に説明もなく光を浴びせられ、その後も何の説明もない。正直反応に困る。


「申し訳ありません、アイラ様。ここからは私が説明しますね」


 またエウリアの説明代行パターン。メリッサはいい加減お姉さん頼りから卒業してほしい。


「メリッサは今、眼色魔法の追加機能を光としてアイラ様に送りました。アイラ様は既に瞳の色を変える以外の能力を入手しています」

「それはだいたい察しが付くわ。それで?その追加された能力はどうやって使うの?」

「そうですね…。言葉で説明するよりも実際に使っていただいた方が良いかと。何か壊れても良い物などありますか?何でも良いです。いらなくなった道具でも、ゴミでも、精霊モグラでも」


 いや、最後の『精霊モグラ』って間違いなくベヒモスでしょ?なんでベヒモスはゴミ同然の扱いされてんの?

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