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異世界で最強 ~転生と神の力~  作者: 富岡大二郎
第十一章 視察からその先へ
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領地開拓案発表

 その後報告会は徐々に雑談会へ変わっていき、内容的には領地視察に関する事なんだけど、特に報告しなくても良いような内容となっていた。

 その流れで私がゼーユングファーで収得に成功した人魚の姿をセリアやノワール、セリア側近ズに見せてあげると、リリアちゃんがメッチャ大興奮して、興奮のあまり鼻血吹いてた。

 それと人魚達から貰ったムルムル貝の貝殻と真珠を異空間収納から取り出して、セリアとリリアちゃんとアリスとノワールにそれぞれ一部をあげた。オルシズさんだけ何もあげないのは可哀想だったから、領地視察で私が収穫してきた桃をあげた。

 みんなにそれぞれをあげた時には私はあえてお土産とだけ言って渡したんだけど、後々貝がムルムル貝であることを伝えると、女性陣、特にリリアちゃんが大興奮して大騒ぎになった。


 それからはセリアが私とノワールに自分の領地をどんな感じに開拓したいかという質問をしてきた。国家会議で発表することにはなってるけど、事前に知っておきたいらしい。


「私はちょっと説明に時間がかかるから、ノワールお先にどうぞ」

「解りました。では…」


 私は色々説明に戸惑りそうだったので、ノワールに順番を譲った。

 そんなノワールは視察を行っている間ずっと案を考えていたらしく、ドイル将軍には既に説明したそう。その時にジオも盗み聞きしていたそうで、ドイル将軍にメッチャ怒られてたとのこと。ノワールに声かけようとしてうっかり聞き入っちゃったんだろうね。

 ノワールは領地の売りとして軍事力を全面に打ち出したいらしい。さらには施設においても要塞やら監獄やら物騒なものばかり出てくる。何かアストラントとの戦争を意識し過ぎじゃない?


「そんなに要塞だの監獄だの言ってたら、自分の屋敷までそれっぽくなっちゃうわよ?もう少し楽しい事も考えなさいな」

「そう申されましても…。正直自分の屋敷は壁と屋根があって長持ちすれば良いかなと思っていますので…」


 自分の屋敷に一切のこだわりなしか、この子。まぁ、ヘルモルト家の王都屋敷はとても清潔とは言えない状態だったし、ノワールも当時は自分に精一杯って感じだったから、住み場所に関してこだわりがないんだろうな…。でもこの子は自分の子孫が住む事考えてないわけ?


「ねえねえノワール。サンドロット屋敷の建設予定地ってあの枯渇してる川沿いだけど、地図上で見るこの位置に建てるには川に橋を架けないといけないし、ディゼフォーグ地帯の傍だから濃霧とまでいかずとも霧発生するよ?それでも良いの?」

「それは承知の上です。他の建設出来そうな場所は全て他の施設場所にまわしました」


 セリアの確認にサラリと答えるノワール。ホントこの子は自分の事後回しね。


「ふぅ~ん、そっか~。へぇ~、霧の出る場所で良いんだ~」


 なんかセリアがニヤニヤし始めた。何か閃いたっぽい。


「ノワール。頼みがある」

「なんでしょうか?」

「サンドロット屋敷の設計、私にやらせて。あと装飾も」


 なんとセリアはノワールの屋敷の設計とデザインを自ら手掛けたいと言ってきた。もしや別館建設の時にホテルが浮かんだように、前世の頃の何かの記憶が浮かんだのかしら?


「私は別に構いませんし、むしろありがたいですが…。その…、女王陛下のお仕事に差し支えなければ…」


 ノワールはセリアの頼みをオッケーしつつも、チラチラとセリア側近ズの方を見てる。


「アイラさん、頼みたい事があるのですが」

「あ、はい。なんでしょう?」


 今度はオルシズさんが突然私に頼み事をしてきた。


「女王陛下がノワールさんの屋敷の制作に没頭して、本来の政務を疎かにした場合のお仕置きをいくつか考えてはいただけませんか?」

「解りました。いくつか考えておきますよ」


 オルシズさんはセリアがまた仕事をサボると予想したらしい。それで事前に私にお仕置きを考えてもらおうと思ったみたい。

 オルシズさんの考えに理解がいった私は、悩むことなく快諾した。


「ちょっとなんで私が仕事サボる前提でいんのさ」

「城で勤務している方々全員、毎日陛下が仕事をサボる前提で働いていますよ。オルシズさんはそれに対する抑止力やお仕置きを考えることができるのがアイラさんだけだから頼んだんですよ。むしろ陛下がサボらなくなったら、天変地異の前触れとして城中が混乱状態に陥ると思いますよ」

「私って…、そんなに信用なかったんだ…」


 セリアが抗議した途端、リリアちゃんが真顔でだいぶヒドイ内容な意見を述べた。リリアちゃんの言うことも確かなんだろうけど、結果セリアがメッチャ落ち込んでる…。


「陛下のことは構いませんから、話の続きをしましょう」


 アリスは冷静な雰囲気でショボーン状態のセリアを放置したまま話を続行させた。セリアの側近達はみんな揃ってセリアへの扱い方がヒドイ。セリアの自業自得なところもあるんだろうけど。


「とりあえず私からは以上ですので、アイラ様どうぞ」


 ノワールは落ち込むセリアを見て苦笑いを浮かべながら話を終了させた。


「はいはい、じゃあ私の領地ね。正直なところ、確定的となってる開拓構想はほんの一部で、領内のほとんどの構想が案はあるけど未確定の状態なのよ。ちょっと規模的な問題でね」

「やはりこれだけの領地面積ですもんね。考えるの大変じゃありませんか?」

「大変だけど楽しいわよ」


 リリアちゃん目線だとやっぱり相当苦労すると思えるんだろうね。でも広い方が色々できるというもの。

 ちなみに開拓して良い場所や範囲、原料や材料等の領地内での調達とかは精霊達や神獣達と領地にいる間に会議を開いて話し合ったから、自然環境に負荷を与えないように開拓できると思う。


「まず開拓について語る前に、セリアや政府関係者の方々へお願いしたい事があるの」

「女王陛下と政府に対してですか?」


 今度は私から頼み事。セリアはショボーン継続中なのでオルシズさんが反応してくれた。なのでオルシズさんに向かって頼み事を言う。


「この国や他国でもそうですけど、その場所を住所的に言うと『国』の後ろには『地区』で、その後ろには『村、街』のどちらかがつきますよね?

 私が受け持つ領地は範囲が広いので、領地を大きく三分割したいと考えているんです。そのために『地区』の前に『市』というものを設けたいと思っているんです。その許可を政府から貰いたくて」


 前世の頃の日本では、○○県○○市○○区○○町という住所の作りになっていた。『都道府県』が最初で次に『市』がくる。東京23区の場合は『市』はなかったし、場所によっては『都道府県』の後ろに『村、町』がくる場所もあったけど。

 この世界では『領、州』を始まりとして『地区』『村、町』という住所の作りになってる。でも私が持つ領地は範囲が広すぎて、領の心臓部が一ヶ所だけでは限界がある。

 なので領の範囲を三つにわけ、それぞれの場所三ヶ所に心臓部となる大きな都市級の街を作り、住所上では『領』の後ろに『市』を作ろうと考えた。

 これはこの世界では全く前例がない事。だから私の独断では決められない。そしてこの考えが通るか通らないかで開拓の仕方も変わってくる。

 私は領地に同行してたメンバーにも開拓案の事はあまり話していなかったから、全員に市の事を詳しく説明した。


「…なるほど。確かにアイラさんの領地は小国ができてもおかしくない規模ですから、そういった特例は必要でしょう。閣僚会議で協議した上でないと決定はできませんが、おそらく反対意見は出て来ないと思いますよ」


 オルシズさんは話に納得してくれた。これでこの件に関しては、あとは閣僚を納得させるだけ。


「お嬢様、視察を行っている間にそのような事を考えておられていたのですか…?」

「そうだけど?なんかおかしい?」

「いえ、そういうわけでは…。ただご様子がひたすら視察を楽しんでおられるようにしか見えませんでしたので、ちょっと驚いたと言いますか…」


 つまりシャロルは視察中私がずっと何も考えずに楽しんでいるだけにしか見えなかったと。しつれーな。


「あり?アイラ、同行してたメンバーに開拓案は話してないの?」

「言ってないわよ。城に戻ってから話そうと思ってたから。でも精霊達や神獣達は既に知ってるわ」

「なんで精霊と神獣だけ?」

「どこまで開拓して良いか、どういうふうにしたら自然界に影響を与えないかを考えるには精霊や神獣の視点がないと分からないのよ。だから案を教えて意見をもらってたの」

「なる~。環境保全のためってわけか。確かに自然界を司る精霊と契約しておきながら自然界ぶっ壊すのはマズイもんね」

「そういうことよ。ところであんた、いつの間に復活したの?」

「さっき」


 セリアはいつの間にかショボーン状態から復活してた。全然気にしてなかったから気付かなかった…。


 市の話をしたところで私はみんなに開拓案を話し始める。

 まずは市の中心となる三つの都市の開発。一ヶ所はキオサさんやギルディスさんがいる廃村がある場所。あの村を中心として周囲の大きな範囲に街を建設。日本の時代劇に出てくるような街並みが出来ればと思ってる。そして街にはシンボルとして大きな和の城も建設したい。勿論城は私の住まいの一つとなる。和風の環境に住んでみたかったんだよねぇ。

 二ヶ所目は崖があっててっぺんが平らだった地域。そこに海が一望できる街を作る。高層建造物は造らず、基本的に一軒家をメインとした景観重視の街とする。例として上げるならポルトガルのリスボンに似せた場所にしたい。

 三ヶ所目はスーパーロングビーチがあった場所。あそこには大型ホテルや娯楽施設が立ち並ぶ巨大リゾートを考えてる。平民から貴族まで満足に楽しんでもらえるような一大観光地にしたい。モデルとしてはゴールドコーストやハワイのワイキキとかかな。


 他にも考えてる場所はある。桃が実ってた木があった渓谷にも小さな村を作って、桃の収穫村として機能させたい。

 それから土砂崩れの跡があった川にはダムを建設。かなり大きな規模のダムが造れそう。

 セイレーンの誘いで入った温泉。あの周辺や源泉へ続く方面にも温泉が湧き出てる場所があるそうで、それらのどこかに温泉地を造りたい。場所はまだ未確定だけど、リゾート地が海を望むはしゃげる場所なら、温泉地は山を望みながら気を抜いてダラけられる場所にしたい。草津温泉みたいな感じなら良いかも?

 あとは飲み水確保ができる浄水施設とか、当然農作や漁業も必要なわけで、それらも含めて小規模から中規模の街や村はいくつか造りたい。

 爺やが削ったらしい平らな島は大陸からそこまで離れているわけではないから、巨大な橋を架けて、その後開発に着手したい。客船とか停泊できる港とか造れないかな?島の方にもホテルとかあっても良いかも?例で言うならレインボーブリッジとお台場みたいな。


「…という感じでザッと説明したけど、どう?」

「私は異論なし~。良いんじゃない?」

「お嬢様。申し訳ありませんが、女王陛下以外皆さん理解が追い付いていません」


 私が話を終えるとセリアが真っ先に賛成してきた。けど直後、シャロルがみんな理解出来てない事を指摘してきた。確かにみんなポカーンとしてる。


「温泉…。ぬくぬく…」


 メリッサは温泉だけ理解ができたみたいで、何かを想像している様子で何か呟いてる。


「アイラさん。申し訳ありませんが、もう一度最初からご説明いただけませんか?」

「え?えぇー…」


 オルシズさんからもう一度最初からの説明を要望されたので、私は仕方なくもう一度最初から開拓案の内容を説明するのだった。

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