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異世界で最強 ~転生と神の力~  作者: 富岡大二郎
第十一章 視察からその先へ
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合流。そして別館へ

 聞き覚えのある声。その声の主であるセリアは、もの凄い速さで私に向かって走って来て、突っ込む勢いで抱き着いて来た。さっき会ったアリスも、オルシズさんとリリアちゃんとノワールを連れてやってきた。


「アイラ~…、アイラ~…。しばらく会えなかった上に引き返されたから心配したよ~ぅ…。何ともないよね?大丈夫だよね?」

「大丈夫よ。ただいまセリア」


 私に抱き着いて心配がるセリアの頭を、私は優しく撫でて笑顔を見せた。


「アイラさん…!皆さん…!お帰りなさい!」

「皆さんお帰りなさいませ。城の者達が大変失礼致しました」


 リリアちゃんは走って来ていたのか、息を切らしながら声をかけてきた。そんでオルシズさんは会った直後に謝罪してきた。


「アイラ様…!皆さん…!ご無事で何よりです…!お帰りなさいませ!」


 ノワールは少し潤んだ瞳をしながらやって来た。私達が攻撃された事がそんなに心配だったの?


「リリアちゃん、ただいま。オルシズさん、ここで謝罪しないでください。色々収拾がつかなくなります。ノワールも無事に視察を終えたみたいね。お疲れ様」


 私は三人にそれぞれ声をかけ、視線をセリアへ戻した。


「アイラ、みんな、ホントごめん…。指揮官指示無視でみんな攻撃しちゃって…。…いや、そんなの言い訳だね。部下達をもっと早く抑えきれなかった私にも責任が…」

「はいセリアストップ。それ以上言わないで。私も、同行してた仲間達も遠征から帰って来てるの。悪いけど今は休ませる事を優先させたいわ。まずは別館に行かせて。話はそれからよ」

「…解った。別館に行こう」


 私はセリアの弁明を止めさせて、別館に行く方へ話を流した。今はともかくみんなを休ませたい。


「私はおいとました方が良さそうだね。工場か城のどこかにいるから、何か用があったら尋ねて来てくれ」

「解りました。ありがとうございます」


 空気を読んでくれたセレス様は、笑みを見せながら格好良く去って行った。なんだかカリスマ性を感じる。さすが王族。


「ところで別館に行く前に、そこにいる子は?」

「ん?あぁ、彼女?ジーナよ。詳しい事情は別館で話すわ。ジーナ、彼女が女王のグリセリアよ」

「やぁ、初めまして。グレイシア王国の女王、グリセリア・グレイシアだ」

「ジーナ・レキシントンと申します…。初めまして…」


 ジーナはセレス様と会った時よりも緊張気味。そりゃあ国の女王様に初めて会うんだから緊張もするか。


「それじゃ、別館行こ」


 周囲は軽くざわめいているけど、セリアがいるからそれ以上の状態にはならない様子。そんな中で、私達は別館へ向かった。






「ん~!久しぶりの別館の匂い!」


 別館に入った後、私は思いっきり深呼吸した。


「は~い、私の領地視察隊の人達ちゅうもーく。色々とお疲れ様でした~。この後は各自で自由行動で良いから。自室で休むも良し、リビングで適当にくつろいでも良し、城内散歩するのも良し。好きに動いてちょうだい。かいさ~ん」


 私は自分の視察隊員に対して解散を指示。そしたらみんな各自で動き出した。

 アテーナとアルテとキリカは私に一礼した後それぞれの部屋に入って行った。疲れたのかな…?

 シャロルと爺やはさっそく使用人行動を開始。キッチンへと向かって行った。一旦休めば良いのに…。

 ファルコとカラス丸はいつの間にか部屋の隅に移動してた。オルトロスとザッハークはさっそくバタバタ走り回り始めた。エスモスはボーっとしてる。ちなみにフェニックスは既に桜区画へ移動済み。


「なんかさっきから新顔がいくつかいるね」

「そうね。順を追って説明するわね」


 セリアがエスモスやファルコやカラス丸といった面々を眺めている横で、ここに来るのが初めてなジーナが、立ち止まったままキョロキョロしてる。


「ジーナ。あなたはまだ何も分からないでしょうから、今は何もせずにこっちに来て。そこのソファの好きな所に座ってちょうだい」

「あ、は、はい」


 ジーナは慣れない感じでソファに腰掛けて、リビングの様々な方向を見渡してる。私はそんなジーナの隣に座った。


「ジーナ。ここはノーバイン城の別館という場所で、最近城に増築された区画よ。私や何人かがここで生活してるわ。あとであなたの部屋も用意するわね」

「アイラ様は政府の中で強い権限を持ってらっしゃるんですよね?そんなアイラ様が住んでおられるということは、ここは特別区画のような場所なのですか?」

「う~ん、別に特別でもないわよ?たまに雑談の流れで国家機密級の話をしてるけど」

「もの凄い特別な場所じゃないですか!?」


 ジーナはさらに緊張度を上げた様子。


「ジーナさん。アイラお嬢様も私も現在はここに住んでいます。領地にお屋敷が出来れば移動するとは思いますが、ここにも頻繁に来ると思います。完璧なご奉仕が出来るよう、早くこの場に慣れてください」

「はい。頑張ります」


 シャロルはジーナに対し、早く別館に慣れるよう助言。ジーナはまだ戸惑い気味な表情だけど、返事はしっかり返した。


「へぇ、新しい連れがいることは聞いてたけど、メイドとして雇うんだ。シャロルに続く第二のメイド?」

「そうよ。さらにシャロルと同じ隠密術と暗殺術の持ち主ってね」

「ほえ~、暗殺メイドか~。アイラはホント有能株持ってくるね~。羨ましい」


 セリアがジーナの存在を羨ましがった直後、精霊達が姿を現した。


「アイラさん、お帰りなさい。お疲れ様でした」

「ただいまです。オリジン様、皆さん。状況報告ありがとうございました」

「どういたしまして。楽なことでしたので、誰も気にしていませんよ」


 精霊達は私達が領地へ引き返した後に状況報告をしてくれていたので、その辺に関する感謝を伝えといた。


「さてと、これで情報の交換がし合えるかな?」

「やっと情報の交換が出来る~!陛下、ぜんっぜん部屋から出て来ないから何も進まず仕舞いだったんですよ~!」

「しょーがないじゃん!アイラ達の事考えたらこの方法しか浮かばなかったんだよ!」

「ですが情報の交換や会議が出来なかった事で、余計に城内の足並みが悪くなりました」

「うぐ…。それはそーかもしれないけど~…」


 セリアがリリアちゃんとオルシズさんの攻めに負けてる。これは珍しい。


「とにかくまずは、アイラ達とノワール視察団、そしてノーバイン城で三つ巴になったあの時にそれぞれ何が起きていたのか、それを改めて教え合おう」


 三つ巴になった時。すなわちノーバイン城へ帰還した時のこと。


「じゃあ私から良いかしら?私達は領地の滞在期間を一ヶ月と決めていたの。それで王都に戻る日を迎えた時に、空から帰る方が早いだろうっていう私の勝手な我儘で、神獣のフェニックスと竜化したキリカに乗ってノーバイン城へ向かう事になったの。キリカの竜の姿を全員が見た事あるわけではない事や、私が神獣と契約してる事が周囲に知らされてない事をすっかり忘れててね…。

 今回の混乱の根源は私の我儘と言わざる得ないわ。みんなは悪くない。だから謝らせてちょうだい。本当にごめんなさい」


 私はみんなに向けて深く頭を下げた。


「仮に今回の一件の原因がアイラだったとしても、その全部がアイラが悪いわけじゃない。こっちにだって、こうなる事を回避できるチャンスがいくつもあったはずなんだ」

「そうですよ!女王陛下のおっしゃる通りです!頭上げてください!」


 セリアは私を責める事なく、リリアちゃんもアワアワしながら頭を上げるよう言ってきた。


「自分とリリアさんで指揮をとっていたノーバイン城では、空に確認できていたアイラさん方を、城の兵士達が一方的に敵扱いしていました」

「私もオルシズさんも害はないよって言ったのに、みんな聞いてくれなかったんです」

「指示や命令は無視され、アイラさん方が接近するほど混乱は増すばかりでして、魔法部隊と弓矢部隊が勝手に攻撃態勢に入ってしまったのです」

「指揮しきれなかった私達も悪かったのかもしれないですけど、あそこまで誰もが言う事聞いてくれなかったのは正直傷付きましたよ…」

「そうですね。自分も指揮する立場として実力不足を痛感させられました」


 リリアちゃんとオルシズさんはガッカリ肩を落としてしまった。そんなに聞いてくれなかったんだ…。


「私達は放任状態ではあったけど、似たようなもんかなぁ?ねぇ~、アリス、ノワール」

「そうですね。皆さん勝手に慌てだしていましたね」

「女王陛下が声をかけても効果ありませんでしたね」


 視察団も城の人達とほとんど似たような状態だったんだ…。やっぱフェニックスと竜バージョンキリカを見たら慌てるのか…。


「ね?アイラ。結局周囲を制御できなかった私達にも責任があるってことだよ」

「う、うん…」


 そう言われても、全ての発端は私だからやっぱ気が重い。


「でもこれでウチの国の新たな課題が発覚したよ。グレイシア王国軍は冷静さに欠けるっていう問題がね。今回はともかく、今後何らかの緊急事態が発生した時に誤って味方を攻撃しちゃったら取り返しのつかない事になるよ。どんな状況下でも冷静な分析と判断が出来るようにしなきゃならない」

「具体的にはどのような対策を?」


 課題を言い出したセリアに、アリスが対応策を訊ねる。


「兵士一人ひとりを徹底的に育成するのは不可能だ。今回の件を総合的に見ると、部隊の指揮官などの指揮役までも冷静さを失っていたように思える。まずは指揮に立つ者が独断で突っ走らないように教育し直そう。講習をし直して良いと思う。

 あとは基本的なマニュアルの再作成と…。もし何やっても聞かない奴は、階級の降格や給料の減給も検討しないとね」


 セリアがざっと打ち出した対応策は、ザックリとはしてるけど納得できる内容だった。しかし降格や減給とは中々厳しい。

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