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異世界で最強 ~転生と神の力~  作者: 富岡大二郎
第十一章 視察からその先へ
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視察一ヶ月。領地出発の日

少々遅いですが、あけましておめでとうございます。

今年もどうぞよろしくお願い致します。


視点がアイラに戻ります。

 早朝。天候は快晴。近くでは鳥達の元気な鳴き声がよく聞こえる。


「おはよう、ファルコ」

「ピー」


 起床後にファルコを撫でると、元気そうに返事をしてくれた。


 自分の領地の視察予定範囲を全て回りきった私は、翌日からジーナの修行へ目を向けた。同時に私自身の鍛錬も行い、視察開始直後よりも更なるパワーアップを図った。

 シャロルは今まで誰かにメイドとしての指導を行った経験がなかったらしく、今回のジーナへの指導は自分自身の勉強にもなると語っていた。なんだかんだで私のメイド育成しちゃってるシャロル。


 ジーナは隠密術と暗殺術、そしてメイドとしての修行を懸命にこなし続け、この短期間でだいぶ成長した。戦闘面の動きもメイドとしての動きも、シャロルと爺やが言うにはまだ修正が必要なところがたくさんあるらしいんだけど、私の目からしてみれば他の同業者とほとんど差のないところまで来てると思う。

 職業としてメイドになるには必ず公式の試験を受けないといけないんだけど、私は先にジーナに私のメイドになるようお願いした。本人はいずれ自らお願いするつもりだったらしく、即答でオッケーを出してくれた。これでジーナは私の専属人入りを果たした。今後の私のメイド体制はシャロルとジーナの二人体制となる。


 アテーナとアルテは相変わらずで、しょっちゅう二人で漫才みたいな会話を繰り広げてる。それと未だに夜更かししてる。あれだけ寝ろって言ってんのに、さらにお仕置きまで科したのに、全く懲りる気配がない。

 キリカは周囲のメンツとすっかり馴染んだようで、特にアテーナやアルテとは仲が良い。私に対する態度もだいぶ柔らかくなった。


 精霊達はいつもと変わらず。シルフちゃんに癒され、オリジン様とアグナさんとネロアさんがベヒモスをぶっ飛ばしている光景がある。


 神獣達とはこの期間に住処について話し合った。神獣達が求める住処条件はバラバラで、固定された条件はない。つまり環境に合わせた場所にバラバラに住む事となる。神獣によっては屋外でも問題ない神獣もいた。そうして話し合い、ある程度の結論は出た。

 爺やは私の執事なので、私の領地にマイ屋敷が完成次第そこに住んでもらう。それまではノーバイン城の別館に居てもらう。

 ザッハークは住処を設けず常時私と行動することとなった。今まで何度か留守番してもらってたけど、他の神獣達が「一緒に行動させていろんな光景を見せてあげた方が良い」って。どうしてもザッハークが姿を隠さなきゃいけない時は、私の異空間収納の中に居てもらう。

 オルトロスは今のままノーバイン城別館に留まるとの事。別館は色々特殊性のある環境だから、神獣が常駐してる方が良いだろうという結論で。

 フェニックスは鳥だけど巣は持たないらしくて、基本的にどこでも寝泊まりできるんだとか。なのでフェニックスには桜区画に常駐してもらう事にした。私が移動する時など、必要な時は私が呼び出す。

 エキドナさんは元々地下洞窟にいたらしい。まだ私が行ってない所。なので引き続き地下洞窟に居てもらう事にした。

 ケルベロスとフェンリルは、私の領地内の森深くにいる狼達のもとへ行くそうな。

 スレイプニルは「馬小屋とか~、な~い~?そーいう所欲し~い~」と、とてもゆっくりのびのびな言い方で自分用の馬小屋の建設を要望してきた。この件にはペガサス、キマイラ、グリフォンも同じ意見を出してきた。なので私の屋敷の建設が始まり次第、敷地内に小屋を建設する結論で落ち着いた。それまではこの洞窟に居てもらう。

 セイレーンは人が住む家とほぼ同じ建物が欲しいらしく、追加で海が見える高台への建設を要望してきた。まぁ、元人間だしね。今も神獣の中で一番人間に近いし、やっぱ思う事あるのよね。でもこれはさすがに開拓が始まらないと何とも言えないので、しばらくは小屋建設希望の連中と一緒にここの洞窟で過ごしてもらうことになった。

 ラミアさんは森深くであれば他に希望はないそうなので、ケルベロスやフェンリルと同行するかたちでまとまった。

 バハムートは私の領地から抜けてディゼフォーグ地帯へ移動する予定になってるんだそうな。というかここ千年ほどずっとディゼフォーグ地帯に住んでるんだそう。…霧の中でバハムートに遭遇したらメッチャ怖いよね。

 イフリートは私の領地内にある温泉の源泉地へ移動するそう。そこから火山や源泉の状況を監視してくれるみたい。これは嬉しい。お礼にメッチャ褒めまくったら、恥ずかしさで悶絶してた。

 エスモスは希望がないのか私が訊ねても特に反応せずぽけ~っとしてるだけで、全く話が進まなかった。仕方がないので、一旦ノーバイン城別館まで連れてくことにした。

 ちなみにカラス丸も私と一緒にノーバイン城へ向かうとのこと。その後の行動はそれから考えると言ってた。なお、カラス丸は神獣ではないけど、密書をいつでも運べる体勢を維持するために巣は作ってないんだそうな。


 そして今日。領地に来てから一ヶ月が経過した。つまり今日は、王都フェルゼン、ノーバイン城へ戻る日。「帰る」って言っちゃうとちょっと表現的におかしい。ここ私の領地だし。


「ジーナ。異空間収納ちゃんと発動できてる?荷物入れられる?」

「あ、今入れ始めてます」

「…今更だけどなんでそんなに荷物多いの?」


 ジーナは修行期間を使って異空間収納と念話魔法を習得した。まだ使えるようになったばかりで不慣れだろうと思って声かけたら、メッチャ大量の荷物を一つひとつ丁寧に入れてた。レキシントン家から出発した時も思ったけど、なんでやたら荷物多いのかしら?この子。


「あれ?アテーナ、アルテは?」

「海岸に行って釣りしてますよ。視察の締め括りに大物釣りたいって言って、ベヒモスを餌にして気合十分に海岸に行きました」

「何してんのよ。止めてあげなさいよ。ベヒモス可哀想でしょうが」

「私もベヒモスじゃ魚は寄って来ないと思ったんですけどね」

「いや、そーいう問題じゃないのよ」

「でもネロアさんがベヒモスを餌にするとよく釣れるってアルテに言ってました」

「あぁ、そう…」


 なんかもうツッコむ気も失せたわ…。


「エスモス様?出発時間迫ってますよ。そろそろ外に出てください。というかうたた寝しないでください。く…、重い…」


 洞窟の中ではシャロルがうたた寝してるエスモスを外に移動させようとするも苦戦してる。改めて思うけど、エスモスってスーパーマイペースよね。

 シャロルはエスモスを持ち上げようとしたけど、エスモスは全く持ち上がらない。神獣達の話によると、普段は小型犬ほどの小ささのエスモスだけど、重さは本来のサイズの時のままなんだとか。つまり二千メートル級の山と同じ重さ。もう天文学的な重さよね。だから当然シャロルが持ち上げられるわけがない。ちなみにそんな重さなのに地面が影響を受けない理由は、エスモスが絶妙な体重移動を常時行い、影響のないようにしているためなんだとか。簡易的な吊り橋でも渡れるそう。


「シャロル苦戦してるみたいね。私が持ち上げるわよ」

「あぁ、すいません。お願いします。なに言っても動かなくて…」

「エスモスらしいわね。ほら、行くわよ」


 私は軽々とエスモスを抱きかかえ、洞窟の外に出た。私は神体のおかげでどんな重い物でも簡単に持ち上げられる。今もエスモスを持ち上げるのに全く力を入れてない。

 エスモスは抵抗することなく私に抱きかかえられ、洞窟の外で降ろしてあげるとザッハークやオルトロスのもとへ歩いて行った。なんで最初から動かなかったのよ…。


「ピー」

「おぉ~、よしよし」


 ファルコはさっきまでいろんな所を飛んでたけど、私の腕に移動してきた。


「龍帝陛下。出発準備完了しました」

「あ、はいはい」

「ところで陛下。あそこでベヒモス様がグッタリしておりますが、いかがされたので?」

「あ、ホントだ。いつの間にか海から戻って来てたのね。気にしないで良いわ。放っておいて」

「解りました。放置しておきます」


 ベヒモスはいつの間にか近くで全身ビショビショの状態でグッタリしていた。サングラスはきっちり着けてるけど。結局アルテの釣りはどうだったのかしら?


「アイラ様、私も準備完了です」

「あら?アルテ。釣りの結果どうだった?」

「結局何も釣れませんでした…。悔しくてベヒモスに八つ当たりしました」

「止めてあげて…。みんなしてベヒモスの扱い酷過ぎる…」


 無理やり釣りの餌にされて、そのあげく八つ当たりされるベヒモス…。そりゃあんな状態になるわよね…。ていうかベヒモスもさすがにキレて良い事だと思うんだけど…。


「アイラさん、全員出発準備完了のようですよ」

「あ、はい。解りました」


 オリジン様から全員出発準備完了の知らせが来た。これでここの洞窟とは一旦お別れ。またすぐ来るとは思うけど。


「セリアとノワールの再視察はどうなったかしら?そろそろ終えてても良い頃だけど」

「そうですね。再出発した日からの日数から考えますと、既に王都へ向かっている頃だとは思います」


 私の発言に、シャロルが頷いた。ちなみにネロアさんはセリアとノワール達が再出発した後も様子を見に行ってくれていた。なんか姿を現すとビックリされるらしくて、物陰からこっそり様子見だけにしてたらしい。報告でドイル将軍が同行してるって聞いた時は意外だったけど。


「さて、私達とノワール達。どっちが王都まで速いか、かしらね。じゃあ、出発しましょう!」


 私はみんなに出発の号令をかけた。洞窟に残る者、それぞれの希望地に移動をする者、私と共に城へ向かう者で別れ、一ヶ月キャンプを張った洞窟と別れたのだった。


 城へ戻れば、すぐに領地視察の総まとめをセリアと話し合い、領地開拓の計画詰めが待っている。あ、その前にノワールが伯爵位に正式就任か。

 ちなみに私は開拓資金と期間に関しては全く気にしてない。なぜなら私には潤沢な資金がある。アストラントにいた頃、両親から貰って一切使わなかったお小遣いという名の資金が。

 開拓の期間も、本来なら完全完了までに何年もかかるけど、私にかかれば一度に広範囲で樵できるし、建物の建造やライフラインの構築、道の整備も創造魔法であっという間にできる。現状の私の構想だと、都市型の大きな街を三か所は造りたいと思ってるんだけど、それは城に戻ってから。


「あ、城に着いたらノワールとジオの関係に進展がなかったか確認しなきゃ」

「お嬢様…、それ重要な事ですか?」

「重要よ!メッチャ重要よ!ノワールの未来がかかってるのよ!気にしないわけないじゃない!」

「お嬢様…。発言が完全にノワールさんの保護者のようになってます…」


 なんかシャロルが戸惑ってるんだけど、そんなこと言われても気になるものは気になるんだって。あ~あ~、これからやる事多いな~。

活動報告を更新しております。

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